16 新たな騒動の始まり
樹海にて、サソリの尻尾みたいなものが付いた大型バーテックスに向けて、僕は切り札を発動し、砲口を向けていた。
「手強いやつだったけど、これで終わりだ!!フォース・テイル・バスター!!」
4つの魔砲がバーテックスを撃ち抜き、トドメを友奈が刺すのであった。
「おかえりなさい。お兄ちゃん。杏さん、こちらに来てください」
「はい」
元の場所に戻るとひなたが杏の毒の治療を行った。あちら側に来てから数ヶ月が経ち、僕らはバーテックスとの戦いを続けていた。
「今回は危なかったな」
「下手すれば土居さんたちは死んでいたかもしれないわね」
「でも空君のおかげでなんとかなったよ」
「僕は特には……」
「ハードな戦いだったけど、何とかなったね」
「でもうたのん、油断しないでね。私達の治癒も死んだりしたら生き返ることとか出来ないから……」
水都は心配そうにいう。まぁそこら辺は本当に大変だったりするからな……
するとアリシアは疲れた顔をしていた。
「疲れた~千景お姉ちゃん、疲れたよ~」
「はいはい……」
あれからアリシアはこっちの生活に慣れ、同室の千景のことをお姉ちゃんと呼ぶようになった。
それに千景の方も色々とあったけど……
「むぅ~お姉ちゃん、冷たい。バラすよ」
「何をかしら?」
「許嫁の人と毎晩いちゃいちゃメールをしていることを!!」
「あなた……また勝手に!?」
「ぐんちゃん、良かったね。優しい人とお付き合いできて」
「高嶋さん!?あの人とは……」
千景に許嫁が出来た。まぁ家族関係でちょっと大変で落ち込むことはあったけど、その時に大社の関係者で僕の友達が千景を支えたいって言ってくれたからな
ふっと気がつくとアネモネの方に誰かから通信が入った。僕は出ると相手はなのはだった。
『お久しぶりです……あのボロボロですけど何かあったんですか?』
「ちょっと戦っていたんだけど……どうしたんだ?」
『えっと近況報告的なものを……こっちは大きな事件はないですけど、今度フェイトちゃんが遊びに来るって……』
なのはたちとはたまに連絡を取り合っている。フェイトも元気そうだな。
「そっか……」
『それで空さんたちはその……』
もしかして会えないかって言うことか?僕は治療に忙しいひなたに声をかけず、水都に声をかけた。
「敵の進行は?」
「えっと、ないみたいです。多分だけど大型バーテックスを倒されたことで一時撤退みたい」
だとしたら行けるな
「近い内に遊びに行くよ。それにフェイトには会わせたいやつがいるしな」
『はい、楽しみにしてますね』
通信を切ると、千景の後ろに隠れているアリシアが出てきた。
「ふぅ、全く通信中は隠れてないといけないから大変だよ」
「隠れる必要はあるのかしら?」
「千景お姉ちゃんは分かってないな~内緒にしておいたほうが後々みんなびっくりするんだよ」
「そういうものなのかしら?」
「でもアリシアちゃん、楽しみだね。会えるの」
「うん」
アリシアも楽しみにしているし、僕らもまたなのは達と会えるのが楽しみだな
なのはSIDE
通信から数日後の夜、突然赤いドレスのような恰好で、手にはハンマーのような物を持っている子に襲われていた。
「どらぁあああ!!」
ハンマーを振り下ろしながら襲ってくる子、私は攻撃を避け
「いきなり襲い掛かられる覚えはないんだけど、どこの子!?一体なんでこんな事するの!?」
声をかけ続けるが、女の子は黙ったまま指の間に鉄球を出した。
「教えてくれなきゃ、わからないってばァ!」
ディバインシューターを放つが、女の子が全て防いだ。この子……強い
「このやろぉおおお!!」
女の子は怒りながらハンマーを振り上げて、襲い掛かる。振り下ろされるハンマーを、私は後ろに飛んでかわし、レイジングハートをシューティングモードにして、距離をとった
「話を聞いてってば!!」
女の子に向かってディバインバスターを放つ。ディバインバスターは女の子の左側を掠り、女の子のかぶっていた帽子が落ちてしまった。
落ちていく帽子を見て、女の子は怒りの形相で睨み、足下に赤い魔法陣を展開した
「グラーフアイゼン!カートリッジロード!!」
女の子が叫んだ後、ハンマーが撃鉄を打った音を立て、ハンマーの形が変わった。
「え…え!?」
ハンマーは片方の先の部分が尖って、もう片方の面は噴射口みたいだった。
「ラケーテン!」
片方の面がジェット噴射して女の子は回転する。回転の勢いを使って、攻撃を仕掛けてきた。私はすぐに障壁を展開するが簡単に破られ、レイジングハートに直撃してしまう。
「ハンマー!!!」
ハンマーを振り抜き、私はビルに向かって吹き飛ばされた。
「ああああ!!」
ビルの中まで吹き飛ばされた私。埃や煙が立ち込める中、立ち上がると
「でぇえええい!!」
ハンマーを構えた女の子が突っ込んできた。再び障壁を張って防ぐが……
「ぶち抜けェエエ!!」
『了解』
障壁は破られ、バリアジャケットも破壊され、私は壁に叩きつけられた。女の子が近づいてくる中、傷ついたレイジングハートを女の子に向けるが、女の子ははハンマーを振り上げた
(こんなので…終わり?嫌だ……ユーノ君…クロノ君…空さん…フェイトちゃん!!)
咄嗟に目をつぶった瞬間、何かがぶつかりあう音が聞こえた。目を開けるとそこには黒いマントを羽織ったフェイトちゃんがいた。そして私のそばには
「ごめん。なのは。遅くなった」
「ユーノ君…」
「く…!仲間か!?」
女の子はフェイトちゃんを警戒しながら後ろに下がった。フェイトちゃんは優しい声で
「友達だ」