ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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 最小の搭乗型ロボット(パワードスーツではなく)を求めてファンタジーならどうか、というお話です。


ドラクエ3でボトムズする

 それはミヤビが16才になるたんじょう日のことであった。

 

「おきなさい。おきなさい、わたしのかわいいミヤビや」

 

 ミヤビです……

 今度はRPG『ドラゴンクエスト3』の世界への転生デス。

 主人公の勇者に転生したはずなんですが……

 

「おはよう、ミヤビ。もう、あさですよ。

 今日はとても大切な日。

 ミヤビが王さまに旅立ちのゆるしをいただく日だったでしょ。

 この日のためにおまえを…

 ゆうかんな男の子にそだてあげたつもりです」

 

 そう、念願の『男』という性を手に入れたはずなんですが……

 このステータス、

 

名前:ミヤビ

職業:ゆうしゃ

性格:セクシーギャル

性別:おとこ

レベル:1

 

 性別男でセクシーギャルって何!?

 男の子じゃなくて、男の娘に育て上げられてますよこれ!

 外見がドラクエ5のヒロイン、ビアンカの幼いころみたいな、おさげのロリなんですけど!!

(でも股間には生えてる。ロリショタっ子!?)

 

 この小さな身体のせいで初期装備のどうのつるぎ、青銅の剣すら持てず。

 闇商人としての顔も持つ武具屋の親父に仕入れてもらった聖なるナイフで武装するしかなかったのだ。

 

ぶき:せいなるナイフ

よろい:たびびとのふく

たて:おなべのフタ

かぶと:なし

そうしょくひん:なし

 

 これ、本当に幼少期のビアンカの初期装備、くだものナイフに手織りのケープ、おなべのフタと、家にある物でとりあえず武装してみましたって風だったのに近い。

 まぁ、聖なるナイフは「邪悪を退ける純銀で作られている」とも「神秘の力を秘めた純銀製の短剣」とも言われる呪的装備。

 くだものナイフよりはマシだろうか。

 

「銀は滅菌と浄化作用を併せ持ち、銀の武具に傷つけられた者は同時に魔術的な力を奪われるためダメージを受けることになると言われている。また別の説では銀は月神の金属であるが故に夜の生き物に効くのだとも」

 

 吸血鬼や人狼などの不死性の魔物を殺傷し得る兵器としては、伝承上に知られるものの内、最小の部類に入るだろうか。

 だからナイフとはいえ攻撃力は銅の剣より高い。

 レーベの村に行くと売っている鎖鎌よりは低いが、それでも初期の武器としては十分か。

 

「純銀、とは言うけれど合金でそこそこの強度もあるし」

 

 本当に純粋な銀は柔らかすぎ、またすぐに黒ずむため、他の金属との合金の形で利用される。

 有名なのは英国のシルバー925、スターリングシルバーだが『STERLING』とは英語で『真正の、純粋の』という意味の言葉。

 つまり銀の含有率が92.5%の合金でも英国では純銀だと定めている、国際的にも純銀として扱われているということ。

 

 そして銀(金でもプラチナでも同じだが)は叩いて鍛える、鍛造で硬度が上がるし、鋼と同じように熱処理で性状を向上させることが可能。

 スターリングシルバーなら青銅並みの硬度を出すこともできるので、魔術的な…… 半永久呪化処理(エンチャント)による強化が無かったとしても実用武器として使えないことも無い。

 そもそも相手の武器と打ち合い、切り結ぶ剣とは違って、ナイフは不意の打ち合いで折れないよう、刃先の切り結びは極力避ける武器なのだし。

 その上で、人間相手なら太い血管の走っている首筋、手首の内側、腿の付け根などといった急所を、モンスター相手ならそれぞれの弱点を狙って先に刃を繰り出すのだ。

 

「相手が吸血鬼や人狼などの不死性の魔物なら対不死(アンチ・アンデッド)効果のある鋼化銀のナイフで心の臓をひと突き、首を落とした後に脳幹を破壊…… だったかな?」

 

 これは古橋秀之先生の小説『ブラックロッド』で語られていた手法だったか。

 

 なお、ミヤビは粗砥石でわざと刃先をギザギザに荒らしている。

 実際、刀でも実戦を前にこのように荒い砥石を使ったり砂の山に刃を突っ込んだりして刃先を荒らしていたという。

 このギザギザが刃を滑らせたときに引っかかり、相手を深く斬り裂くのだと。

 ナイフにも波刃という刃先がギザギザになったものがあって、普通のナイフでは切りにくい、水を含んで硬く締まったロープなどを切断するのに役立ったりしていたが、これと一緒か。

 

 その上で、ミヤビが意識したのは子供用のプラスチック製包丁に、同様に刻まれた波刃だった。

 安全のためにプラスチックを使っていて、刃を押し当てただけでは切れない。

 食材に刃を滑らせた時だけ波刃の作用で切れるというもの。

 プラスチック製でも切れるのなら、銀のナイフでも切れるだろうという発想である。

 

 そして聖なるナイフは両刃の、ダガーと呼ばれる形状のナイフだった。

 ミヤビの前世、日本では所持が禁止されていたものだが、その利点はとっさの場合でも刃の向きを確認せず持ち替えなくてもすぐに使えるところにある。

 このため銃刀法で規制される以前にはダイバーズナイフによくこのダガータイプが利用されていたものだった。

 

 水場では水中でロープが身体にからまってしまう、という事故が起こり得る。

 実際、それにより水死している者も居るし、潜水士はナイフの携帯が法律で義務付けられているほど。

 そんな切迫した状態でダイバーズナイフを抜いたけれども「向きが反対で切れませんでした」「持ち替えようとしたら落としてしまいました」などということがあったらそのまま死につながる。

 間違えるはずが無い、と主張する人物も居たが、普段抜いて使っている利き手がロープに絡まれ、反対側の手で抜かないといけなかったら?

 暗い場所や狭い場所で、目視で確認ができなかったら?

 潜水作業なのだから手はグローブで覆われている、その状況で手探りで刃の向きを確認できるだろうか?

 などなど非常時なので様々な状況が考えられる。

 それに対応するエマージェンシーツールとして優秀だったのが、ダガータイプのナイフと言えるだろう。

 

 そしてそれは命を賭けて戦うこの世界での戦闘でも言えることで。

 聖なるナイフを手に、きゅっと口元を引き締めるミヤビだった。

 

 

 

 こんな外見なので、パーティを組んでくれる者も居らず。

 しかし前世のゲームの攻略知識を活用することによってナジミの塔から盗賊の鍵を持って何とか生還したミヤビは、武具屋の主人に祝いとして奢られた飯を腹に詰め込んでいた。

 

「先だって国王に指名されて旅立ったやつら、ほとんどやられちまったらしい」

 

 と主人は語る。

 魔王退治を命じておいて、50ゴールドのはした金と棍棒にひのきの棒などといった間に合わせの武器しか渡さなかった国王。

 これは何故かというと、ミヤビにのみ命じたわけではなく、他にも広く指名された者たちが居たからということだった。

 つまりドラクエ3の主人公は、そんな勇者候補のうちの一人に過ぎなかったということだ。

 

「生き残りを始末するのにナジミの塔と地下通路に住み着いたモンスターの連中が躍起になっとるらしい。あそこから逃げ出せたとは大したやつだぜ、おめぇは」

「あれを…… 自分にくれないか?」

 

 ミヤビがガツガツと飯を食いながら目を付けていたのは、武具屋の片隅に置かれた鋼の鎧、

 

「ポンコツだぞ」

 

 ……のスクラップ。

 そしてそもそも大柄な大人の男向けの品で、ミヤビには着ることなどできないのだが、しかし意に介さず、

 

「アリアハンを出る。修理道具も借りたい」

 

 そして黙々と修理を始めるミヤビ。

 

 

 

「壊れた鎧だったのか」

 

 スーパーファミコン版以降のリメイクされたドラクエ3では、革の鎧しか置いていないアリアハンの武具屋のカウンター奥にプレートメールと思しき鎧が飾られていて。

 あるなら売ってくれ、と欲しがるプレイヤーも居て、そのためかゲームボーイカラー版ではチートを使うなどして壁やカウンターをすり抜け鎧と接触すると「かいぞうしただろ!?」と言われる仕込みがあったものだったが……

 壊れているのでただの飾りとして置いていただけ、というのなら売らずにいたのも分かるというものだ。

 そして、

 

「ドラクエ3には無かった『資質』の項目……」

 

 隠しステータスとも言うべきそれについて、ミヤビは考える。

 

『闇商人とのコネ』:対価さえ払えば闇ルートを通じて何でも仕入れてくれる武具屋の親父とのコネ

 

 これはここの店主との付き合いを指しているのだろう。

 そして、

 

『孤独』:パーティを組むことが困難

 

 ……こんな子供にしか見えない相手と組んでくれる者はなかなか居ないだろうから仕方がない。

 ドラクエ3でソロだとマヒで即全滅が怖いが、

 

『異能生存体』:運の良さ255MAX、因果律に干渉して毒やマヒなどといった状態異常に陥る確率を下げる

 

 という『装甲騎兵ボトムズ』の主人公キリコ・キュービィーのような資質を持っているので、それも何とかなる。

 あとは、こんな身体では武器、防具類のほとんどが重すぎて使えないということだが、そこに前世の記憶を持つミヤビならではの、

 

『魔導アーマー制作・整備』:血液で書かれた血印を仲立ちとして一揃いの鎧と自分の魂を結び付け搭乗、操作できるようにする

 

 という資質が役に立つ。

 マンガ『鋼の錬金術師』に登場した主人公の弟アルフォンス・エルリックは失った肉体の代わりに、空の鎧へと魂を定着して操っていた。

 ミヤビは『鋼の錬金術師』世界に転生した際に会得したその術式を応用し、鎧を搭乗型のパワードスーツ、いやロボットとして操ろうというのだ。

 アルフォンスは身長220センチの鎧、オウガーヘッドを入れ物として中に人や物を収めて活用していたが。

 今のミヤビの小さな身体だと、膝を曲げれば大柄な大人用の鎧の胴体内にすっぽりと入ってしまう、納まってしまうのだ。

 ゆえに、

 

「パワードスーツのように着るわけじゃない、どっちかというとアーマードトルーパー、スコープドッグみたいに搭乗するロボットよね、これ」

 

 また、大柄であるとはいえ大人の人間のサイズなので、人間用の武器と盾が利用できる。

 この世界でのミヤビの小さな身体のハンデを補うことができるというわけだ。

 

 なお最初は、

 

(『聖戦士ダンバイン』…… バイストンウェルへの転生で学んだオーラ・マルス(オーラバトラー用の筋繊維)で駆動する機体を仕立てようか。

 バンダイの模型雑誌『B-CLUB』で連載されていた『AURA FHANTASM』にオーラ・アーマーっていうオーラマシン版パワードスーツが載っていたし。

 いや、でも機体の大きさや構成的にはボトムズのアーマードトルーパーの方が近い?

 なら、マッスルシリンダーの代わりにオーラ・マルスで駆動するオーラバトラーとアーマードトルーパーのハイブリッドってことで)

 

 とも思ったのだが、よく考えると装備の更新、つまり乗り換えが発生するのに、その度に載せ換えるか、新規に製造するかと考えると非常に手間で。

 だから魔法が使える世界なら『鋼の錬金術師』のアルフォンス式で行けないかと試してみて上手く行ったのでこの方法に。

 魂だけになってしまっていたアルフォンスと違って、自分の身体があるミヤビなら鎧に書き込んだ血印を消しても問題は無く。

 機体を気軽に乗り換え、乗り捨てていたキリコのような運用が可能になるのだし。

 

「ドラクエ3の鋼の鎧、公式ガイドブックに記載された英訳ではフルプレートアーマーとされた全身鎧だけれど」

 

 しかしドラクエ3では兜が別枠の装備になっているので、別途用意する必要がある。

 

「仕方が無いから盗賊の鍵で開けられるようになった地下通路の扉、その奥の宝箱から取って来た木の帽子で間に合わせるかな」

 

 ドラクエ3の木の帽子は、カシの木をくりぬいて作った木彫りのヘルメット。

 形状的にはフリッツタイプ。

 第二次世界大戦でドイツ軍が使用していた、そしてその後アメリカ軍もフリッツタイプとして採用していた耳、後頭部まで保護する形状のもの。

 木製なので金属製の兜に比べ守備力は低いが、それでも低位の魔物の爪や牙程度では貫通できないし、軽量でぶつけても大きな音を立てないため隠密行動(ステルス・エントリー)には向く。

 ミヤビの前世でも、特殊部隊において抗弾効果があるが重いバリスティックヘルメットではなく、抗弾効果は無いが最低限の頭部保護ができる軽量で通気性等に優れたクラッシュヘルメットを目的に応じて使用していたが。

 守備力が低くても、それなりに利点を持つものだった。

 

 そして、

 

「思い出した……」

 

 ミヤビの前世、旧21世紀のネット上にて、ゲームボーイカラー版のドラゴンクエスト3をチートコードで改変しプレイする動画を公開している人物が居た。

 今、ミヤビが手を入れている鋼の鎧はアリアハンの兵士が着ているものと同型だが、その動画では、チートコードで主人公のグラフィックを『兵士』と小柄な『女の子供』に切り替えることで、搭乗できる鎧とそれに乗る女の子を再現していた。

 ゲームボーイカラー版の3色しか使えないキャラのグラフィックでは顔も肌色が使えず白、目も低解像度故の黒いドットの点というものだったので、兵士のグラフィックを生身ではないように見立てることができる。

 低スペックなグラフィックを逆手に取った発想の改変プレイだったが。

 

「運の良さ最初から255MAXでスタートとか、男だとなれないはずの性格セクシーギャルを指定するとか、初期装備品の置き換えとか、店の売り物の置き換えとかもチートコードを使って再現していたし」

 

 できるのだ。そう、チートならね。

 

 

 

 鋼の鎧に搭乗して、アリアハン大陸から出るためにいざないの洞窟へと出撃。

 

「ウェポン・セレクター!」

 

 右腕のガントレットの袖口から、空っぽの鎧内部に収納していたソーン・ウィップ、トゲのムチを伸ばすと敵をまとめて薙ぎ払う!

 

「鋼の鎧は青いし、バトオペ2のグフみたい……」

 

 ミヤビの前世の記憶の中にあるネット対戦ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』ではグフの格闘は強力で、熟練者ならこのように電磁鞭、ヒートロッドで複数の敵を引っ掛け、薙ぎ倒すというプレイが可能だった。

 また、グフなら剣、斧、盾も使っていたし、イメージ的にもぴったりかも知れない。

 一方で、

 

「ロマリアに行って鉄の槍を買ったらアーマードトルーパー、ベルゼルガのパイルバンカーが再現できるね」

 

 ドラクエ3のリメイクでは武器の種類によって攻撃のエフェクトが変わる。

 これは剣閃を光の軌跡で表現するなどといった、雰囲気を盛り上げるような感じのもの。

 槍についてはそう派手なものではなく「一点を突くような感じかな」と言われてようやく「そうかも」と思えるような地味なものだった。

 しかしゲームボーイカラー版の槍のエフェクトだけは他と違って、刺突する槍が見えるような目立つものに変わっている。

 この様がパイルバンカーのように見えるというわけである。

 

「鎧が青いからTV版より外伝的な小説『青の騎士ベルゼルガ物語』みたいな感じかな……」

 

 ということだったが。

 

 

 

TO BE CONTINUED?




 ドラクエ3をキリコな主人公でボトムズするお話でした。
 最小の搭乗型ロボット(パワードスーツではなく)を求めてファンタジーならどうか、と考えてみるんですけど。
 作中にも挙げた『鋼の錬金術師』のアルフォンスとか、モンスターハンターなんかに登場するデブ鎧装備とか、小柄な女性なら胴体内に十分納まるよね、という発想でこのお話を書いてみました。
 アレです、ソビエト連邦軍では戦車の低シルエット化を実現するのに「車室が狭いなら戦車兵に身長制限を課せばいいじゃない」で解決をしていたってやつのロボット版。
 ついでに幼女ビアンカいいよね、初期装備とかいかにも「家にあるもので武装してきたよ」感があって、とか、ロリショタ男の娘(男の子供のグラフィックがいまいち過ぎ→女の子供グラフィックでいいか→チート使えば性別も性格も自由→「男でセクシーギャル! そういうのもあるのか」という結論に)とか好きな要素が足されてますけど。

 この後は、闇ルートを持つ武具屋の親父に魔法の鎧やドラゴンメイル、刃の鎧などを仕入れてもらって買い替え、乗り換えとかですかね。
 やまたのおろち戦にドラゴンメイル、ボストロール戦に刃の鎧とか面白そうですし、勇者一人旅なのでバランスは取れるでしょう。
(リメイク3DS、PS4、switch版ではオートセーブを利用したオリビアの岬スキップ技があるのでボストロール戦に刃の鎧はチート無しでも行けたりしますが)
 実際、このチートコード利用改変設定でプレイしてみるのも面白そうですし、それを連載してみるのもいいかも?
 いや、需要無いか……

 なお、異世界から転生させる神々にフリー素材みたいに活用されているミヤビですが。
 便利使いしやすいキャラですからね、しょうがないね。
 ということで。

 ご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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