33 転移した場所は……
空SIDE
元の世界から戻ってから一ヶ月がたった。バーテックスの進行はなく、僕らは平穏の中を過ごしていたのだが……
「何で急にあの世界に?」
「やっぱり前にひなちゃんたちが見た神託のことなの?」
友奈が言う神託。これまで以上の数と大型のバーテックスが数体、現れるということだった。そのため僕はあの世界に行き、少しアネモネの調整をしてもらおうとしていた。
「備えておく必要があるからな。まぁちょっと遊びに行く感じだから」
「良かったわね。アリシア」
「うん、フェイトたちに会えるから楽しみ~」
「タマはヴィータに会うのが楽しみだな」
「タマっち先輩とヴィータちゃん、仲いいもんね」
「みーちゃん、あっちに着いたらなのはたちに任せた畑の様子を見に行こう」
「うん、うたのん」
みんな、あっちに行けるのが楽しみだった。とりあえず僕は扉を出現させ、あちらの世界に行くのであった。
夜空SIDE
ある日の事。僕は部室にみんなを呼び出していた。
「どうしたのよ?急に呼び出して……」
「夜空君、何かあったの?」
「もしかして大赦から壁を破壊したことの……」
風先輩、友奈、東郷がそんな事をいう中、僕の隣にいる園子がケースを開けた。そこには勇者に変身するための端末が入っていた。
「もしかしてバーテックス絡み?」
「で、でもしばらくは戦うことがないって……」
夏凜、樹が心配そうにいう中、園子は首を横に振った。
「今回みんなに頼みたいことはね。改造した端末の試運転をしてもらいたいの」
「「「「「改造?」」」」」
「前に言ったけど、この間の戦いに使っていたのはまだ未調整の勇者システムだった。それでみんなに辛い思いをさせたから……そのために頑張って改造して……カートリッジシステム付きで完全に体に負担が少ない勇者システムを作ったんだ」
「わっしーは知ってるよね。前に使ってたから」
「え、えぇ……でも私達の場合は……」
「体の負担が少なくしておいたし、散華は無くした。精霊防御もちょっと前よりかは落ちてるけど……」
僕はそう言うと、樹が端末を取った。
「夜空さん、私は夜空さんのことを信じます」
「樹……」
「あんたら、いちゃつかないでくれない?」
「本当に……樹も好きな人の前で積極的になってよかったわ」
風先輩はそう言いながら、端末を取った。そして他のみんなも……
「それじゃ早速やってみるか」
「「「「「「変身」」」」」」
変身したはずなのに気がついたら電車の中にいた僕ら……
「見た目は変わってないみたいね。でも武器に何だか変な装置が……ってここどこよ!?」
「先輩、ツッコミ遅いですよ」
「夜空!ここどこよ!?」
「電車の中みたいですね」
「システムの調整ミスかな?」
園子の言う通りかもしれないけど、何でいきなり電車の中に転移するんだよ……
「電車だよね?でも……」
「まぁ貨物列車みたいなものじゃない?とりあえず運転手に事情を話して……」
「みなさん!?見てください」
樹が窓の方を指さした。僕らも見てみると何だか空の色が違う……樹海とは違うし……
「ここ本当にどこよ!?」
「ランディニ、現在地の確認を!」
『了解!』
ランディニが作業を始める中、園子があることに気がついた
「もしかしてここって、ミッドチルダじゃない?」
「ん?あぁなるほど」
「私達が飛ばされるとしたらそれしかないわね。夜空くん、連絡をしたほうが」
「そうだな」
「ってあんたらだけで話を進めんじゃないわよ!!」
「もしかして前に言ってた平行世界ってところなの?」
「それじゃ前に二人が言ってた友達に会えるんだね」
友達って言うか……僕らよりもちょっと年下の子達だからな……
「でも折角会いに行くんだったらミノさんも連れてくればよかったね~」
「銀は今……」
「防人組の方で忙しいみたいだからな……」
そんな事を話していると、突然前の方から変な機械が数十体現れてきた。
「警備ロボってところかしら?」
「えっと、あの私達は……」
友奈が事情を話そうとしたとき、ロボットからビームが発射された。僕は咄嗟に障壁で防ぎ、東郷が撃ち抜いていった。
「友奈ちゃんが説明しようとしているのに……問答無用で襲いかかるのは良くないと思うわ」
東郷の警告を無視して、ロボットが襲いかかってきた。僕らは武器を構え、ロボットを破壊していく。
「後でリンディさんに言って、弁償してもらおう」
「その方がいいよね~」
「あんたら、そういいつつ楽しそうに破壊してるじゃない」
いや、だってこういうのって高そうだから……すると後ろの方から誰かがやってきた。
「あれ?ねぇ、ティア、人が乗ってるよ」
「おかしいわね。リイン曹長は人が乗ってないって……」
青い髪に、手には拳具を装備した少女とオレンジ髪に2つの銃を持った少女が僕らの方を見ていた。
「夜空、あんたの知り合い?」
「いや、知り合いじゃないけど……」
「何だか聞き覚えのある名前が聞こえたけど……」
リインって、リインフォースのことだよな?この子達は知っているのか
?すると奥の方から球体のロボットが現れた。
「ガジェットが!?」
「そこの人たち、逃げ……」
「ランディニ。シャドウ・バスター!!」
球体に向かって砲撃をし、破壊することができた。すると何故か二人の少女は驚いていた。
「嘘……魔導師なの?」
「でも今回の作戦は六課が担当だって……」
何だかよく分からないけど、この二人は管理局の人って言うことでいいのか?まぁ色々と話をしたいから……
「みんな、僕の後ろに……空さん直伝!!サーチアンドシューティング!!」
無数の魔力弾を発射し、前の方にいるロボットを破壊していく。だけど……
「どうにも魔法が効きにくい気がするんだけど……まぁいいか。ランディニ、敵反応は?」
『すべて破壊してあります。敵機は魔法を多少無力化する力があるみたいですが……魔法を打ち消しても勇者の力が宿っている時点で意味はなかったみたいですけどね』
魔法を打ち消すか……それでもほんの少しの勇者の力が上手く反応できているみたいだな。
「とりあえず色々と終わったみたいだし、ランディニ。連絡をは取れたのか?」
『ふむ、どうにも難しい感じですね。ここに来た時に故障したのでしょうか?』
故障って……まぁいいや。
「そこの二人、悪いんだけどある子に連絡をしてほしんだ」
「ある人?」
「高町なのはって奴に、上里夜空が……」
「「なのはさん!?」」
何故かなのはの名前を出したらすごく驚かれたんだけど……というか明らかになのはより年上だよな。この二人……
すると列車が停まり、僕らは二人の少女……青髪の方はスバル、オレンジ髪はティアナの二人に案内され、外に出た。するとそこには……
「ガジェットの反応が急に消えたと思ったら……お久しぶりです」
白いバリアジャケットに、見覚えのある杖を持った女性が待っていた。まさかと思うけど……
「えっと」
「もしかして……」
「そんなことって……」
僕、園子、東郷の二人は驚きを隠せないでいた。まさか目の前にいる女性が……
「はい、お久しぶりです。夜空さん」
「「「なのは!?」」」