戦いを終えた後、突如現れた一人の少女……それは天の神だった。僕らは武器を構えたが……
「止めておいたほうがいいわ。別に戦うつもりはないから……」
天の神が指を鳴らした瞬間、はやてが白い炎に包まれた。戦うつもりがないって言ってる割には……
「あれ?なんや?体が……」
「主……これは……」
はやてとリインフォースの二人はなぜか驚きを隠せないでいた。天の神は笑みを浮かべていた。
「そやつの蝕んでいたもの……それとそこの融合機も存在を維持できるようにしておいたぞ」
「おいおい、須美たちから聞いてた割には、この天の神ってやつ良い奴じゃないか?」
「だが何のために……神というのは無償で人を救うものなのか?」
シグナムの言うとおりだ。こいつ、何を考えている。
「謝罪の意味を込めてやったことよ。本来はこっちの世界にバーテックスが現れることはなかったけど、どっかの誰かが面倒なことをしてね……」
天の神は夜空のことを見つめた。そういえば銀を助ける時に一緒にバーテックスが巻き込まれたって言ってたな
「でも、夜空くんは銀を……」
「そうだよ。悪いことをしたわけじゃないし……」
「えぇ分かってるわよ。それに世界を繋げたとしてもバーテックスは行き来できないようにしてあるんだけど……そっちの土着神が渡した鍵の影響なのか……もしくは例の存在かしら」
一人でぶつくさ言ってる天の神。さっきからどうにも気になってることがあるんだが……
「聞きたいことがあるわ」
「あら?何かしら?」
「天の神は人々に罰を与えた割には、どうにもフレンドリーな気がするけど」
千景が僕が気になってることを言ってくれた。そうだよな。天の神と僕らは敵同士だよな。なのにこうして話すのって……
天の神は笑みを浮かべ……
「そりゃそうよ。私の場合は貴方達より遠い未来から来ている。その未来では既に決着が付いているのよ」
『はい!?』
その場にいた勇者全員が同時に声を上げた。決着が付いているって……未来の情報を話していいものなのかよ……
「えっと、それじゃ神様は……」
「人を恨んでないってこと?」
「そやったらええことやね」
なのはたちはそう言うけど、正直僕らはどんな反応をすればいいんだよ……
「えっと、まぁそこら辺はもう置いといて……例の存在って……」
「そうね……まずは色々と話しておきたいから少しゆっくり話できる場所に連れて行ってもらえないかしら?」
僕らはリンディさんに連絡し、アースラで天の神と話をすることになった。ただ人数が多いため、代表として僕、夜空、リンディさん、クロノ、なのは、若葉の6人で話を聞くのであった。
「あ、あの、私、いていいのかな?」
代表に選ばれたことを不思議がっているなのは。そんななのはに僕は
「まぁなのはの場合は一番最初から関わっていたって言うことだから……」
「そういう理由で……」
「とりあえず話を勧めてもいいかな?」
天の神はお茶(角砂糖入り)を飲みながら、語りだした。
「まず例の存在に話す前に、世界というものについて話そうか」
「世界……いきなり壮大だな」
夜空の言うとおり、いきなり世界についてって……
「知っている人間はいると思うけど、世界というものは数え切れないくらいある」
「平行世界というものね」
「えぇ、平行世界の数……というより天の神が人に罰を与えた世界の数はかなり多いわ。まずこの世界……勇者たちのいる世界と魔導師のいる世界を管理しているのはこの私ね」
「待ってくれないか?管理しているということは……どうしてこちらでは天の神は……」
「こちらは管理局というものがあるじゃない。人が神の領域に触れようとしたら、裁くという組織がね。だけどそちらの世界にはいない……だからこそ私は罰を与えた」
2つの世界……そんな違いが……
「管理しているのがお前ということは……他にも天の神はいるのか」
「えぇ生意気そうな貴方の言うとおりよ」
「生意気そう……」
天の神に生意気そうって言われてちょっとイラつくクロノ。まぁクロノもここで怒らないように我慢してくれているから大丈夫だな
「平行世界の数だけ天の神はいる。まぁこうして人の前に現れて話をしたりするのは少ないけどね」
「その他の神様って似たような感じなんですか?」
「そうね……例えばある世界の天の神は色々とあって位が上がって自由に平行世界を渡り歩いたりしたり、またある世界ではとある魔導師に怯えたりしてる奴もいるわ。まぁ今回の件に関しては自由な天の神に教えられたのだけどね」
天の神にも色んなやつがいるんだな。ただそのとある魔導師に怯えた天の神って……それってどんな天の神だよ
「お前が言う例の存在……一体何なんだ?」
「そいつは神の領域に深く踏み込み、天の神すら滅ぼす存在……現在はなにかの目的のために世界を渡り歩いているらしいけど、そいつの影響なのか、今回こちら側にバーテックスが転移した可能性があるわね」
「神の領域に深く踏み込んだ……夜空は何か聞いたことないのか?」
「いえ、そんな話は……」
夜空自身知らないか……一体どんな奴なんだ
「はっきり言わせてもらうとそいつと戦わないほうがいいわ。貴方達では勝てないわ」
はっきりと断言しやがった。そこまでやばい奴なのか……
「まぁそいつに対抗できる人間がいるとしたら、神から武器を授かり、運命を変えた人間くらいかしらね」
「そんな人がいるのか……」
「というか神からって……」
僕と夜空の二人がそう言うと、天の神は笑みを浮かべた。
「知る限り三人ね。未来のことになるから詳しくは言えないけど……」
「あの、神様を怯えさせた魔導師の人は?」
「彼女の場合は……どうかしらね。とりあえずそっちの貴方にこれを渡しておくわ」
天の神はなのはに一本の鍵を渡した。これって僕らが持っているものと同じ……
「もし魔導の力で太刀打ちできなかったら、そのデバイスというものに使ってみなさい。あとこれさえあればそっちの三本の鍵を持つ人間の世界に行けるわ。それじゃ」
天の神はそう言い残して姿を消すのであった。何というか言いたいことを言って帰っていったな……
「夜空たちがいた時間より少し未来で……決着が着くのか」
「何だか長い戦いですよね。空さんや若葉さんたちから始まって……」
「まぁどんな結果になるのかは夜空、須美、園子、銀だけが知るのか……応援してるぞ」
「はい」
夜空を応援しながら、天の神との話し合いは終わりを告げるのであった。
新たな敵の存在を出しつつ、次回でAS編は終了。幕間を挟んでStrikerS編となります。
例の存在と対抗できる人間は……まぁ彼らのことですね。