「というわけで今回はこの街の調査でも始めようと思う」
朝食を摂り終え、ひなたたちを集めてある議題を出していた。
「街の調査……」
「そういえば私達は全然この海鳴市を見て回ってなかったよね」
「ここに来たときは夜でしたから……それにこの一週間はなのはさんの家で家事や喫茶店のお手伝いだけでしたものね」
ひなたの言うとおりここ一週間は家事やら喫茶店での手伝い……あとは鍛錬やジュエルシード集めの手伝いだけで、街を見て回ることが出来なかった。今日は折角の機会なので調査を提案してみた。
「とりあえず全員で適当に見て回って……」
僕が言い掛けた瞬間、なのはがこっちにやってきた。
「空さん、あの少しいいですか?」
「どうかしたのか?なのは」
「えっと実は今日私……友達の家で遊ぶことになったんですけど、みなさんのことを紹介してほしいって……」
なのはの友達に会うってことか……別に構わないけど……みんな街の調査に乗り気だしな……
「お兄ちゃん、せっかくですから……」
「でも全員で行ったら迷惑だったりするだろ」
「それだったら二手に分かれないか?もしも何かあった場合は連絡を取り合えばいいだろ」
「うん、それがいいかも」
二手に分かれるか。それもいいかもしれないな
「えっとその……気にしなくても」
「とりあえずジャンケンで分かれるか」
「それでしたら、私と若葉ちゃんの二人で街へ行きますから、お兄ちゃんは友奈さんと一緒にどうですか?」
「ひなた?じゃんけんで……」
「いや、僕は構わないけど」
「それじゃ空くん、一緒になのはちゃんと行こう」
友奈と一緒か……ひなたの方を見るとひなたはウィンクしていた。気を使ってくれたのかな?
「それじゃなのは、僕と友奈で行くことになったから」
「えっと……その……」
なのはは苦笑いを浮かべていたけど、この組み合わせはまずかったのかな?
僕らはすぐになのはの苦笑いの意味を理解した。僕と友奈の眼の前にはでかい屋敷だった。
「なのはの友達ってお金持ちだったの?」
「うん」
「大きなお屋敷だね~」
友奈は目をキラキラさせて言うけど、僕はと言うときっと庶民的な家だと思っていたからか。物凄い失礼なことを思っていて申し訳なかった。
「なのはちゃん」
「やっと来た。その子がなのはのペットと居候?」
こっちにやってくる長髪の子と金髪の子。彼女たちがなのはの友達か
「うん、ユーノくんに、高嶋友奈さんと上里海さん」
「初めまして、アリサ・バニングスです」
「私は月村すずかです」
「それでここはすずかちゃんの家なの」
「そっか、よろしくな。それとすずかだっけ?何だかごめん」
「ねぇ、何でこの人初対面なのにすずかに謝ってるの?」
「えっと……あはは……」
「空くん、気にしたら駄目だよ」
友奈に励まされながら僕らは屋敷の中へと入っていくのであった。
「ジュエルシードの反応あった」
「それじゃこの周辺にあるみたいね」
「だとしても広い場所だから見つけるの苦労しそう」
「だったらタマたちに任せタマえ!!探し物ぐらいだったらすぐに見つけられるはず」
「っていっても未だに若葉さんたちを見つけられてないよね」
「本当にこっちに来ているか怪しいわね」
屋敷の外でみんなとケーキを食べていると突然ユーノが茂みの中に入っていき、なのはがそれを追っていった。もしかしてジュエルシードでも見つけたのか?
「友奈、なのはだけじゃ心配だし」
「うん」
友奈は頬にクリームを付けながらそう言う。とりあえず僕はクリームを拭いてあげ、追いかけていくのであった。
なのはたちの後を追いかけていくとそこには巨大な猫と変身した状態のなのはがいた。あれって……
「なのは、どういうことだ?」
「えっと……」
「た、多分大きくなりたいという夢が叶ってあんな感じに」
「可哀相だけど、早くジュエルシード回収しちゃおう」
なのはが杖……レイジングハートを構えた瞬間、金髪の少女が突然現れた。
「え、魔道師」
「一体……」
「ジュエルシード、それに私と同じ魔道師。そしてあの人達は……」
「まさか、僕同じ世界から来た魔道士!?」
金髪少女を見てユーノは驚いた。他にも魔導師っているんだな
「じゃあ、狙いはジュエルシード」
金髪少女は木の上に降り、僕らを見つめ、手にしている斧型の杖から金色の刃が伸び始めた。
「申し訳ないけど、頂いていきます」
金髪少女がなのはに襲いかかってきた。なのはは咄嗟に攻撃を防ごうとするが間に合わず、攻撃を喰らってしまい、地面に落ちて倒れてしまった。
「…ごめんね」
金髪少女が巨大猫に魔法を当て、ジュエルシードを回収しようとしたが、僕と友奈の二人で金髪少女に襲いかかった。
「させるか!」
「勇者………きゃあ!?」
攻撃を仕掛けようとした友奈はどこからともなく現れた人物に吹き飛ばされてしまった。更に僕のところに円盤状の何かと矢が向かってきた。僕は槍で弾くと攻撃してきた相手が誰なのか理解した
「どこに行ったかと思ったら……ちゃんと説明してもらおうか。杏、珠子、それに千景……」
僕の前に現れた三人……こっちにきてはぐれた伊予島杏、土居珠子、郡千景を僕は睨みつけた。
「空さん……すみません。これは……」
「というか空、お前のその格好……いつの間に勇者になったんだ」
「高嶋さん……ごめんなさい……」
互いに対峙……若干一名攻撃した相手が親友だったことに対して落ち込んでいるけど
すると金髪少女が杏たちに近寄り
「帰ろう」
「あの空さん、事情はちゃんと説明しますので……」
「切り札発動!輪入道!」
珠子の衣装が神秘的なものに変わり、武器である旋刃盤が大きくなり、三人はそれに乗って金髪少女とともに撤退していった。
「あいつら……友奈、大丈夫か?」
「ん、うん、なんとか……なのはちゃんは?」
「なのはも無事みたいだ」
にしても今日だけで結構いろいろとあったな……帰ったらひなた達にも言っておかないと……
ただ心配なのは……
「千景の奴、思いつめてなければいいけど……」
杏SIDE
「えっと……」
金髪の女の子……フェイトちゃんは膝を抱えて部屋の隅にいる千景さんのことを心配していた
「高嶋さん、ごめんなさい……ごめんなさい」
「いや、千景……気にするなって、友奈は怒ってないと思うぞ」
「そ、そうですよ……」
「許してくれるかな……」
「あの……無理には付き合わなくっていいんですよ。ジュエルシードを集めるのは私の目的だから……」
「ううん、フェイトちゃん。大丈夫ですよ」
「タマたちは恩返しをしたいからな」
「そうよ……そのためだったら……はぁ……」
千景さんは未だに落ち込んでいるけど、この落ち込みよう……まさか切り札の影響だったりということは……
一度空さんと話さないと……