アリシアSIDE
フェイトたちが戦っている場所から離れた所で、仮面の男が二人、何かを話していた。
「ディランダルの準備は?」
「大丈夫だ。これで……」
「おっと、そこまでだよ。歌野さんに拘束補助!」
「はい、捕まえたっと」
歌野さんの鞭に縛られる仮面の男二人。更にクロノのバインドで二重に拘束をされた。
「ロッテ、アリア。やっぱり君たちだったんだね」
仮面の男二人の姿がみるみる内に元の姿へ戻っていった。
「クロノ、あんた気がついてたのね」
「あぁ杏さんから言われた時は半信半疑だったが……調べていて……確信に至った。さぁ話してもらうよ。グレアム提督と共に」
「クロノ、私も一緒に行くよ。ちゃんと話を聞きたいからね」
空SIDE
闇の書の意思と対峙する僕。倒れた杏に近寄り
「杏、動けるか?」
「あ、足が……」
「珠子は?」
「タマは杏を連れて行くくらいなら余裕だ」
「それだったら杏を連れてひなたと水都の所に連れて行ってくれ。まずは治療が先だ」
「よし、任せタマえ」
「で、でも、空さん、あの人は……」
「僕がなんとかする」
僕は闇の書の意思をにらみつけると、闇の書の意思は本を開き
「サジタリウス小破。元の姿に戻れ」
そう命じた瞬間、三体のバーテックスが無数の星屑に別れた。
「数が多くしたか……若葉!友奈!千景!須美!園子!銀!星屑は任せた!なのは、フェイト、夜空!僕と一緒にやるぞ」
『了解!』
全員がそれぞれ動き出し、僕ら四人は闇の書の意思の前に出た
「これ以上、主の願いを邪魔するな」
「邪魔か……本当に邪魔をしているのはどっちだろうな!!」
6本の尻尾が6つの槍に変わり、僕の手に持っている槍を合わせて7つの斬撃を喰らわしていくが、奴は障壁を張って防ぎ、右手を僕の方に向けた
「ブラッティーダガー」
赤いナイフが僕の体に突き刺さっていくが、背後からなのはのアクセルシューターとフェイトのプラズマスマッシャーを放つが、それすらも防いでいく。
だが
「距離を詰めれば……」
背後に気を取られた闇の書の意思の隙をつき、夜空が至近距離でランディニを向けた。
「ゼロ距離!シャドウバスター!!」
紫色の魔砲が命中するが、闇の書の意思は……無傷だった。
「ゼロ距離でも駄目か!?」
「だけどまだ諦めてないよな。お前ら」
「「「うん!!」」」
まだみんなは諦めていない。だったら……
「……どんなに頑張っても主の悲しみは無くならない。咎人達に…滅びの光を」
「まさか、あれは…」
「私のスターライトブレイカー」
「なのはは一度、闇の書に蒐集されてる。その時に魔法をコピーしたんだ!」
コピーできるってかなりやばくないか?このままだと本気でやばい……
その時、エイミィから通信が来た。
「大変、結界の中に取り残された一般人が…」
「早く助けに行かないと」
「仕方ない。ユーノ、アルフ、聞こえるか!」
『は、はい』
『なんだい?』
「お前らはひなたたちを連れて遠くに離れるんだ。なのは、フェイト、夜空はその一般人の保護を頼む!」
「空さんは?」
「まさか切り札の力で防ぐつもり?無理だよ。一度喰らってわかったけどあれは防いでも……」
「誰が防ぐって言った?アネモネ!モード!フルバスター!」
7つの槍がアネモネにくっつき、金色の杖へと変わった。僕は杖の先に魔力をかき集め
「まさか!?」
「空も……」
「相殺してみせる!だからお前らは早くいけ!!」
僕のことを信じ、なのはたちは直ぐ様離れていくのであった。
「星よ集え…全てを撃ち抜く光となれ」
「神樹様から授かりし槍。精霊の槍よ!杖と一つになり、全てを打ち破る力を見せろ!!」
「貫け…閃光、スターライトブレイカー!!」
「撃ち抜け!全力全開フルテイル・ブレイカー!」
2つの収束砲がぶつかり合い、周りが光りに包まれるのであった。
アリシアSIDE
ある部屋で、私、クロノ、ママ、グレアム提督とアリア、ロッテがいた。
「二人に指示を出したのはあなたなんですね。グレアム提督」
「違うよ。クロノ」
「これは私たちの独断だ」
クロノの言葉に二人は反論するが、
「あなた達は黙っていなさい」
ママはプレッシャーを放ちながら二人を黙らせる。怒ってるママを見るのは初めてだった。でも、怒るのも無理もない
「二人ともいいんだよ。二人はもうあらかた掴んでいる」
「あなたは闇の書の転生先を調べていたんですね。そしてたどり着いたのは闇の書の現在の在処と今の主である八神はやてを」
「…両親に死なれ、体を悪くしたあの子を見て、心は痛んだが……運命だとも思った。孤独な子であれば、それだけ悲しむ人は少なくなる」
「それはおかしいよ」
グレアム提督の言葉を聞き、私は反論した。悲しむ人が少なくなるのは駄目だ。だって少なくっても悲しむ人はいるんだから
「私は知ってるもん。その人達の悲しみの重さを」
「アリシア……」
「彼女の生活の援助をしていたのも貴方ね?」
「永遠の眠りにつく前くらい、せめて幸せにしてやりたかった…」
「偽善です」
「封印の方法は闇の書を主ごと凍結させて、次元の狭間にでも閉じ込める。そんなところかしら?」
「ああ。それなら闇の書の転生機能は働かない」
本当にそれが正しいことだって思えない。他にも方法があるはずだから
「これまでの闇の書の主だって、アルカンシェルで蒸発させたりしてんだ。それと何にも変わんない!」
「プレシアさん。私達を解放して。凍結がかけられるのは暴走が始まる数分だけなんだ」
「あなた達がやろうとした事は、単なる復讐です。八神はやてはあなた達の復讐の道具ではない」
「そうだな。自分たちがやろうとした事がただの復讐でしか無いと本当に気がついたのは、プレシア女史の事件を聞いてからだ」
「えっ?」
「君は娘であるフェイトくんを道具としか扱っていなかった。だが、その考えもある少女と出会ったことで変わった」
「千景ね……もしも彼女が言ってくれなかったら私はあの子を道具として扱わなかった。それにアリシアとこうして会うこともできなかった。だけど……」
「もし彼女と出会うのがもっと早かったら、考えを変え、彼女を最高の形で救うことを考えたのかもしれない。クロノ、これを…」
グレアム提督はクロノにディランダルを渡した。
「これをどう使うかは、君次第だ。」
「はい、アリシア、一緒に行こう」
「うん、あぁそれとねグレアム提督。まだ考えは変えられるよ」
「それは……」
「ママを救ったのもフェイトを救ったのも千景お姉ちゃんかもしれないけど、一番運命をかけられる人がもう一人いるの」
「それは一体……」
「勇者たちの中で一番頑張って、一番後悔してきて、そして運命を変えた人……上里空って人だよ」
きっと今回もどうにかしてくれるよね。空お兄ちゃん
夜空SIDE
結界内に取り残された人たちは、なのはとフェイトの友達二人だった。二人を無事に避難させた後、まばゆい閃光があたりを包み込み、光が消えた。
「戻ろう。空さんが……」
「うん」
「大丈夫だといいけど……」
僕らは急いで元の場所に戻るとそこにはボロボロの空さんとほぼ無傷の闇の書の意思がいた。だが何故か闇の書の意思は泣いていた
「なぜ……立っていられる」
「まだ立っていられるんだよ……悲しむ人がいるから……僕たちは勇者だから悲しむ人を助けてあげないといけないからな」
「空くん!?」
どこからともなくやってきた友奈さんは倒れそうになる空さんを支えた
「ゆう……な……バーテックスは?」
「あの閃光のあと、姿がなくなったの」
「奴らは闇の書の中に戻った。更に進化をするために……」
「だったら……早い所なんとかしないとな」
「もう無理だ。もうお前は戦うことは……」
「だったら早く泣きやめよ」
「これは……主の……」
「それだったら……はやてのところに連れてけ。泣き止ませる」
「私も……‥一緒に行くよ」
「……出来るものなら……」
闇の書の意思は黒い魔法陣を展開させ、空さんと友奈さんを消した。もしかして取り込まれたっていうのか?