ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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機動戦士ドラッツェ『赤い彗星、誕生秘話』

 サイド2に向け、進軍中のドズル艦隊。

 その中で、士官学校主席相当、鳴り物入りで入隊してきたシャア・アズナブル少尉を待っていたのは、上官からの陰湿な嫌がらせだった。

 

「やれやれ、まさか未塗装の機体をあてがわれるとはな」

 

 彼の目の前には、下塗りの赤い錆止め塗装しかされていない、未塗装のザクIIの姿があった。

 なるほど、この目立つ機体では、戦場での生存率も下がらざるを得ない。

 諦めて搭乗しようとするが、そんな彼を、整備兵が止めた。

 

「違いますよ、少尉。少尉の機体は隣です」

「隣? まさか……」

 

 そこにあったのはドラッツェ…… それもミヤビの前世の記憶の中にある袖付き仕様のように赤というかガンプラ用塗料で言うシャアピンク色に塗装された機体だった。

 

「ただの攻撃機(ドラッツェ)、だと?」

 

 思わず呟いてしまうシャアに、整備兵は憤慨して見せた。

 

「ただのドラッツェ? 冗談じゃありません。現状でこの機体の性能は三百パーセント出せます」

「三百パーセント?」

「ええ、胴体コクピット回りを見て下さい」

 

 そこはザクIIC型ベースの放射線遮蔽液を入れたものでは無くなっており、

 

「普通のドラッツェと違って、放射線遮蔽液を抜いて軽量化されたザクIIF型をベースとしたものです。こいつはザクの三倍のスピードで飛行が可能です!」

 

 そう、その機体は、ミヤビの指示で赤く塗られたザクIIF型ベースの軽量化試作機体だったのだ。

 通称、ザクの三倍のスピードを出すから『三倍ザク』

 実戦データの収集のためドズルの部隊に回されてきた機体だが、誰も使いたがらず。

 結果として、上官に隔意を持たれたシャアに押し付けられた訳だ。

 

「足は付いていない」

「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」

 

 まぁ、ミヤビが持ち込んだ発想にM・ナガノ博士やMIP社技術陣がハッスルしまくり……

 最高にハイになった彼らが、

 

「ハッスル! ハッスル!」

 

 という掛け声とともに徹夜明けの現場で踊りまくっていたのを目撃したミヤビはまず己の目を、そして次に彼らの正気を疑ったが。

 

 そんな彼らが狂的な熱意を注ぎまくり、足の代わりに付けたガトル戦闘爆撃機のプロペラントタンク兼スラスターを本当に『ロングテール・バーニア・スタビライザー』として機能するようにしてしまった結果、直線加速力だけではなく、運動性さえもがザクIIF型を上回るようになってしまったのだが……

 

「使い方はさっきの説明でわかるが、『ロングテール・バーニア・スタビライザー』な、私に使えるか?」

「少尉の適性は未知数です。保証できる訳ありません」

 

 その物言いに、シャアは苦笑した。

 

「はっきり言う。気にいらんな」

「どうも」

 

 そう答える整備兵を残して、シャアはドラッツェのコクピットへと向かった。

 

「気休めかもしれませんが、少尉ならうまくやれますよ」

 

 背中にかけられる声に、一瞥して微笑む。

 

「ありがとう。信じよう」

 

 こうしてシャアは、赤く塗装されたザクIIF型ベースのドラッツェで出撃することになった。

 後に、赤い彗星として畏怖されるようになった名パイロット、シャア・アズナブル。

 本当に三倍のスピードで敵に迫るその戦いぶりは、連邦軍を恐怖のどん底へと叩き落としたのであった。

 

 

 

 なお、この機体にはサポートのためにAIサラが搭載されており、シャアは彼女とファーストコンタクトを果たした結果、

 

「サラは私の母になってくれる女性かも知れない……」

 

 とつぶやきを漏らしていたという――




「本当に3倍のスピードで飛ばすやつがあるか!」
 とツッコみたくなるのですが、実際、推力、推力比共に、それ以上に差があるので、
「まあ、そうなるな」
 というお話でした。

 そしてミヤビがジオン側に居るのですから、サラだって使われるわけで。
 本編連載中にみなさんから頂いたご感想に、
「シャアがサラのことを知ったら――」
 というものがいくつかありましたが。
「まあ、そうなるな」
 となりますよね……

 ご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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