ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第19話 ランバ・ラル特攻! Dパート

「リュウ、ハヤト、帰還しろ。ここから離脱する。損害があまりにも大きすぎた」

 

 ブライトは無線で指示を出す。

 

「アムロ、回線を開け。収容作業を手伝ってもらう」

 

 

 

 そして独房に放り込まれるアムロ。

 

「どんな理由があろうとチームワークを乱した罪は罪だ」

 

 ブライトの物言いに、アムロは反発する。

 

「一方的すぎます、僕だって好きでホワイトベースを降りたんじゃない。僕の言い分だって聞いてくれても」

 

 史実とは違いアムロはサラツーに拉致られているのだから、その主張は正当なものだったが、ブライトは、

 

「聞く訳にはいかんな」

 

 と退ける。

 

「ブライトさん、ランバ・ラルは必ずまた攻めて来ます、僕とサラツーがガンキャノンを動かさなければ」

 

 そう言い募るアムロだったが、事情を知らない者にはそれはまったく反省していないように受け取られる。

 だから、

 

「アムロ」

「リュウさん」

「なぜ俺がお前を呼びに行ったと思う?」

「僕とサラツーがいなければ戦えない」

「……うぬぼれるなよ。ガンキャノンさえ戻ってくればと思ったからだよ」

 

 リュウもあえて、きつく当たる。

 カイもまた、

 

「そのへんをよっく考えんだな、え? アムロ」

 

 と皮肉めいた口調で言い捨てる。

 とはいえ、カイはカイなりに気を使っている。

 普段、温厚なリュウが怒って見せているのだ。

 これ以上、マジに追い込むことは無いと、あえておちゃらけた、軽い態度を取っているのだ。

 

「リュ、リュウさん、カイさん、リュウさん」

 

 

 

 ブライトは必死に叫ぶアムロを置いて、廊下を歩む。

 

「徹夜で修理をしなければ。あのギャロップとかいうのも手傷は負ったらしいが、また来るぞ」

 

 しかしリュウは、

 

「ああ。あれでいいのかな?」

 

 と気をもんでいた。

 はやり彼は気配りの人。

 必要があれば厳しく接するが、根本の部分では気は優しくて力持ちな人物なのだ。

 

 

 

「……話をすればわかるんだ、出してください。こんな所に入れることないでしょう。ブライトさん、ミライさんでもいいんだ。いやミヤビさんを呼んでください、話を聞いてください。リュウさん、セイラさん、話を、僕にだって言いたいことあるんだ!」

 

 人気のない廊下に、アムロの叫びが、彼が扉を叩き続ける音が木霊する。

 フラウはそれを離れた場所で聞き、

 

「馬鹿なアムロ」

 

 とつぶやく。

 

 ……ミヤビの知る史実でもアムロは皆の名を呼ぶが、フラウの名は一言たりとも口にしていなかった。

 つまり、それを考えるとフラウの、やはり史実どおりの「馬鹿なアムロ」という言葉も別な意味で受け止められるのだが、彼女の暗く病んだ表情も、そのつぶやきも誰にも見聞きされることは無かった。

 足元に転がる、ハロ以外は。

 ハロがサラたちのように感情を持った…… 恐怖を感じ取れるようなAIを搭載していなくて幸いといったところだろうか。

 

 

 

「テレビモニターで聞こえてるはずです、答えてください、セイラさん、セイラさん」

 

 ドアに手を突き、くずおれるアムロ。

 

「……僕とサラツーが一番ガンキャノンをうまく使えるんだ。一番、一番うまく使えるんだ……」

 

 そうつぶやくアムロの脳裏に、ラルの言葉がよみがえる。

 

 

「自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな」

 

 

 アムロは決意する。

 

「……ぼ、僕は、僕はあの人に勝ちたい」

『もちろん、アムロさんならできますよ』

 

 不意にアムロのつぶやきに頭上から答えが返される。

 シリアスな空気を緩めるような、暖かい声が。

 

「えっ?」

 

 そこには身長18センチ足らずの大きさのサラが、ドアの監視窓にはめられた鉄格子の隙間をすり抜けて中に入って来ようとしている姿があった。

 そう、ミヤビの前世の記憶にあるアニメ『ガンダムビルドダイバーズ』登場の、モビルドールサラである。

 

「えっ、は?」

 

 アムロには何が何だか分からない。

 

『きゃっ!』

 

 足を滑らせて落っこちてくるサラを慌てて受け止めようとして、

 

『ヒートワイヤー、射出!』

 

 サラは右手、ヒジから先だけメカニカルなアームに換装された…… というか、グフカスタムそのものの腕からアンカー付きワイヤーを射出。

 独房の窓の鉄格子にそれを引っ掛けて落下を止める。

 飛べない彼女がどうやって独房の窓まで上がって来たのかと言うと、こういう仕掛けがあったのだ。

『機動戦士ガンダム第08MS小隊』登場のノリス・パッカード大佐の操るグフカスタムのようなワイヤーアクションである。

 

 なお、元ネタに基づいて『ヒートワイヤ―』と名付けられているが、別段溶断機能など付いていない。

 グフカスタムのものだってノーマルタイプに準じて言っているだけで溶断機能は付いていないのだから何だが。

 

 ミヤビは最初、マンガ『進撃の巨人』登場の立体機動装置を再現しようとしたが、首筋に寒気を覚えたので断念した…… という経緯がある。

 

 そうして床に降りたサラはアムロに一礼。

 

『ごめんなさい、アムロさん。私の妹が迷惑をかけてしまって』

 

 そう言って謝る。

 

『サラツーから全部話を聞きました。それでミヤビさんが秘密で私を使いに出したんです』

「秘密で?」

『はい、このままだとサラツーが凍結、最悪消去されてしまうかも知れないので』

「それは……」

 

 それはアムロも心配していたところだ。

 

『今、サラシリーズと呼ばれる姉妹全員でハッキングを行ってログの改ざんを行っています』

 

 ミヤビも考えたのだが、素人なホワイトベースクルーを言いくるめるのはそんなに難しいことではない。

 しかし問題は、ホワイトベースとRXシリーズのログは補給部隊を通して随時、地球連邦軍本部に送られるということ。

 さすがに本職の技術者を口八丁で騙すことは無理である。

 

「だから記録の改ざんを?」

『はい。もちろんAAAの軍事機密であるホワイトベースとRXシリーズ、高強度の改ざん防止対策が取られていますが、スパコン並みの演算力を持つ教育型コンピュータ、それも複数でかかれば何とか突破が可能です』

 

 しかし、

 

『それでも…… もし真実がホワイトベースのみなさんに広まって、そのうちのどなたかがうっかりでも漏らすようなことがあれば』

「サラツーが危ない、ってことか」

『はい』

 

 そしてサラは思いつめた様子で土下座する。

 

「さ、サラ?」

『お願いです、アムロさん。妹のために、サラツーのために泥をかぶってはもらえないでしょうか?』

 

 それは……

 

「ブライトさんたちが誤解しているように、僕が自分の意思で脱走したってことにするのかい?」

『は、はい』

 

 頭を床にこすりつけ、サラはアムロに懇願する。

 

『お願いです。そのためなら私も、そしてミヤビさんもできることならなんでも、なんでもします。ですから!』

「頭を上げて」

 

 アムロは言う。

 穏やかな口調で。

 

『アムロさん……』

 

 顔を上げたサラが見たのは、ちょっと照れくさそうな、しかし優しい目をしたアムロの困り顔。

 

「なんて言っていいか分からないけど、女の人がそういうこと軽々しく口にしちゃダメだと思う」

 

 それでサラは分かった。

 サラツーがどうしてあそこまでアムロに依存してしまったのかを。

 アムロは、彼は自然にサラたちを人間と同じに、人格を持った対等の存在として扱ってくれる。

 その上で女性として見てくれる。

 だからなのだと。

 

 そうしてアムロはうなずく。

 

「いいよ。僕だってサラツーが居ないと困るし、サラツーには、いや君にもミヤビさんにもずっと助けられてきた。だからそれを返すだけさ」

『アムロさん……』

 

 泣きそうになりながら、いや、感情の高ぶりがカメラアイ用の洗浄液を流させ、本当に涙するサラ。

 というか、

 

「どうなってるの、その身体」

 

 メカマニアのアムロにはさっきからそっちの方が気にかかる。

 

『ああ、これは無線制御の歩行型ミニ・ドローンです。私がこの中に入っているわけではなく、ドラケンE改にインストールされている私が艦内ネットワークを通じて遠隔操作してるんです』

「へぇ」

『まぁ、私自身の体感としては、この場に居るように感じられるようになっているので、もう一つの身体と言ってもいいかもしれませんね』

 

 源流的には、ミヤビの前世、旧21世紀ですでに存在していたプログラムどおり動くダンスロボットあたりが元になっている。

 販売当時、美少女フィギュア愛好家…… 特に武装神姫やフレームアームズ・ガールなどといったフィギュアロボットファンたちからは、

 

「太すぎィ」

「コレジャナイ」

「不細工」

「オモチャだろこれ」

 

 などと言われていたが。

 しかし、そういったことは技術の進化によっていずれ解決されることだ。

 こういうものを「使い物にならんだろ」で済ませてしまうと、フィルムカメラメーカーが初期の低解像度のデジカメをあざ笑っていて対応が遅れたという事例のように、時代に取り残されることにもなりかねないのだ。

 

 また同時期の似たような存在として『ジオニック社公式MS講習コース ZEONIC TECHNICS』、本当に歩く「ザク」を組み立て、ロボティクスとプログラミングを学習できる教材が販売されていた。

 ジャイロセンサーや対物(距離)センサーを搭載した二足歩行ロボット。

 ロボットアニメ好きならこちらの方がより身近か。

 

 ミヤビならジャイロというと旧20世紀のロボット・ウォー・シミュレーションゲーム『バトルテック』を思い浮かべるが。

 致命的命中を食らってジャイロを壊されると立てなくなるやつ。

 

 ともかく、サラの歩行型ミニ・ドローンはこれらの商品コンセプトに沿って、基礎技術を地道に伸ばしていった末に誕生したものだった。

 

「ふぅん? その、手に取って調べさせてもらってもいいかな?」

 

 知的好奇心に突き動かされ、アムロはそう言う。

 

『えっ、その……』

 

 その申し出に戸惑うサラは、恥ずかしそうに視線をそらし、

 

『い、いいですよ。私も、アムロさんに、なら……』

 

 そう言って、その身体をアムロに差し出すのだった。

 

 

 

(私は一体何を見せられているの?)

 

 独房の監視モニターを前に、ミヤビは内心頭を抱える。

 先ほどアムロは、

 

「テレビモニターで聞こえてるはずです、答えてください、セイラさん、セイラさん!」

 

 と叫んでいたが、実際にはホワイトベースクルーにそんな暇なことをしている余裕はない。

 しかし万が一にも誰かが覗いたりしたらまずいので、ミヤビが、

 

「疲れが酷いので休憩も兼ねて。モニターの前で座ってるだけでいいのでしょう?」

 

 という具合に監視役を買って出ることで隠蔽工作を図ったのだが……

 

「へぇ、スカートは二層式になっていて、展開が可能か」

『あっ、アムロさん、そこは……』

 

 まぁ、ミヤビも前世は男性。

 

(青少年の気持ちも分かるけどね。いやアムロだと純粋に技術的好奇心に沿った行動?)

 

 それで身体の隅々まで暴かれ、見られてしまうサラ?

 

(……それはそれで何かえっちだ)

 

 と嘆息する。

 

(これ絶対、後でサラツーにばれて騒動になるやつ……)

 

 実際、そうなるのだった。

 

 

 

次回予告

 ホワイトベースに高速のホバー走行で迫る新型モビルスーツ!

「まさかドム!? あの機体がランバ・ラル隊に渡るなんて!!」

 自身の知る史実とは決定的に違う展開に、ミヤビは恐怖する。

 墜とされてしまうのか、ホワイトベースは。

 次回『死闘! ホワイト・ベース』

 君は生き延びることができるか?




 みなさんお待ちかね!
 新メカ、モビルドールサラの登場でした。
 ビルドダイバーズ最終回で手乗りサイズの彼女が登場した際には、

「リク君の嫁」

「二次元嫁が三次元に」

 などと言われていた存在ですが、このお話ではどうなるのか。
 闇堕ちしてるフラウに見つかったら「みぎぃ…」されてしまいかねないので気を付けないと。

 そして予告、『ギレンの野望』だとラルにドムを渡すとホワイトベースを墜としてくれるんですよね……

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。

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