ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第9話 翔べるの? ガンキャノン Bパート

「ええい、連絡はまだか?」

 

 ホワイトベースブリッジでは、リード中尉がいら立ちの声を上げていた。

 通信装置にはオペレーターをつとめるフラウがついていたが、

 

「無線入りました」

 

 ようやくのコンタクトに、リード中尉は勢い込む。

 

「参謀本部からか!」

「よーし」

 

 ブライトも、やったとばかりにうなずくと、フラウの背後から通信装置をのぞき込む。

 

「こちらホワイトベース」

『防衛軍本部、通信解読回路、アルファガイン』

「アルファガイン、了解」

 

 少しぎこちないところがありながらも、暗号解読を行うフラウ。

 通信装置から吐き出されたメッセージカードをブライトが掴み上げ、そして消沈した声を漏らす。

 

「ホワイトベースは敵の戦線を突破して海に脱出することを望む。それだけです」

 

 ブライトからメッセージカードを受け取ったリード中尉は食い入るようにそれを見つめるが、そこにはブライトの言った言葉以上のことはどこにも書かれていなかった。

 

「助けにも来てくれないのか」

 

 期待していただけに、リード中尉の失望もまた大きい。

 

「おい、話はできないのか? 参謀本部と」

「無理です。ジオンの勢力圏内では暗号通信だって危険すぎます」

 

 と、なだめるのはブライトだ。

 フラウにはまだその辺、知識も無く気遣いもできない。

 まぁ、気遣いができないのは彼女の精神状態によるところもあったが。

 

「将軍たちはなんと思っているんだ?」

 

 リード中尉の憤りの声がむなしくブリッジに響く。

 

「現場を知らんのだ、戦場を!」

 

 

 

「みんな疲れは溜まってない? 睡眠は十分に取れてる?」

 

 食後のお茶を飲みながら、話を振るミヤビ。

 一番心配なのはアムロだったが、彼に直に聞くと男の子の見栄で虚勢を張る可能性もある。

 そのため話しやすいよう、全員に聞く形にしたのだ。

 まぁ、他のメンバーについても心配な面が無いわけでも無いので確かめておきたかった、ということもある。

 

「僕はあんまり……」

 

 ハヤトはそう言って、黙り込んでいるアムロを探るように見る。

 アムロはそれを煩わしそうに顔をしかめながらも、

 

「サイド7を出てからこっち、ぐっすり眠ったことなんかありゃしない。そのくせ、眠ろうと思っても眠れないしさ」

 

 とぼやく。

 彼も同い年の友人にならこうやって不満を漏らすことができるようで、ミヤビの気遣いは正解だったと言える。

 

 そんなアムロだったが、ミヤビの目には何とか大丈夫なように見える。

 ガンダムがここに無いのが痛いが、共に戦うパイロットたちの充実具合は史実より良い。

 それがアムロを精神的にも肉体的にも助けているのだとミヤビは思う。

 

 実際にはアムロが平静を保てているのはミヤビの存在に頼るところが大きいのだが、彼女自身は気づいていない。

 知ったら「何その買いかぶり!」と内心で悲鳴を上げていただろう。

 それがミヤビだ。

 ともあれ、ミヤビはアムロにうなずくと、

 

「分かる気がするわ。私も不安があるとぐるぐると考えこんじゃってなかなか寝付けない方だから」

 

 と言う。

 以前、ミヤビはアムロはリスクに敏感な体質であると説明していたが、彼女も割とそういう傾向があるのだ。

 想定されるリスクに対し、ああでもない、こうでもないと対策を考えてしまう。

 だからアムロのこともよく理解できるのだが……

 周囲の沈黙に首をかしげる。

 

「どうしたのみんな、そんな顔をして」

「い、いえ、意外だったから」

「ミヤビさんはもっと超然として……」

 

 何それ。

 

「私だって悩むことぐらいあるわ。いったいどんな目で私を見ていたの?」

 

 もちろん彼らは『ヤシマの人形姫』の名前、外見どおりの存在と見ていたに決まっている。

 気づいていないのはここでは当人だけである。

 家族…… ミヤビパパと妹のミライにはそのある意味どうしようもなく人間臭い、残念なところのある中身が分かっているのだが。

 

 そして、である。

 呆れた様子でわずかに瞳を見開いているミヤビ。

 普段、感情を超越したような美貌と冷めた表情を持つ女性が、こういうふとした拍子に漏らす人間らしいわずかな表情の動き。

 しかしそれは芸術的な美しさを持つ人形に生命が吹き込まれた、モノクロの世界が鮮やかに色づく瞬間を目にするようで、見る者に大きな感動をもたらす。

 

「こ、今度は何?」

 

 いわゆる、ギャップ萌えというやつが、この場の全員を襲っていた。

 女性であるセイラも含め、一人の例外も無く……

 罪作りな人間である、ミヤビは。

 

 そんなこともあったが、睡眠の話である。

 ここは医者の卵の出番とばかりにセイラに視線を向けるが、

 

「本当なら睡眠導入剤、短時間で効き目が切れる睡眠薬を使うのがいいのだけれど」

 

 と、彼女は言葉を濁す。

 

「いつスクランブルがかかるか分からない状況じゃお勧めできないわね」

 

 ということになる。

 後は薬と言うと漢方だが、これは専門家でないと処方は難しい。

 だからミヤビは、

 

「無理に眠ろうとしなくても、ベッドに横になって目をつぶって身体を休めているだけでもいいのよ。それだけでも体力は回復するから」

 

 と助言する。

 世の中にはさらに繊細で、あらゆる刺激に敏感なHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる人も居る。

 それに対応するためヨガとかマインドフルネスとか様々なメソッドが考えられていて参考になるが、自分に合うかは人それぞれだし、即効性のあるものでもない。

 だからせめて睡眠への気負いを解く言葉をかけてやるのだ。

 こういうのは眠ろうとする思いや眠れないことに対するいらだちや罪悪感が逆に悪化させる方に働くものだから。

 気休め程度ではあるのだが、アムロのように理系のロジックで考える傾向の高い人間には「最低限満たせばよい明確な基準、それも自分でもできるもの」を与えてもらうことは、安心…… あるいは心に許しを与えてもらうことと同意義だ。

 だから大いに納得してミヤビに感謝する。

 

「ありがとうございます、ミヤビさん」

 

 そんな飼い犬が主人に対して見せる全幅の信頼みたいな想いを向けられて、ミヤビは戸惑う。

 彼女にはそんな大したことを言った自覚は無いのだから当然である。

 まるでワンコみたいだなぁ、と現実逃避気味に考えるのだった。

 

「それでアムロは何をそんなに考えてるんだ? 寝付けないぐらいに」

 

 そう促すのはリュウだった。

 話してみれば楽になるんじゃないか?

 そういう気づかいだ。

 ミヤビはやっぱり彼は頼りになるなぁ自分と違って、と感心する。

 職場には欲しいタイプだと思う。

 アムロは少しうつむいた後、ためらいがちに口を開いた。

 

「連邦軍は僕たちをおとりにしているんじゃないかって」

「おとり?」

 

 首をかしげるハヤトに、アムロは言う。

 

「連邦軍はもっと新しい兵器を開発しているんだよ。それが完成するまでの間、敵の目を引き付けておく。おとりなのさ、僕らは」

 

 考え過ぎだろう、とリュウは言おうとして、

 

「半分は合ってるのかしら」

 

 というミヤビの言葉に目をむく。

 

「ミヤビさん……」

「守秘義務があるからどうしても一般的な事柄しか言えなくなるんだけど」

 

 と、ミヤビは前置きして言う。

 ミヤビ自身、RX計画に招聘されて、その後V作戦に組み込まれてという立場があるが、彼女はヤシマ財閥令嬢。

 例えばミヤビの前世の記憶に、

 

『ガンダムって何であんなに軽いのさ』

 

 という疑問に対して、

 

『外骨格がルナ・チタニウム合金の中空フレームと、高強度プラスティックを融合成型したものでできているから』

 

 という設定を語っている書籍があったが、この技術の開発には『プレーン金属』『プレート・テクニクス』『八洲軽金属』といった企業が参加しており、この『八洲軽金属』はその名のとおりヤシマ重工の関連企業。

 実際、この世界でも実在し、V作戦にも参加している。

 つまりヤシマ財閥令嬢である彼女は知ろうと思えばそういった内容を知れる立場であり、話は個人の情報漏洩で収まらないのだ。

 

 ミヤビは前世でもこういった情報に触れる立場にあり、守秘義務の順守はもちろん、自社株も含め顧客、取引先等、インサイダー取引に引っかかるような銘柄の株は自由に売買できないなどの制限を受けていた。

 業務上知った内容で株を買って大儲け、とかはやっちゃいけないことなのだ。

 まぁ、自社株なら従業員持株会の制度を使って給料天引きで買うこともできるが、これもインサイダー情報に触れられる部署に居る間は口数変更ができないなど制限がある。

 

 またミヤビほどの立場でなくとも守秘義務は大事で、多くの工場でスマホ、携帯の持ち込みが禁止だったのは技術漏洩よりもっと切実な問題があったためだ。

 一般の工場作業員が「今休憩中。うちの工場では某〇社の××(製品名)に使われてる部品を作ってるんだぜ」とTwitterなどのSNSに上げる、なんてことをされるとさぁ大変。

 バカッターどころの騒ぎではない。

 発注元の某〇社から重いペナルティを課せられた上、契約を切られるなどといった死刑宣告を受けかねないのだ。

 職場で撮った自撮りの背後に製品が写っていた、というのももちろんダメで、だからデジカメもカメラが付いたスマホ、携帯も持ち込み禁止なのだ。

 

 なお業界人のトークにおける某〇社の〇には英字が入るのが普通だが「その業界で〇社って、あそこしかないじゃん!」という具合にバレバレなので意味が無かったりする……

 

 そんな具合なので、ミヤビの話はどうしても迂遠にならざるを得ない。

 いや、立場に配慮するなら沈黙することが利口なのだが、アムロたちのメンタルを考えるとそうもできないのが悩ましい。

 

「まずガンキャノン…… RXシリーズのモビルスーツって、どう考えても量産に向いてないから数をそろえるならそのままじゃダメよね。だから新型は確実に開発してるでしょう」

 

 つまりアムロの言う「連邦軍はもっと新しい兵器を開発しているんだよ」は当たり前の話なのだ。

 

「ただ量産機は試作機にあった色々な問題を解決し、その試験結果を反映されたより強い兵器になるのが普通なんだけど……」

 

 ガンダムの影響か、前世のアニメでは逆のことが多かったが。

 例外は『機甲戦記ドラグナー』の量産機、ドラグーンぐらいか。

 

「前に教育型コンピュータの話はしたでしょ。あんな風なコストは量産機ではかけられないから」

「つまり?」

「通常とは逆に量産される新型機はガンキャノンほど高性能なものにはならないでしょう、ってことになるわ」

 

 そこから導き出される結論は、

 

「今後、量産される機体よりはるかに高性能な、高度の最新技術を満載した実験機。こんなものを鹵獲されてリバースエンジニアリング…… 分解解析されて技術漏洩したら大ごとよ。だからホワイトベースを囮にするようなバカな真似はできないと思うわ」

 

 ということ。

 もちろんこれはアムロたちを安心させるためのウソだ。

 時に人間は、理屈に合わないことも平然とやってしまうもの。

 歴史を振り返れば、

「何でそんなバカな真似したのさ?」

 ということなど無数にあるものだ。

 

 そして……

 最悪のパターンだって存在する。

 つまり、上層部が兵の命を何とも思っていない場合。

 損害を気にせず物量戦で押しつぶすつもりだから、試作機なんてどんなに高性能であっても量産機の目途が付いたらお役御免だよね、と考えているケースだ。

 

 まぁ、そんなことは皆には絶対言えないわけだが。

 ミヤビは内心の考えを表情に出さないこの顔に感謝しながら語る。

 

「だからそんなの考え過ぎよ。その証拠にすぐ補給も受けられるはずよ」

 

 頼みますね、マチルダさん。

 そう、ミヤビは心の内で祈るが……

 

 その願いがマチルダには届かないことを、彼女はまだ知らない。

 

 

 

 リード中尉とブライトは今後について話し合うが、

 

「武器弾薬は底を尽き始めているんだ。今度大きな戦いがあったら支えきれん」

「わかっています。だからどうしたら生き抜けるのか考えているんでしょう」

 

 とは言うものの、そんな都合のいい考えがホイホイ浮かぶはずもない。

 無から有は産み出せないのだ。

 

「生き抜くだけなら簡単だよ、ブライト君」

 

 リード中尉の沈痛なつぶやきに、何を言いたいのか察したブライトは、

 

(冗談じゃない)

 

 と内心毒づくが、リード中尉はそのように言葉を飲み込むことはなく、

 

「ホワイトベースを捨てりゃあいいんだ」

 

 と言う。

 ミヤビが聞いたら大喜びだろう。

 

(最悪、機密保持のためホワイトベースを搭載機ごと自沈させて投降すればいいんだし、責任問題は父さんとゴップのおじ様にお任せすればそう酷いものにはならないだろうし)

 

 と考えるはずだ。

 実際問題、戦争など外交オプションの一つでしかないのだから、ある程度までは頑張るにしろ、これ以上は不可能となったら現実的な方策を取るべきだ。

 そもそも戦争にまで発展したのは政治の怠惰なのだから。

 

 

 

 この世界でミヤビが違和感を覚えるのは、レビル将軍やマスコミはギレン・ザビをナチスドイツのアドルフ・ヒトラーに例えるが、どうしてそこで思考が止まってしまうのか、ということ。

 民主主義国家から独裁者なんてものが台頭するには、それなりの環境が必要だ。

 歴史に学んで発生しないよう予防策を取ればいいのに、何でそうしようとしなかったの?

 ということだ。

 

 例えば第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約でドイツが課せられた賠償金は疲弊したドイツの経済問題をさらに悪化させ、その結果生じたハイパーインフレはワイマール共和国を失敗させ、ナチスとヒトラーの台頭をもたらした。

 第二次世界大戦後の戦後処理はこれを教訓に行われ、以後巨額の戦争賠償金を敗戦国に課す、というようなことは無くなったのだが。

 

 連邦は戦争賠償金なんて課していない、と思っているのだろうが、それより質が悪い。

 コロニー建設費用の徴収なんて。

 地球連邦政府、アースノイドにしてみれば高速道路の料金のように受益者負担で連邦がコロニーを建設するにあたって作った借金を住人が返済するのは当然だろうが。

 しかし棄民政策で無理やり地球を追い出されたスペースノイドにとっては、

 

「監獄造ったからそこに入れよ。当然、監獄の建設費用から維持までお前ら持ちな。シャバ(地球)には一生戻させねぇから」

 

 と言われているようなもの。

 要するに感情的には地球に住む権利をめぐって争い、敗れた相手に課した巨額の戦争賠償金のようなものに成り果てているのだ。

 納得できるはずがない。

 

 そうやって独裁者を生み出す土壌を整え、自分たちでせっせとザビ家独裁を大きく育てておいて、殴られて大騒ぎするというのも間抜けなことだった。

 

 

 

 まぁ、そんなミヤビ個人の考えはともかく。

 

「……リード中尉」

 

 ブライトは怒鳴りたくなる自分を懸命に抑えながら、それでも、

 

「だったらどうなるんです? 今日までの我々の戦いは!」

 

 と訴えずにはいられない。

 

 しかしこれは非常に危険な思考である。

『コンコルド効果』というやつだ。

 ダメだったらさっさとあきらめ損切をしなければならないのに、それまでつぎ込んだものが惜しくて正常な判断が下せず、挽回できるはずも無いのにずるずると損失を増やしてしまうというもの。

 株やFXで資産を溶かしたり、ギャンブルで身を持ち崩す人間と共通する考え方で、超音速旅客機コンコルドの失敗にちなんで語られるものだ。

 

 リード中尉は目をそらすと、こう答える。

 

「無意味ではなかったはずだ。一人一人戦い抜いていけるという自信はつけたよ」

 

 気休め、ではあるがブライトの訴えは感情論なのでそうならざるを得ないところだ。

 そこにリュウがブリッジに入室してくる。

 

「ブライト、艦内の破損個所の応急修理は終わったぞ」

 

 ブライトは気を取り直してうなずくと、

 

「他の者は?」

「ああ、それぞれの乗機の確認が終わって休憩、待機しているところだ」

 

 その報告に、ブライトは思いつく。

 

「パトロールを出しましょう」

 

 と……

 

「フラウ・ボゥ、アムロを呼び出してくれ」

 

 そう指示を出すが、しかしアムロの部屋で通信を受けたのは人形じみた美貌の女性。

 

「ミヤビさん? そこ、アムロの部屋じゃ……」

 

 言いかけるフラウに、

 

「アムロなら私の隣で寝てるわ」

 

 と、声をひそめながら通信の音声送受信をハンズフリースピーカーから受話器に切り替えたミヤビが答える。

 ガツンと頭を殴られたような衝撃を受ける一同。

 特にフラウ。

 

「ね、寝てるって……」

 

 震える声でつぶやくフラウに、ミヤビはしーっとばかりに立てた人差し指を口元に当てて、

 

「無粋なことは言わないでね。こういう時は沈黙を貴ぶものよ」

 

 と、ささやくように、聞く者の背筋をゾクゾクさせるような声で言う。

 それで男どもは顔を赤らめ、フラウの顔色は血の気を失ったかのように蒼白になる。

 

(また姉さんは誤解を招くようなことを……)

 

 と呆れるのは妹のミライだ。

 もちろんミヤビとアムロの間には他の者が考えているような、えっちぃことなどまったく無い。

 眠れない、というアムロにそれじゃあということで、マインドフルネスとかマッサージを試してあげたら、元より睡眠不足のアムロ、あっさりと寝入ってしまっただけである。

 ミヤビの思わせぶりなセリフも、寝ているアムロを起こさないように、そして寝ないとダメな彼女の体質が言わせた『睡眠は大事!』という意識の表れであってそれ以上の意味はない。

 普通の人間がやっていたら「絶対狙って言ってるよね、そうじゃないといくらなんでもおかしいよね」と思うだろうが、これまでの経験上、ミライには姉にはまったくそういう意識は無いことは分かっている。

 分かっているだけに脱力するほかない。

 

 そして、いち早く再起動したのはやはり気配りの人、リュウだった。

 

「ブライト……」

 

 そう言って彼の肩にポンと手を置き、意識を自分に向けさせると、

 

「俺とハヤトでパトロールに出よう」

 

 野暮なことをせずに、二人をそっとしておこうという気づかいだ。

 そして声を潜めてブライトにささやく。

 

「俺たちもアムロをあてにしすぎる。ストレスもだいぶ溜まっていた様子だったしな。ミヤビさんは身をもってそれを受け止めてくれた……」

 

 あからさまに言わなくても分かるだろう、とリュウは言葉を途切れさせる。

 ブライトはそれで納得…… いや、納得はしていないがリュウの語る内容が示すところを理解したのだが、彼らは気づいていない。

 その会話がフラウの耳にも届いていたことに……

 

「……許せないッ! 絶対によ!」

 

 フラウがかすれたような声で、そうつぶやいていたことに。




 アムロを幼馴染ヒロイン、フラウから寝取るミヤビ。
 やはり『ヤシマの人形姫』は、その名にふさわしく男を惑わさずにはいられない魔性の存在だった(誤解)

 次回は修羅場の続き、そしてこのお話のサブタイトルになっている、ガンキャノンが翔べるかどうかについてお届けする予定です。
 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。

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