フェイトを助けた僕ら、フェイトは特に命に別状はないみたいだった。なのはたちが医務室でフェイトのお見舞いをしている中、僕は若葉たちと夜空にシグナムたちのことを話した
「……呪いか……」
「あの守護騎士達は悪いことだってわかった上で、主を助けるために……ね」
「で、でもクロノ君たちに事情を話せば……」
「友奈、クロノたちが分かったとしても、他の管理局員が納得するかどうか……」
「組織というものはそういうものなんですよ。高嶋さん」
「でもみーちゃんたちの力でなんとかできてたりしないの?」
「うたのん、多分だけど呪いをどうにかしても元であるものをどうにかしないと駄目だと思う」
みんなは考え込む中、夜空は僕に話しかけてきた
「須美たちはその事を知って、だから手を貸してるってことでいいのか」
「あぁ、事情も知ってるみたいだからな」
「そっか……」
ため息をつく夜空。こいつもこいつなりに心配してるんだろうな。にしても……
「珠子、さっきから黙ってどうしたんだ?」
「ん?あぁ……ちょっとな……こうイライラしてるっていうか何というか……」
珠子がイラつくって……何に対して苛ついてるんだ?
「とりあえず事情を知ったからって、変に気遣う必要はない。あいつらもそこら辺わかってるから」
「あとはこっちに来てるかもしれないバーテックス……かなりの強敵だから変なタイミングで来なければいいんだけど……」
夜空の言うとおりだ。こっちに来ているバーテックス……本当に変なタイミングで現れないよな……
それに聞いた限りだと前に僕らが戦ったあの尻尾みたいな大型バーテックスが夜空の世界じゃ当たり前みたいだしな……
「もしもの時を考えておかないとな……」
杏SIDE
無限書庫でユーノくんと一緒に闇の書を調べているとクロノくんが訪ねてきた
「ユーノ、調査は順調か?」
「あぁ、色々と分かったことがあったよ。まず、『闇の書』っていうのは本来の名前じゃない。古い資料によれば正式名称は『夜天の魔導書』。本来の目的は、各地の偉大な魔導師の技術を蒐集して研究するために作られた、主と共に旅する魔導書。破壊の力を振るうようになったのは、歴代の持ち主の誰かがプログラムを改変したからだと思う」
「ロストロギアを使って、無闇矢鱈に莫大な力を得ようとする人が今も昔もいるってことね」
アリアさんが呆れながらそういった。
「転生と無限再生はその改変が原因か」
「一番酷いのは、持ち主に対する性質の変化。一定期間蒐集がないと持ち主自身の魔力や資質を侵食し始めるし、完成したら持ち主の魔力を際限なく使わせる。無差別破壊のために。だから、これまでの主はみんな完成してすぐに……」
「ああ。停止や封印方法についての資料は?」
「それは今調べてる……ただ……」
「ただ?どうした?」
ユーノくんは私の方を見た。この事は言うべきことだと思う
「気になる文面があったんだ……途切れ途切れなんだけど………『……書に……いんされた……使い……呪に……者……呼ばれるものが……存在したときのみ』って…‥‥‥」
「気になる文面だが……十一年前は特に何も起きなかった」
「十一年前?」
「十一年前、僕の父親が闇の書の封印に失敗したんだ。グレアム提督も関わっていた」
「お父様は、その時のこと凄く気にしてたよ」
(十一年前……グレアムさんが関わってた……そういえばこの間の戦いでどんなに離れた場所でも仮面の男は一瞬で移動してたって……その時って確か……)
私はあることに気が付き、ある人物を見た。もしかして……ううん、まさか……
須美SIDE
ようやく体調が良くなり、看病をしてくれたはやてにお礼を言いに行こうと部屋の前に来た私。
「はやて、入っても……」
声をかけた直後、部屋から何かが倒れる音が聞こえ、私は部屋に入るとはやてが胸を抑えながら倒れていた。
「はやて!?」
「どうした須美?主!?」
「急いで病院に」
駆けつけてきたシグナム達は急いで病院に連絡をするのであった。
病院で検査を受けたはやて……主治医である石田先生は
「もう大丈夫みたいね。良かったわ」
はやては病室のベッドにいて、今は落ち着いた様子をしている。私、そのっち、銀とシグナム達は一緒に病院に来ていた。
「はい。ありがとうございます」
「良かった……」
「せやから、ちょい目眩がして胸と手がツッただけって言うたやん。もう、皆して大事にするんやから」
「あの時のわっしー、すごくオロオロしてたもんね~」
「まぁ須美の心配性は今に始まったもんじゃ……いたたたた」
「その原因は一体誰だったかしら?」
私は銀の頬引っ張った。今は特に問題はないみたいだけど……でもこれって……
「まぁ来てもらったついでに、ちょっと検査とかしたいから、もう少しゆっくりしていってね」
「はい」
「さて、シグナムさん、シャマルさん。ちょっと……」
シグナムとシャマルが先生に呼ばれて、出ていった。きっともうはやては……
病院の近くで私、そのっち、銀はベンチに座ってたそがれていた。
「はやてちゃんの症状……悪化してるんだね」
「だな……」
「……どうして私達は勇者なんだろう?」
「どうしたんだ?須美」
「だって……勇者じゃなくって魔導師だったら」
私達のリンカーコアをあげて、少しでも闇の書の完成に近づけられるのに……
「わっしー、それでも私達なりにできることはあるんよ」
「そうだ。もしかしたら勇者の……神樹様もパワーで奇跡が起きてとか……」
「だけど……」
どうしても嫌な考えが頭の中をぐるぐる回っている。どうして私はこうして悩んでいることしかできないんだろうか……
「全く相変わらず考え込んでるな。須美」
突然聞き覚えのある声が聞こえ、顔をあげるとそこには夜空くんがいた。それにその後ろには空さんが……
「久しぶりだな。というか体調は大丈夫なのか?」
「え、あ、はい……どうして夜空くんが空さんと一緒に……」
「お前らを探すのに協力してもらってるんだよ。してもらってたんだけど……」
「えへへ~連絡したんよ~」
そのっちが笑顔で端末を見せた。そういうのは最初からやってほしかったのだけど……
「それではやての症状は」
「実は……」
私は夜空くんと空さんにはやての症状について話した。二人は考え込み……
「現状はやっぱり……」
「何というか本当に……」
「私は……ただこうして見ているだけしかできないのが本当に悔しいです」
「須美……」
「見ているだけでいいのか?」
「えっ?」
空さんは真剣な目で私を見ていた。
「ただ見ているだけで、こうして考えるだけでいいのか?そうじゃないだろ。まずは行動してみろ」
「行動……」
「行動して他の方法を探すんだよ……それぐらいはできるんじゃないのか?」
「そのために僕はお前たち三人にこれを渡しに来たんだよ」
夜空くんは私達にカートリッジを渡してきた。これって……
「前にお前が馬鹿みたいに無茶したからな。威力は低くなってるけど、体への負担は少なくなってる。ただ数は三人合わせて3つだけだ」
「3つ……」
「それと夜空から聞いた話だけど、こっちにもバーテックスが来ているらしい。もしものときは手伝ってくれ」
「「「はい」」」
バーテックスが来ている。まさかと思うけどあの時の三体が……戦うことになったら今度は……銀もそのっちも死なせない