上里空は勇者になり、魔道士でもある!   作:水甲

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23 先祖と子孫と……

園子SIDE

 

八神家に無事に戻ってきた私達。なるべくはやてちゃんの事を一人にしたくないから、早めに戻ってこれてよかったけど……

 

「園子ちゃん、須美ちゃんの具合どう?」

 

「うん~落ち着いたみたいだよ~」

 

ベッドに横たわるわっしー、はやてちゃんには出かけていた時に具合が悪くなったと伝えておいたけど……やっぱりカートリッジシステムでの満開は体に負担が大きいみたいだった

 

「もうびっくりしたよ。すずかちゃんと一緒に帰り待ってたらぐったりした須美ちゃんを連れてみんな戻ってきたんやから」

 

「あはは~わっしー、こっちに来たばっかりだから疲れが溜まってたんよ」

 

「でもなんや怪我してるみたいやけど……」

 

わっしーの怪我……あれはよっくんが蹴ったところだけど……全くよっくんは相変わらず止め方が容赦ないな……

 

「わっしーの事、私とミノさんで見ておくから大丈夫」

 

「そっか、何かあったらすぐ呼んで」

 

はやてちゃんが部屋から出ていくのを見送った私。それにしても……

 

「よっくんもこっちに来てんたんだ……それに……」

 

こっちに来た時の事を私は思い出していた。

 

 

 

 

 

 

それはこっちでは6月位の頃、私とわっしーはミノさんの葬式の最中に襲来したヴァルゴバーテックスとの戦いを終わらせたあと、気がついたらこの八神家の前にいた

 

「ここは……」

 

「わからないけど……大橋の近くじゃ……つぅ」

 

私達はお互い傷だらけで、動けそうになかった。すると私達の前に何かが空から落ちてきた。それは傷だらけのミノさんだった

 

「ハァ、ハァ……バーテックスは?って園子!?須美!?どうしたんだ?その格好!?」

 

「ミノ……さん?」

 

「ぎ……ん?」

 

私達はミノさんのことを涙を流していた。またこうして出会えるなんて思っていなかった

 

「な、何だよ!?って抱きつくなよ!?き、傷がぁぁぁ」

 

ミノさんに抱きつく私達。そんな光景を見ていたのは……

 

「外が騒がしいと思っていたが……」

 

「誰だこいつら?」

 

「何や怪我してるみたいやし……家の前で会ったのも何かの縁やからな……」

 

「分かりました。ヴィータ。シャマルを呼んでこい」

 

「はいはい」

 

私達は八神家に保護されるのであった。怪我の治療をしてもらい、信じてもらえるか分からなかったけど、事情を話すとはやてちゃんはすぐに信用してくれて、帰還方法がわかるまではいてもいいと言ってくれた。

 

そんな優しい子の命が危ないと知った私達は、悪いことだと知っていても守護騎士のみんなに協力することにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

突然現れた夜空から僕らは事情を聞くことにしたのだが……

 

「えっと、つまり空さんとひなたさんは僕の先祖って言うことになるの?」

 

「まぁそうなるな」

 

「にしても本当に似ていますね……夜空くんはお兄ちゃんの血が濃いのでしょうか」

 

「いや、ひなたにも似てる気がするけど……」

 

何だかこうして自分たちの子孫と会うのは初めてだな。というか子孫と言うか弟みたいだし……

 

「300年後の未来からか……話を聞く限りではあの槍を持った子は私の子孫になるんだな」

 

「雰囲気はちょっと似てたね。若葉ちゃんと……あれそれじゃ私達の子孫はいたりするのかな?ねぇぐんちゃん」

 

「多分いるんじゃないかしら」

 

「友奈と千景の子孫か……どんな奴らなんだろうな」

 

「それに私達の子孫……会ってみたい気がするけど」

 

「ねぇねぇ、夜空くんだっけ?300年後は蕎麦が浸透してたりとかは?」

 

「えっと……」

 

「うたのん、あまり未来のことを聞くのはやめようよ」

 

何だか夜空もこうして囲まれていて戸惑っていた。とりあえず聞きたいことを聞いておくか

 

「カートリッジシステムでの満開だっけ?あれは……」

 

「あぁあれは……上里の魔導師が作り上げた勇者システムの一つです。本来の満開………これは僕らの世界では大赦の大人と僕くらいしか知りませんが、満開の後遺症として体の一部を神樹様に差し出す……花が咲き誇り、散る……散華と呼ばれるものなんですが……どうにも上里家の古文書ではその事を知っていたみたいで……」

 

「カートリッジシステムでの満開を作ったって言うことか」

 

「でも勇者が扱うには体の負担が大きく、勇者と魔導師の2つの素質がある人間なら負担は少ないみたいなんです。僕も勇者としての素質は低いですが、魔導師の素質は高く扱うことができます」

 

だとすれば須美はカートリッジ・満開の事を夜空から聞かされていたって言うことか……にしてもその古文書書いたのは……

 

「………いやいやまさか」

 

僕だったりとかしないよな。あははは………

 

「あと聞きたいことは?」

 

「そうだな……」

 

「あの……」

 

杏が手を上げてあることを聞こうとしていた。

 

「あの子達……未来の勇者たちはどうしてこの世界に?」

 

それは確かに聞こうと思っていたことだ。僕らは鍵の力を使ってこっちに来ている。でも須美達や夜空はどうやってこっちに来たんだ

 

「……こっちに来れた理由としてはこれを使いました」

 

夜空はポケットから黒と赤の鍵を見せた。あの鍵……僕の持っているアネモネと同じ……

 

「魔導師の資格があるものにだけ神樹様から授けられる鍵……それが僕の持つランディニです」

 

『はじめまして、ランディニです』

 

『私の子孫ということですね』

 

まぁそういう関係になるのか?

 

「須美たちがこっちに来た理由としては……ランディニの調整中に起きた事故ということになります。ただ銀に関しては……」

 

「……お前が送ったっていうのか?」

 

「はい……嫌な予感をしていたので、何かが起きたときのために、銀の命が危ない時に発動できるように……銀の葬式には遺体はない状態で行われましたが……」

 

こいつも友達を救うためにどうにかしようとしていたんだな。

 

「お兄ちゃんと本当に似ていますね。助けるためにどうにかしようとしているとこが」

 

ひなたは嬉しそうにしているけど、夜空の表情は暗かった。どうしたんだ?

 

「銀は死に際にこっちに来たのは良かったかもしれませんが……ただ気になることが……」

 

「気になること?」

 

「須美たちから銀と戦っていたバーテックス3体は既にいなくなっていたって……撤退したのかと大赦や須美たちは思っているんですが……」

 

まさかと思うが……バーテックスがこっちに来ているかもしれないっていうことか?

 

「僕は須美たちを向かえに来たのとバーテックス三体がこっちに来ていないか調べているんです。出来れば……」

 

こっちに来てバーテックスと戦うことになるとはな……仕方ない

 

「そのバーテックスの特徴やら何やら教えろ。僕らも時代は違うけど勇者だ。手を貸してやるよ」

 

「ありがとうございます」

 

夜空はお礼を言い、これからは僕らに協力+須美たちの保護をすることになった。とはいえ……

 

「カートリッジシステム……それに満開……相談してみるか」

 

僕はエイミィさんにあることを相談しに行くのであった。もしもの事を考えて……


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