ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第17話 サラツー脱走 Aパート

 少年たちは訓練を続けながら中央アジアへと進んでいた。

 サイド7以来、終わることのない戦いの日々が続く。

 

 砂漠上に対峙する二機のミドルモビルスーツ。

 

【挿絵表示】

 

「ドラケンE改の調子はどうだい、サラツー?」

『もちろん問題ないわ』

 

 アムロの操る機体には一時的にガンキャノンのサポートAI『サラツー』がインストールされている。

 と言っても彼女のAIプログラム自体は『サラ』と呼ばれるオリジナルと変わらない。

 それゆえドラケンE改の制御にも支障はない。

 

『20パーセント減のリミッターをかけたミヤビさんの機体の戦闘シミュレーションも完璧よ』

「それは…… 速過ぎないかい?」

 

 これから戦うことになるミヤビ機への対策も万全と言うサラツーにアムロは驚くが、

 

『ガンキャノンの教育型コンピュータを使って計算したから』

 

 という答えが返ってくる。

 要するにちょっとしたスパコン並みの性能を持つガンキャノン、コア・ブロックの教育型コンピュータをメインフレーム、ホストコンピュータに見立てて、その高い処理能力で計算を行って結果だけドラケンE改で受け取ったということだ。

 

『ザクとグフの戦闘シミュレーション作成を事前にやってたからその応用。簡単だったよ』

「そうか……」

 

 アムロはミヤビの機体を見据え、こうなった経緯を思い返す。

 

 

 

 ブリッジのコンソールを利用して、計算を繰り返すアムロ。

 実際にはこのコンソールはガンキャノンの教育型コンピューターのターミナル端末として機能しており、サポートAIサラツーが実計算を担当していたが。

 

「えらくご熱心じゃねえか。何やってんだ?」

 

 そう冷やかすカイに、

 

「戦闘シミュレーションを作ってるんです」

 

 とアムロは答える。

 

「え?」

 

 キョトンとするカイに、

 

「手に入れたザクのおかげで具体的な性能がわかったんです。その数字とガンキャノンの性能を組み合わせて、今より正確な戦闘のパターンを作れないか試しているんです」

 

 そう説明する。

 

「けどよ、捕虜の言ってたグフって新型のモビルスーツにはどうにもなるまい?」

「ザクの性能より20パーセント増しでやってます」

「ほーう、さすがアムロ君ね」

 

 感心するカイだったが、

 

「アムロ、ちょっと見せてもらえる?」

 

 と、横から現れたミヤビが口を出す。

 

「は、はいどうぞ」

 

 アムロは嬉しそうにミヤビに席を譲る。

 人柄も、そして技術者としても尊敬しているミヤビに自分のやっていることの成果を見てもらえる。

 これで喜ばない者は居ないだろう。

 

 通信席では、

 

「……馬鹿なアムロ」

 

 などと暗い呟きを漏らすフラウが居たが。

 

「よくできてるわね」

「そ、そうですか?」

 

 頬を赤らめるアムロ。

 

『当然じゃない。私が手伝ったのよ』

 

 サラツーも満足げだ。

 

『もっと褒めていいのよ』

 

 とまで言う。

 ミヤビは苦笑するようにわずかに瞳を細めると、しかし慎重さが感じられる声でこう語りかける。

 

「ただ…… 見落としている要素があるから、そこを考えないと」

「えっ?」

 

 戸惑うアムロに、ミヤビは考え込み、

 

「ドラケンE改を使うのが一番分かりやすいでしょうね。ねぇアムロ」

 

 そしてミヤビはアムロにこう持ちかける。

 

「私とバトリングしない?」

 

 と。

 

 

 

 バトリングとはミヤビの前世の記憶の中にあったアニメ『装甲騎兵ボトムズ』のアーマードトルーパー同士の戦闘を使った賭け試合。

 それを参考にドラケンE改同士がリング上、フィールド上で格闘を行うものだ。

 なお火器を使うリアルバトルはさすがに模擬弾を使う。

 実弾を使う闇バトルが密かにどこかで行われているという都市伝説もあったが。

 

『それじゃあルールは火器を使わないレギュラーゲームで。いいわね、アムロ、サラツー』

 

 ミヤビからの通信。

 レギュラーゲームは武器無しの殴り合いだ。

 甲壱型腕ビームサーベルにはクローが備わっているが、これにはエッジ、つまり刃がついていないことから掴む、爪を閉じて殴るなどの行為はOK。

 ただクロー先端で突き刺す、刺突武器としての使用だけが禁止とされる。

 

「は、はい。でもいいんですか? ミヤビさんの機体をリミッターで二割減の出力に抑えてしまうなんて。確かに僕はドラケンに慣れていませんからハンデは要るかも知れませんが」

 

 アムロは戸惑いがちに聞くが、

 

『これ、勝負が目的じゃないから』

 

 と、ミヤビにあっさりと答えられる。

 

『ザクの機体を手に入れたことで具体的な機械性能が分かった。だからそれを基に戦闘シミュレーションが作れる、そうよね?』

「は、はい」

『その理論なら、出力二割減のドラケンE改の挙動も戦闘シミュレーションで予測できる、そうよね?』

「そうですね」

 

 当然だ。

 

『それが本当かどうか実際にあなたの目で確かめて、という話よ』

 

 なるほどとアムロは納得する。

 そして、ミヤビは叫ぶ。

 

『ドラケン・ファイトォ!』

 

 応えるアムロ。

 

「レディーッ!」

 

 そして二人の声が唱和する。

 

『「GO!!」』

 

 まずはローラーダッシュでお互いに加速。

 足元は普通なら足やタイヤを取られる砂地だが、ドラケンE改は長い板状のつま先を微妙に反らすことで、追加オプション無しでスキーのように砂上(または雪上)を滑走が可能だ。

 

 だが!

 

「なに!?」

 

 戦闘シミュレーションの予測はいきなり外れることになる。

 ミヤビのドラケンE改はリミッターがかかっているにも関わらず、アムロの機体と同等のスタートダッシュを見せたのだ。

 

『そ、そんな!? 本当にリミッターがかかっているの?』

 

 サラツーもまた驚きの声を上げる。

 

「わ、わからない。フルパワーの僕の機体がなんでリミッターのかかったミヤビさんの機体に勝てないんだ?」

 

 混乱するアムロ。

 

『説明はできるわよ。時にはパワーが出すぎていてもだめな時があるってことね……』

 

 通信機越しにミヤビの説明が聞こえてくる。

 

『出力が高い、パワーウェイトレシオが高いということは直線では心強い味方だけど、スタートダッシュやコーナーなどの立ち上がりでは機体の挙動を乱す諸刃の剣なのよ』

 

 そう、この砂漠の上ではいかにタイヤ内の空気圧を調整し接地面積を広げることでグリップを稼ぐ接地圧可変タイヤでも限界はあるのだ。

 

『その点、リミッターでパワーセーブされていれば、気にせずガンガンアクセルを踏んでいけるから』

 

 つまり、

 

『この砂漠のようにグリップが悪いオフロードでは非力でも思い切って踏んでいけるマシンの方が速いことがあるってわけ』

 

 ホイールスピンを警戒してじわりとアクセルを踏まざるを得ないアムロより、非力でもぐっと踏み込めるミヤビの方が有利だったということ。

 雪道でホイールスピンを防止するため2速で発進するセカンド発進と似た理屈だ。

 

「ミヤビさんと競うために、フルパワーで対抗したのが僕のアダとなったわけか……」

 

 そして同時に、

 

「切りかえしが速い!」

 

 ミヤビはターン、そして地形の凹凸、段差の処理が速い。

 

『オフロードバイクではアクセル、クラッチ、ブレーキ、ハンドリングはもちろん、荷重のコントロールによりトラクションを稼いだり、さらにはサスペンションの挙動まで使って走りをコントロールするわ』

「サスペンションの、挙動?」

『ブレーキングを行えば、段差に乗り上げればフロントサスが沈む。またジャンプで着地すればリアサスが縮むことになるでしょう、当然それは元に戻るときに反発力を産む』

「それを利用してコントロールする?」

『そう、そしてさらに人型であるドラケンならこんなこともできる』

 

 ミヤビの機体はターンするごとに弾かれるように加速する。

 

「これは!」

『クロスカントリースキーのステップターンを応用したものね』

 

 ノルディック、距離スキーとも呼ばれるクロスカントリースキーでは、方向転換はステップターン、要するにスケートのように内足を上げ、外足で蹴って行う。

 遠心力のかかる外足をというより体全体をバネのように縮めたわめ、それを解放、蹴ることで方向を転換すると同時に、推進力とする。

 それと同様にドラケンE改なら、

 

『遠心力でサスに貯められた力を、進行方向に向かって開放することで加速するのよ』

 

 さらに階段状の段差を下りるミヤビのドラケンE改が、

 

「加速した!?」

 

 ぐん、とその機体が弾かれるように勢いを増した!

 

『これも距離スキー、クロスカントリースキーで使われるテクニックよ』

 

 段差を下りる際に、蹴るように下方向に荷重をかける。

 するとすでに段差を降りているスキー板先端と、まだ降り切っていない後端の真ん中に荷重がかかり、弾力を持つスキー板が反り返ることになる。

 それが戻る力がバネとなり、推進力に変換されるのだ。

 

 ドラケンE改の場合は長いつま先をスキー板のようにして滑走しているが、同様にそのつま先と、スキーで言う板の後端、すなわちかかとに備わったグライディングホイールを支えるサスペンションが縮み、戻る力が推進力に変換される。

 

 これらはミヤビが前世においてクロスカントリースキーを学んでいたからこそ生み出された技。

 通常の、斜面を降りることをいかに速くこなすかが勝負となるアルペンスキーと異なり、山あり谷ありのコースを自力で走り抜けなければならないクロスカントリースキーで、少しでも推進力を稼ぐためにあったテクニックを応用したものだった。

 

『そして、そろそろ行くわよ!』

 

 ミヤビのドラケンE改の右腕が唸り、先端のクローを閉じた状態の甲壱型腕ビームサーベルが鈍器として繰り出される。

 

「うわっ!?」

 

 慌てて回避するアムロ。

 しかし、

 

「速い!?」

 

 ミヤビの機体の動きは戦闘シミュレーションの予測をことごとく上回る。

 

『駄目だよアムロ、戦闘シミュレーションの予測がかえって邪魔になってる』

 

 サラツーの言うとおり。

 当たらない予測など、パイロットを惑わすだけだ。

 

『それじゃあ、そろそろアムロも反撃して』

「は、はい!」

 

 ミヤビに促され、対抗して打ち合うアムロだったが、

 

「互角!?」

『そのようね』

 

 ミヤビの機体は出力が二割減に制限されているにも関わらず、アムロの機体と対等に打ち合っていた。

 

「そ、そんな、走行テクニックならまだ分かります。でも純粋なパワー勝負でこれは……」

『パワーって言うけど、モビルスーツの機械的出力ってそんな簡単に数値化できるものなの、アムロ?』

「はい?」

『ジェネレーターの出力とか、ロケットエンジンの総推力とかなら割と簡単に数値化できるけど、そうじゃない機体の機械的トルク、出力は?』

「そ、それは……」

『車ならエンジンの軸出力がそれになるんでしょうけど、モビルスーツの力は人体と同じく各関節の動きが総合的に組み合わさって出されるもの。パンチ一つとっても腕力だけで殴るのと、踏み込み、体重移動、身体のひねりなど全身を協調一致させて放つのとでは威力がまるで違う』

 

 そういうことだった。

 アムロは悟る。

 

「か、完全に失敗か。モビルスーツは操縦者とか環境でまるっきり動きが違っちゃうってことか」

 

 唇を噛み締めるアムロ。

 

「根本的にやりなおさなくっちゃいけないのか」

『無駄にはならないわよ』

 

 ミヤビは打ち合いながら説明する。

 

『どんなに操縦が上手くても物理法則は超えられないのだから、使いどころさえ見極めれば正確な敵のデータは有力な武器になるわ』

 

『機動新世紀ガンダムX』のジャミル・ニートは、

 

「たとえ精神波でコントロールされていても、物理的な物体なのだ」

 

 という理屈でビットによるオールレンジ攻撃を完全に見切り、ニュータイプ能力に頼らずにその軌道を読んでビットを次々と撃ち落して見せた。

 要は使いどころだ。

 

「そういうことですか……」

『ええ、それを実体験で知って欲しかったから今回は誘ったのよ。身をもって体験して納得しないと本当の血肉にならないから』

 

 

 

 アムロとミヤビの訓練の模様と、その通信内容はホワイトベースのブリッジにも伝えられていた。

 

「ミヤビさん……」

 

 ブライトはせつなげにつぶやいて、詰襟のホックに指をかける。

 しっかりと止められているのを確かめるように。

 そして思わず外してしまいたくなる心を押しとどめるように。

 

「ブライト?」

 

 そんなブライトの心情に気付いてか、ミライが気づかわしげに声をかける。

 ブライトは女性にそんな表情をさせてしまう自分に自嘲しながら、しかしそれでも何とか笑顔で答える。

 

「我々は一人の成長を待ってるほどのんびりはしてられない」

 

 それは切実な響きのある声だった。

 

「教習所じゃないことは確かだけれど……」

 

 言いかけるミライだったが、ブライトは手をかざしてそれを止める。

 

「君の言いたいことは分かる。いや分かっているつもりだ」

 

 しかし、

 

「それでもやはり手が足りない。余裕が無いんだ。いや、余裕が無いのは僕自身なのか……」

 

 自分で言うようによほど余裕が無いのか、それともミライには気を許しているのか、『私』ではなく『僕』と言うブライト。

 そんなブライトにミライは語りかける。

 

「何もかも、あなた一人で背負うことは無いのよ」

 

 と。

 

「ああ、分かってるよ、ミライ」

 

 ブライトは彼女に微笑んで見せると、ブリッジの向こう、ミヤビのドラケンE改の姿を眺めながら言う。

 

「君たち姉妹には助けられてばかりだ」

「姉さんが?」

 

 ミライには……

 ミヤビのポンコツな中身を知る彼女には、姉は自分の興味の赴くまま、自由に好きなことをやっているようにも見えるのだが。

 

「今もそうだ。私にはアムロのことを深く理解してやることも、教え導くこともできないでいる。それをミヤビさんは代わってやってくれているんだ」

 

 それは考え過ぎなんじゃ、と思うミライだったが、しかし過去に実際、同じように助けられている自分も居て。

 

 人間は社会性の動物だ。

 他人が困っていて、それが自分にできることならやってあげたいと思うのは自然なこと。

 そしてやってあげたことで感謝される。

 それにより承認欲求が満たされ、本人もまた幸せになることができる。

 ミヤビは昔からそういう正の連鎖、良いサイクルに自然と乗ることができる、ある意味天然な人物だった。

 

 だからミライは良いように取る。

 

「そうね、自慢の姉さんだから」

 

 というように。

 

 

 

「じゃあ、ラストはパワー戦よ! ギガンティックシザース!」

 

 ドラケンE改の左腕、肘から先が二つに割れる。

 ドラケンE、そしてドラケンE改が標準で備えている二重下腕肢マニピュレーターは先端に付いた精密作業を担当する3本指ハンドとは別に肘から先がカニのはさみのように二つに割れて大きな荷物をつかめる機能を持っているのだ。

 

 なお、音声起動コマンドの元ネタは『機動新世紀ガンダムX』登場のゲテモノガンダム、ガンダムアシュタロン・ハーミットクラブの武装である。

 

 そしてアムロ機の右腕、甲壱型腕ビームサーベルをそれで掴み動きを封じると、右腕を振り上げ……

 

「さすがアムロ! 反応が、適応が速い!」

 

 やはりアムロ機の二重下腕肢マニピュレーターに止められる。

 

『これなら!』

 

 そう叫んで力押しでミヤビの機体を抑え込むアムロ。

 こうやってつかみ合いになってしまえば純粋なパワーがモノを言う。

 つまり出力二割減のミヤビの機体は完全に力負けしてしまう。

 そしてミヤビは言う。

 

「そう、これで分かったでしょう、アムロ。どんなに操縦が上手くても物理法則は超えられないのだから、使いどころさえ見極めれば正確な敵のデータは有力な武器になるということが」

『あ……』

 

 それを教えるためにミヤビはあえて不利なパワー戦を仕掛けてみせたわけだ。

 

「まぁ、柔道をやっているハヤト君なら「相手がいくら大きい人でも、腰を引いた瞬間とかバランスを崩した時なら倒せるものです」と言うかもしれないけど」

『ハヤトが?』

「実際、体重、つまり筋肉量に勝るリュウを投げてたし」

 

 あれはアムロの故郷近くの砂浜でのことだったか。

 

「それも相手がまったくの素人のリュウだったからこそだけどね。そもそも筋力差のある相手の体勢を崩すのは困難であるからこそ、柔道の試合は重量制なのだし」

 

 心得がある者同士であれば、組み打ちではやはり筋力差、純粋なパワー差を覆すことは難しいのだ。

 多少技術で優っても、だ。

 

「私は柔道は苦手だったからこうするけど」

 

 そう言ってミヤビは、あっさりとアムロ機の二重下腕肢マニピュレーターによる拘束を外して距離を取る。

 

『そ、そんな、今何をしたんですかミヤビさん!』

 

 驚くアムロに、

 

「少林寺拳法の『十字抜』って技をドラケン向きにアレンジしたものね」

 

 とミヤビは説明する。

 少林寺拳法は『守主攻従』

 文字どおり、まず守りそこから反撃する形を取るため掴みかかられた時にカットする技が豊富なのだ。

 

「手で掴まれた場合、外しやすい方向っていうのがあるの。具体的には親指の方向。そこを関節の可動範囲を考慮して、腕自体をテコとして使って押し切るわけ」

 

 親指一本の力と腕の力、それもテコの原理で増幅されたものでは勝負にならない。

 場合によっては自分の体重をかけることもあるし。

 

「モビルスーツでも同様よ。指が破損しないよう安全装置が働いて指関節のロックが外れてくれるから」

 

 ドラケンのカニ状のはさみ、二重下腕肢マニピュレーターから逃れるのも同じだ。

 

「一応ね、ドラケンE改の制御OSのライブラリには主要な格闘技、スポーツのデータが入れられていて、ある程度の再現や応用ができるのだけれど」

『えっ? そうなんですか?』

 

 モニター越しにきょとんとした顔をするアムロに、ミヤビは苦笑して。

 

「ただし、基本動作以外は当人がアクティブに設定しないと使えないけど」

『それは?』

「補助AIであるサラがライブラリから最適な技を選択して再現する、というのも当初考えられたけど、それって操縦者の想定外の動きをするってことだから上手くいかなかったの」

『ああ……』

 

 納得するアムロ。

 サラツーも、

 

『ガンキャノンでもそれは同じだよ』

 

 と言う。

 それを受けてミヤビは説明する。

 

「だから様々な技を知り、使えるように設定すれば、戦闘の選択肢も増える」

 

 ただし、

 

「もっとも増やし過ぎてどれを使うか迷いが出るようだとそれもまたまずいんだけど」

 

 という問題もある。

 パイロット自身もそうだが、サポートAIであるサラたちはパイロットのやろうとしていることを先読みすることで機体制御を補助するため、選択肢がありすぎるとそれも阻害されるのだ。

 

「戦場では同じ相手と二度以上対峙する事は稀であり、技を見切られる心配をするよりも、己の得意技を徹底的に磨き上げ相手を一撃で確実に仕留める方が合理的、と言う考え方もあるわ」

 

 ミヤビの記憶にあるマンガ『るろうに剣心』では斎藤一がそういう理屈で左片手一本突きを極めた『牙突』と言う技を使っていた。

 そういった方向で極めるのもまたありだろう。

 

「なるほど」

「もっともシャアのように何度でも再戦してくる手合いも居るし、ネームドになるとその戦術も対策が検討されるようになるから、あまり一つのパターンに固執するのは危険になるんだけどね」

 

 史実の『連邦の白い悪魔』みたいにアムロが有名になればそうなる可能性も上がるのだ。




 このお話、原作では鹵獲ザクから得られたデータにより戦闘シミュレーションを作ったものの、

>「ザクもグフも操縦者とか環境でまるっきり動きが違っちゃうってことか」

 ということで役に立たなかったというものでした。
 じゃあ、それって具体的にはどういう理屈なの、というのが今回のお話。
 そうやって事前にトラブルの芽を摘むミヤビなのですが、サブタイトルから結果はお察し、という……

 次回はサービスシーンと、久しぶりにシャアとガルマのモビルスーツ対談となる予定です。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。

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