少し時間がさかのぼり、
自室でトレーニングメニューを考えていた僕。するとひなたが僕にお茶を出してくれた
「お兄ちゃん、あんまり根を詰めると次の日大変ですよ」
「悪い……ただこの間の戦いのことを考えてな……」
サソリのバーテックスとの戦いは何とか勝つことが出来たけど、それでも何とかだ。
これから先のことを考えると若葉たちにも力をつけてもらう必要があるな。特に若葉と友奈の二人には……
「大天狗と酒天童子……完璧に扱えるようになってもらいたいけど……」
ただ訓練を積むだけじゃ扱えるようにならない。それに僕自身も強くならないとな。
「考えがまとまらないし……今日は寝るか」
「そうですね」
そう思い、立ち上がった瞬間、アネモネを通じて連絡が入った。相手は誰だろう?
『久しぶりだ。空』
「よぉ、お前からだなんて珍しいな。クロノ。何かあったのか?」
『あぁ実は……君たちにこんなことを頼むのは気がひけるんだが……』
「はぁ」
クロノが何かを言いかけた瞬間、僕はため息を付いた。全くこいつは……
「何かあったんだな。それで僕らの手を借りたいってことか……」
『すまない。君たちは君たちで……』
「いいから……友達の頼むを断ることはしないし……お前はたった一言言えば良いんだよ」
『………頼む。なのはたちを助けてくれ』
「わかった」
通信を切り、僕は念話で勇者たちに連絡をした。
「みんな!出動だ!なのはたちがピンチみたいだ」
僕はそういった瞬間、全員文句なんて言わずにわかったと返事をするのであった。
友奈SIDE
犬耳の攻撃を避けていた。強烈な一撃を食らわせようとした瞬間、歌野ちゃんが鞭で腕を縛り上げ、私はその隙にパンチを繰り出した。
「ぐうう」
「ワオ!流石だね」
「ううん、歌野ちゃんのおかげだよ」
「強い……友奈たち……前よりも強くなってる」
「あれからみんな鍛錬を続けてるから」
「最初はきついと思ったけど、結果が出てきた時は本当にびっくりしたよ」
私達は楽しそうに話していると、犬耳の人は私達を睨んでいた。
「お前たちは何者だ?魔導師には見えないが」
「私達は勇者だよ」
「そうそう、こう見えて世界を守るために戦ってるんだ」
「勇者……なるほど彼女たちと同じか」
あれ?何だかこの犬耳の人、気になることを言ったような……
「だがここでやられる訳にはいかないな」
千景SIDE
「うおおおおおおおおおお」
「だりゃああああああああ」
赤い子の突撃を土居さんが防ぐ。それも何度も繰り返していた。
「てめぇ、何ていう硬さだよ!」
「お前こそチビのくせにやるじゃないか。タマの手下にしてやってもいいぞ」
「断る!私達にはやるべきことがあるんだ!」
赤い子は距離を取り、もう一度突撃をしてきた。土居さんは防ごうとするけど……そろそろかしら
赤い子の攻撃が土居さんに当たる寸前、私は横から大鎌で赤い子を吹き飛ばした。
赤い子はそのまま倒れると私は首筋に切っ先を当てた。
「ゲームオーバーね」
「てめぇ、横からしゃしゃり出てきやがって……」
「はっきり言うけどこれは一対一の戦いじゃない」
「千景さん、さすがです……」
「たくっ、防ぐのも結構きついな……」
「まぁこれも全て彼が呼んでいたことだけどね」
「彼?」
赤い子は誰のことか分からないでいた。私はそっと指を指した。
「あそこにいる人よ。ここに来て彼はすぐに状況を読み、相手の対応をどうするか考えた。まぁ情報が少なくって単純な考えだったけどね」
「まぁそのままの通りだったけどな。『あの赤い奴は単純そうだから珠子をぶつけて、熱くなった所で千景が倒す』だっけ?」
「えぇ」
何というか彼は思いっきり馬鹿にしてる気がするけど……まぁ襲ってきた相手に同情するつもりはないわ
若葉SIDE
「ハアアアア!!」
「ハアアアア!!」
これで何度目になるかわからない。何度も何度も剣撃がぶつかり合っていた。フェイトは折られたバルディッシュを握りしめながら戦いを見つめていた。
「ここまで互いの剣をぶつけ合ってわかった。お前は強い……名前は?」
「乃木若葉だ」
「乃木?彼女の関係者か?まぁいい。悪いがここで捕まる訳にはいかない……レヴァンティン!」
レヴァンティンと呼ばれる剣が返事をし、刀身が炎に包まれた。
「私は剣の騎士!シグナム!この一撃でお前を見極める!紫電一閃!」
シグナムの斬撃が襲いかかってきた。私は咄嗟に避けようとしたが今のままじゃ間に合いそうになかった。だったら……
「……避けたか」
シグナムがそう呟いた。私は切り札を発動し、咄嗟に後ろへと回り込んだ。
「後方に回り込んで攻撃を与えないというところは武人らしいな」
「あぁ武人と認めてもらえて光栄だ。だが……悪い」
「?」
「私は一人で戦っているわけじゃないんだ」
私が笑みを浮かべた瞬間、いくつもの魔力弾がシグナムを襲ってきた。シグナムは突然のことで避けられずただ魔力弾を防ぐだけだった。
空SIDE
「全員命中だな。ていっても居場所のわからない奴ら以外だけど」
僕は一人でそう呟いているとどこからともなく矢が飛んできた。僕は障壁を張って防いだ。
「自分たちから居場所をばらしてくれるなんてな……アネモネ、勇者に変わりつつ、行くぞ」
『はい、マスター。形態変化しつつ接近します』
空を飛びながら矢が飛んできた方向へ行くとそこには黒髪の女の子、金髪の女の子がいた。おかしい。例の三人組だとしたらあと一人は?
「うりゃああああああああ!!」
横から赤い服に2つの斧を持った女の子が迫ってきた。僕は咄嗟に障壁で防ごうとするが勇者に変身し終えていたため無理そうだった。
「だったら!!切り札発動!!」
切り札を発動し、3つのしっぽで赤い服の女の子を地面に叩きつけた。
「銀!?」
「よくもミノさんを!!」
今度は金髪の女の子が槍を構えて迫ってくる。僕は3つのしっぽで槍を掴み、左手に持った杖を向けた。
「テイルバスター!!」
砲撃を放ち、金髪の女の子を吹き飛ばす。残ったのは黒髪の女の子だけ。
「二人をよくも……ってあなたは!?」
何故か黒髪の女の子は僕のことを見て驚いた顔をしていた。なんでだ?
「似てる……でも……」
「よく分からないけど、アイツラの仲間ならしっかり捕まえて話を聞きたいな。というか……」
この三人組の格好……魔導師というよりかは勇者に近い。まさかと思うけど……
「きゃあああああああ!?」
突然なのはの悲鳴が聞こえ、僕はアリシアに連絡を入れた。
「どうした?」
『ごめん。なのはを狙われたみたい!?』
「くそ、おい、お前!」
「は、はい!?」
「何をするつもりだ?なのはたちの命を奪うつもりなら……殺すつもりで戦うぞ」
「え、えっと……多分ですけど命を奪うようなことはしないと思います」
黒髪の少女は怯えながら答えた。嘘を付いてる気はしないな。仕方ない……
「わかった。信じる……お前は?」
「わ、私は鷲尾須美です」
「僕は上里空だ」
「上里……それじゃやっぱり!?」
須美が何かに気がついた瞬間、結界が消え始め、須美達三人はどこかへ転移したのかいなくなっていた。
「とりあえず退けた感じかな?」