ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件 作:勇樹のぞみ
続きものですので、割り込み投稿してます(今回の更新はこの1話分のみです)
「だ… だれだ! だれがこんなことを!! 我々がドレイク軍と知ってのことか~っ!」
逃亡中のミヤビのダンバインを追うバーン・バニングスの一行だったが、彼らが見つけたのは別動隊のドラムロが全滅している姿だった……
「バーン様、それにしても機体が変です。どう見ても外部からのものじゃない。全部、機体の内部から破裂したような感じだ…」
「ま、まさか待機中に小型の時限爆弾のようなものを仕掛けられていた?」
「いや、そんなスキは無かったはずだ」
そんな中、発見された負傷兵を診ていた男が、
「バーン様、まだ意識があります!!」
と報告する。
バーンは、その負傷兵の両肩をつかむと、
「なんだ、なにがあったのだ!!」
と呼びかける。
相手は青い顔をして喘ぎながらも口を開くが、
「け…けつなあな」
呂律が回っていないのか、理解しがたい言葉を吐く。
「けつ? あな?」
なんだって?
「…か、くて、い」
それだけ言うとがっくりと意識を失ってしまう。
(いっ…いったいなにが………)
戸惑うバーンとその一行。
(そして『けつあな確定』とは…)
それは、こんなことを言われたら戸惑うに決まってるだろ、という話だった。
「ハッハッハァ、逃げろ、逃げろぉ~っ」
森に逃げ込んだミヤビのダンバインに向け、バーン配下のドラムロは腕部のフレイ・ボムを撃ち放つ。
「俺たちに見つかったのが運の尽きよ。せいぜいあがいて見せろ~っ」
と獲物をなぶるように追い立て、森の中に入るが、
「ひでぶっ!!」
「あわびゅ」
姿を掴めぬ相手に、次々に各個撃破されていく!
(トカマクダンバインの緑色って森林に溶け込むからねぇ)
そう、内心でつぶやくミヤビ。
森林迷彩として、これは優秀。
逆にドラムロの赤は非常に目立つ。
まぁ、騎士、戦士が主力のバイストンウェルにおいては、そういう目立つカラーリングで士気を盛り立てるのは分かるが。
地球上の歴史でも、戦闘服が目立たなくなるのはライフル銃が登場し、散兵戦術が生まれて以降の話で。
それまでは、それこそマスケット銃による戦列歩兵であっても馬が嫌う光物で騎馬を牽制し、目立つ衣装で士気を昂揚させていたのだから。
そして、
(フレイ・ボムの爆発も、森林地帯では木々が天然の掩体になる、砲爆撃の効果を削減してしまう、いわゆるジャングル・キャノピーに守られ、ピンポイントの直撃、あるいは至近弾でなければ効果は薄い)
直撃を狙おうとしても森の中で緑色のダンバインの姿は捉えづらい、発見を逃れるために攻撃後、ミヤビは速やかに退避し位置変えを行っているからなおさら。
また、通常の砲撃と違ってフレイ・ボムに貫通効果はほぼ無い。
つまりダンバイン目掛けて撃っても、途中、木々に当たってしまえばそこで爆発炎上してしまうため射線が通らないのだ。
それにいら立った追跡者のドラムロが、フレイ・ボムを使って、
「汚物は消毒だ~!!」
「あっついぜ~!! あつくて死ぬぜ~!!」
とばかりに森を焼き払おうとするが、
「火と熱と煙でセンサー類が役に立たなくなるし視界も悪化する。かえって好都合」
ということになる。
(『聖戦士ダンバイン』はソビエト連邦がまだ存在した昭和の時代の物語。いくらショット・ウェポンが天才で、バイストンウェルに存在する素材や技術とのシナジー効果で技術に進歩があったとしても……)
アビオニクスやセンサー類は昭和の時代の戦闘機と大して変わらない。
マジックミラーの性質を持つコクピットハッチ越しの有視界戦闘がメインという代物だ。
それに火と熱と煙といった阻害要素が加われば、森林の中に潜んだ緑色のダンバインの姿を補足するのはさらに困難になる。
オーラマルスで駆動するオーラバトラーにはエンジンが無く、静音性にも優れる。
そのうえ、ダンバインの全高は7メートル未満とこの辺りの木々より圧倒的に低く完全に隠されてしまうからなおさら。
(要するに『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』の密林ステージで完全に森に隠れる小型機体に森に溶け込む迷彩塗装を施した上、ステルスもしくはジャミングで位置情報も把握させないという状態)
敵が捉えられないので森から退避するしかない状態だったが、恐慌状態に陥ったバーンの隊の面々にはその認識がすっぽりと抜け落ちている様子だった。
「何なのだ、これは! どうすればいいのだ?!」
次々に倒れ、爆散していく部下たちに慄くバーン。
(左手は添えるだけ)
左腕に移植したオーラバトラー・ボゾンの手(戦場跡地で発見した残骸から回収したもの)をそっと押し当てて。
次の瞬間、北斗神拳もしくはビスト神拳でも食らったかのように内部から弾け飛ぶドラムロ!
(まぁ、タネはあるんだけれどね)
ボゾンの手のひらにはボゾン砲と呼ばれる滑腔砲、砲身内にライフリング(施条)を持たないスムースボアの砲が内蔵されている。
そしてまた、追加兵装としてこのボゾン砲の発射ガスを利用して複数の矢を打ち出す大型の手持ち武器ガッシュを使用することも可能だった。
ガッシュの尻を握りしめ、手のひらの砲口を押し当てて使用するのだが、
(空砲でも使用しないとガッシュに砲弾がぶち込まれることになるから排他装備なのか、それとも砲弾の弾種切り替えが可能な自動装填装置が内蔵されているのかと考えたのだけれど)
実際には、まさかの弾頭と薬莢が別々になっている分離薬莢砲だった。
ソビエト連邦軍の戦車がそうであったように、これにより自動装填装置のコンパクト化が図られていると同時に、弾頭無しで発射用の装薬だけ込めて動作させるということが可能だった。
これにより、ガッシュも問題なく使用できていたのだった。
(滑腔砲も自動装填装置もソ連が先行していたものだし)
『聖戦士ダンバイン』は1983年の放送だったが、このころはまだアメリカ主力戦車M1エイブラムスも105mmライフル砲を搭載しており、西側ではようやく120ミリ滑腔砲が開発されレオパルト2に搭載が始まった程度。
自動装填装置については1990年に登場する日本の90式戦車が西側諸国の第3世代主力戦車で最初のものだったりするし。
そして……
今、ミヤビが何をしたかというと、このボソン砲を敵機体に押し当て、空砲を撃った。
ただ、それだけである。
ただし大半のオーラバトラーが尻に配置している排気ダクトに向けて、だが。
オーラバトラーの胴体尻にはフィン状の排気ダンパー、もしくはルーバーと思われるものが付いた開口部が存在する。
背中のオーラコンバーターにもそのようなフィンが付いていることから補助推進器か何かかとも見えるが、実際にはこれは排気口(エア・アウトレット)で、ミヤビの前世の記憶の中にある『聖戦士ダンバイン』関連の書籍の中でもそのように言及されていた。
オーラバトラーの駆動機関はすべてが生体パーツであるため、これらの細胞を生かすためには養分だけでなく必然的に酸素も供給されなければならない。
つまり“呼吸”によるエネルギー交換が必要であり、また、効率よく各器官が機能するためには酵素が活性化する温度も維持されなければならない。
「代謝によって発生する生体にとって不要な物(排熱も含む)」はその系内から排出しなければならないが、そのうち気体は背部(=臀部)に相当する位置に置かれた排出口から機体外へと放出されるという。
逆に言えば、この排気口は機体各部の主要な個所に直結しており、スムーズな排気のために経路の抵抗も極力少なく設計されている。
そこにボソン砲の砲口を押し付け、発射ガスをぶち込んだらどうなるか……
たかが発射ガスと侮ることなかれ、重量のある砲弾を、音速を超えるスピードまで加速する爆発力、圧力を秘めた燃焼ガスである。
一般に気体は気圧が倍になれば体積は半分になる。
例えば西側諸国の主力戦車の多くに採用されているラインメタル120mmL44戦車砲の薬室圧力はAPFSDS-T弾使用時で660MPa≒6514気圧。
つまり、砲口から解放された瞬間に発射ガスの体積は6500倍以上にまで膨れ上がる。
富士総合火力演習の映像など、戦車砲を発射した瞬間を見てみるとわかるが、砲口に戦車の姿を覆いつくすほどの巨大な火球、発砲炎が現れる。
それぐらいに爆発的に体積が拡大するのだ。
これをオーラバトラーの全身の主要部につながった排気口に押し当て、放ったらどうなるか?
この答えが内部から爆発したかのように弾け飛ぶドラムロの姿。
先に倒されたドラムロのパイロットが言い残したとおり、尻の排気口を捉えられたら最後、内部から爆散、敗北が確定する『けつあな確定』の恐怖なのだ!
そう、その様は悪ガキにケツへストローを差し込まれ、思いっきり息を吹き込まれて破裂させられるカエルのごとし!!
もしくはミヤビの前世、西暦の時代でも何度も起きて注意喚起されているのに無くならず繰り返される傷害事件、
尻に圧縮空気
相手は死ぬ
という、
「死ぬと思わなかった」とふざけて尻にコンプレッサーの圧縮空気を吹き付け、肛門を破裂させる事故
みたいなものである。
エアーコンプレッサーで圧縮された空気は服など簡単に素通りし、何倍にも膨張する。
多少、距離を取ったところでその危険は無くならない。
ミヤビから、この話を聞いた現場経験者が、
ミヤビさんの安全意識喚起は立派だと思うけど、横着せずにきちんと50~100cm離してエアブラシをかければそこまで危険じゃない気も?
と言っていたが……
実際には50センチ離して服の上から吹き付けても直腸に穴をあけたという事故実例があったりする。
それぐらい圧力を持った気体は危険なのだ。
「――というわけです」
姿を消したまま、通信機越しに最後の一騎となったビランビーのバーンに、この恐怖の事実をこんこんと語りかけるミヤビ。
「な、なぜ……」
敵である自分にこんな話を?
と引き攣った呻きを上げるバーンに、
「その新型、通気性のあるシートは使ってませんよね?」
そう、尋ねるミヤビ。
ドラムロのシートは革張りだと知ったので「運が良ければパイロットは助かるでしょ」というようにあまり気後れせずに攻撃ができたが、ビランビーはどうだろうか?
地球上でも、第一次世界大戦時の複葉機では軽量かつ強度の出る藤で編んだ椅子や、それを通気性のある生地で包んだり、クッションを入れたりしたものをコクピットのシートに採用した例があった。
蒸れないので快適なのだが……
「たかだか数気圧の圧縮空気でもお尻が危険なのですよ。これが砲の発射ガスだったら…… コクピットのシートをすり抜けて、お尻に入ったら……」
バーンは肛門を破裂させて死ぬ!!
その、嫌すぎる未来が『けつあな確定』してしまう様を思い浮かべてしまうバーン!
「う、うわあああああっ!!」
騎士バーン・バニングスは逃げた!
ただ恥も外聞もなく逃げた。
そんな死に方だけは嫌だった――
バーン・バニングス、『けつあな確定』の恐怖からくるトラウマで再起不能、リタイア。
チャン♪ チャン♪
To Be Continued?
この物語はフィクションであり、登場人物、団体名等は全て架空のものです。
エアーコンプレッサーで圧縮された空気は服など素通りし、何倍にも膨張します。
人のお尻に吹き付けて肛門を破裂させ殺害、など間違ってもしないよう。
圧縮空気は安全に留意し正しく使用しましょう。
安全啓発作品でした。
圧縮空気による事故については本編でも触れてましたけど、再度言わせてもらいますね。
甘く見ちゃダメです。
まぁ、圧縮空気の扱いについては、事故のニュースがあっても大半の人間は尻にホースを突っ込んだものと思い込むのでそんな馬鹿な真似、自分がするわけが無いと他人事としてとらえるので。
それでいつまで経っても無くならないんですよね、この事故。
ご意見、ご感想等をお待ちしております。
今後の展開の参考にさせていただきますので。