僕らがアースラに来てから数日が経った。今はアースラの食堂で、僕らは歌野たちからこっちに来た経緯について話を聞いていた。
「私達はバーテックスによって追い詰められてたんだけど……寸前の所でこっちに来たんだよね」
「本当にギリギリだった……それにうたのんは重症で保護された後は暫くの間治療されていたの」
「そうだったのか……だけどこうして会えたのは嬉しいと思ってるよ。白鳥さん」
「ノンノン、こうして出会えて、一緒に戦うことになったんだからさ。名字とかさん付けは良いと思うんだよね」
「そっか……では歌野。これからは一緒に」
「OK」
若葉と歌野の二人は互いに握手を交わすのであった。そしてひなたと水都の二人もまた
「お互い巫女同士ですから、二人みたいにね」
「は、はい」
何とか仲良くなれそうだな。するとクロノが食堂に入ってきて鍵を渡してきた
「君に言われて調べてみたけど、本当に妙なものだな」
「というと?」
「材質は木で出来ているが、その一つ一つに魔力とは全く違うものを感じ取っている。君たちの言う神樹様の力と言うべきなのか?」
「それじゃ空くんたちの鍵は神樹様が与えてくれたものなの?」
「だけど何で僕は勇者と魔導師、両方なんだ?それに3本目は……」
「悪いがそこら辺詳しいことはわからない。戻ってから神樹様とやらに聞いてみたほうが良いんじゃないのか?」
まぁそっちのほうが確かに早そうだな。
するとクロノは今度は千景たちにあることを聞いてきた。
「君たちに聞きたいことがある。彼女……フェイトという少女の目的を」
「目的ですか……」
「タマたちはただ保護してくれた恩を返すために協力してただけだ。目的とか知らんぞ」
「僕の方でも頼んでおいたけど、どうにも口が固いみたいでな。フェイトの目的については本当にわからないみたいなんだ」
「そうか……」
クロノはすぐに諦め、食堂から出ていった。するとその後に千景が出ていった。僕は友奈となのはの二人を連れて千景を追いかけた。
「千景、何か知ってるのか?」
「……別に私は」
「あの千景さん、教えてください。私……フェイトちゃんがどうしてジュエルシードを集めているのか知りたいんです。もし出来たら協力できるかもしれないから……」
「ぐんちゃん……」
なのはと友奈が頼み込むが千景は黙り込んだままだった。僕はため息を付き
「口止めされているのか?」
「そういうわけじゃないわ……ただ……」
話しにくいってことか……それだったら
「僕はお前が話したくなるまで待ってるよ。だからもうこれ以上は聞かないことにする」
「……ありがとう。上里くん」
千景は優しい笑顔を見せ、自室に戻っていった。
「ぐんちゃん……」
「友奈、今は行ってやれ。千景は一人で思いつめ過ぎだからさ」
「うん、行ってくるね」
僕となのはは友奈を見送り、残った僕らは……
「友奈さんと千景さんって仲良しなんですね」
「まぁ出会ってからすぐに仲良くなったからな」
「私もフェイトちゃんと友達になれるかな……」
「なれると思うぞ。お前と友奈は似てる所あるし、千景とフェイトも似てるからな」
「似てますか?」
「あぁ」
何というか無邪気と言うか誰かのために頑張れるところとか……ちゃんとその人の気持ちも全て理解して上げているところとかな
「空さん」
「ん?」
「私が小さい頃にお父さんが仕事で大怪我しちゃって…しばらくベッドから動けなかった事があるの喫茶店も始めたばかりで、まだ人気はなかったから、お兄ちゃんやお母さんもずっと忙しくて」
なのは少し寂しそうな顔をしていた。僕は黙ったままなのはの話を聞いた。
「お姉ちゃんは、ずっとお父さんの看病で……だから私、割と最近まで家にいる事が多かったの。空さん、一人ぼっちの子にしてあげるのは、大丈夫って優しく言う事でも、心配する事でもないと思うんだ。同じ気持ちを分け合える事。悲しい気持ちも寂しい気持ちも半分こにできる事だと思うんです」
「そっか……」
僕はなのはの頭を撫でてやった。なのはは少し驚いていたが、なぜだか嬉しそうにしていた。
「だったら速い所どうにか終わらせないとな」
「はい」
なのはが笑顔で答えた瞬間、アースラ内に緊急事態のアラームが鳴った。
ブリッジに向かうとそこではフェイトがジュエルシードの力によって起きた嵐に立ち向かっていた。
「フェイトちゃん」
「なんとも呆れた無茶する子達だわ!」
「無謀ですね。間違いなく自滅します」
クロノは言葉を聞いて、遅れてやってきた千景から殺気を感じた。だけど友奈が何か声をかけ、千景を落ち着かせた。
「あれは個人が出せる魔力の限界を越えている」
「あの…私急いで現場に行きます!」
「僕も行く。多少力になれるはずだ」
なのはと一緒にブリッジの転送装置に行こうとした時、
「その必要はないよ。放っておけば、あの子は自滅する」
「!?」
クロノが止めに入り、なのはは驚いた顔をしていた。そしてその場にいた全員もだ。
「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところを叩けばいい。」
「でも…」
「今のうちに捕獲の準備を」
「了解」
クロノの指示を受けたエイミィが準備をする。
「私達は、常に最善の選択をしなきゃいけないの。残酷に見えるかもしれないけどこれが現実よ」
「何が現実よ!!」
突然千景が声を荒げ、勇者に変身した。クロノは咄嗟に身構えた
「貴方達はこの場でただ傍観しかしないくせに……今あそこで戦ってる子が何のために……つらい思いをしながら頑張ってる……私達がするべき事はここで見ていることじゃないはずよ!」
千景がここまで感情的になるなんてな……全く……
「千景、落ち着け」
「これが落ち着いてなんか……」
「落ち着けって……今は感情的になるべきじゃない」
「それじゃ上里くん……貴方は同じように見ているだけなの?」
「確かにリンディさんやクロノの言うとおりだ。それが正しいことかもしれない。だけどそれは管理局として意見だ。僕ら勇者としてやるべきことは……今必死に頑張ってるあの子を助けることがやるべきことだ」
僕がそういった瞬間、リンディさんたちは驚いていた。僕らは人々のために戦う。それがどんな人でも……
「というわけでなのは、行って来い」
「君たちは……」
「………クロノ。この場は彼らの言うとおりにしましょう」
「艦長!?」
「彼らはあくまで民間協力者……彼らに対して命令することは出来ないわ……」
「くっ!?」
「OKということだな。なのは、ユーノ、頼んだぞ」
「「はい!」」
「それと僕も行くけど……珠子、付いてきてくれないか?」
「タマもか?いいぞ」
僕ら四人は変身し、すぐに転送装置に乗り込むのであった。僕らが成すべきことをするために