上里空は勇者になり、魔道士でもある!   作:水甲

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ちょっとタグの方をいじりました。


45 赤嶺と守人

空SIDE

 

下水道を走っていく僕ら三人だけど……何というかこの下水道は迷路みたいだな

 

「アネモネ。目的地まであとどれくらいだ?」

 

『まだかかります』

 

「急がないとね。何だか通信だとバーテックスが出てきたみたいだよ」

 

「バーテックス……空さんたちの敵ですよね」

 

「あぁただそれだけじゃない気がするんだよな……」

 

何となくだけど嫌な予感がする。急いでみんなの所に行かないと……だけどこのまま普通に進んでいったら……

 

僕は立ち止まり、考え込んだ。

 

「空くん?」

 

「空さん?」

 

「……アネモネ、ヴィータにつないでくれ」

 

『了解』

 

『どうしたんだ?空』

 

ヴィータに通信をつなぎ、あることを聞いた。

 

「お前、今何処ら辺だ?」

 

『そろそろ着く頃だな』

 

『空さんたちも急いで下さい』

 

ヴィータとリインの二人はもうたどり着きそうだな。それなら……

 

「僕らは別ルートから行く。そっちは頼んだぞ」

 

『別ルートっておいっ!?』

 

僕は通信を切り、友奈とギンガの方を見た。

 

「一旦上に戻るぞ」

 

「上?地上から行くの?」

 

「地上からって……でもスバルたちがいる場所は上からじゃ……」

 

「行けないわけ無いだろ。まぁちょっと色々と壊しちゃうけど……敵のせいにでもしておくか」

 

「えっと……それは……」

 

ギンガが思いっきり苦笑いをしてるけど、まぁ大丈夫だろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空SIDE

 

突然僕らの前に現れたのは友奈にそっくりな女の子だった。それに彼女の名字……聞き覚えがある

 

「赤嶺って……大赦で有名な……」

 

「あはは、未来でも名前が残ってるんだね」

 

「……お姉さまと言うが、私には妹はいないのだが……」

 

ヌンチャクを持った人が不思議そうにしながら言うと、赤嶺は笑みを浮かべていた。

 

「古波蔵棗……沖縄の勇者だよね。貴方は沖縄から四国まで人々を導いた勇者だからね。敬意を込めてお姉さまって呼んでるんだよ」

 

「それじゃ盟友の子孫というのは……」

 

「弥勒夕海子。私の盟友のレンチの子孫だよね」

 

話を聞く限りじゃ彼女は僕らの世界の人間みたいだな。ただ気になるのは……こいつはどの時間軸から来たんだ?それに……

 

「表って、夜空、あんたの家ってそんな複雑だったりするの?」

 

「先輩、そういうわけじゃないんだけど……園子は知ってるか?」

 

「ううん、知らないよ。表って言うなら裏もあるっていうことだけど……」

 

「そうだね~気になることがたくさんあるみたいだけど……今回は時間を稼がせてもらうよ。というわけでルーお嬢様、アギト、時間稼ぎは任せてね」

 

「わかった……」

 

「そんじゃまたな」

 

ルーテシアとアギトが撤退し、僕らが後を追おうとしたが、赤嶺が僕らの前に立ちはだかった。

 

「この人数相手に時間稼ぎなんて出来るのかしら?」

 

「悪いが話を聞かせてもらうぞ」

 

夏凜と芽吹の二人が武器を構えると、赤嶺は笑っていた。

 

「そうだね~だからさこっちも人数を増やさせてもらうよ」

 

赤嶺が指を鳴らした瞬間、どこからともなく真っ白なフードをかぶった二人が現れた

 

「この子達はりっくんが作った人型のバーテックス。強さ的には……スコーピオンくらいかな?」

 

フード姿の二人が動き出し、一時的に僕らを分断してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景SIDE

 

私の方には白い鉄の棒を持った奴が立ちはだかっていた。私、犬吠埼さん、防人の弥勒という人、スバル、ティアナ、東郷が相手することになったのだが……

 

「強さ的にはスコーピオンと変わらないって言ったけど……」

 

「あのサソリって結構強かったよね」

 

「千景さんたちの時代からかなりの強敵だったらしいですよ。それに銀のときも……」

 

「ですが人型ですから楽勝ではないのでしょうか?」

 

「そうだよ。こっちは人数が多いから……」

 

「スバル、油断はしないで!それと弥勒だっけ?悪いけどこっちの動きに合わせてもらうわよ」

 

「えぇ、分かりましたわ」

 

全員が構え始めると、フードの人物は棒を構え……

 

『勇者、魔導師、防人……相手に不足はないな……』

 

人型バーテックスが喋った?いや知能はあるというから喋るのは不思議ではないけど……

 

『来ないなら……こちらから』

 

人型バーテックスが私達に攻撃を仕掛けてきた。私達は武器で攻撃を防ごうとしたが、一瞬の内に私達は吹き飛ばされてしまった。

 

「ちょ!?何、今の?」

 

「ほぼ同時に私達に攻撃を……」

 

「しかも見えませんでしたわ!?」

 

『見えない?見ないようにしていたのじゃないのか?』

 

棒を回転させながら私達へと向かってくる。するとティアナがデバイスを構え……

 

「スバル!」

 

「わかった!!」

 

スバルが人型バーテックスに接近し、拳を繰り出していく。人型バーテックスは棒で防いでいく。するとスバルがちょっとした隙を見せた

 

『隙あり………』

 

「こっちがね!」

 

人型バーテックスが大きく棒を振った瞬間、スバルがリボルバーナックルで棒を掴んだ。

 

「ティア!」

 

「分かってる!シュート!」

 

武器を抑え込んだ瞬間に、ティアナが魔力弾の軌道を操作しながら人型バーテックスに命中させた。スバルは私達の方へ下がり、

 

「弥勒さん」

 

「えぇ追撃を」

 

更に東郷さんと弥勒さんの二人が遠距離から砲撃を与えていき、あたりが煙に包まれていった。

 

「やったの?」

 

「犬吠埼さん、そういったセリフはあまり言わないほうが……」

 

突然煙の中から人型バーテックスの持っていた棒が私のお腹に当たり、近くの壁に抑え込まれた。

 

「ぐううう」

 

『良い攻撃だったが……かすり傷程度だな』

 

ゆっくりと煙の中から人型バーテックスが現れた。かすり傷って……かすり傷すらついてないじゃない

 

『まず一人……』

 

「うくっ……!?」

 

人型バーテックスが力を込め、私はお腹に激痛を感じた。このままだと……死ぬ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させませんよ」

 

突然声が聞こえた瞬間、人型バーテックスに向かって誰かが切りかかってきていた。人型バーテックスは攻撃を避けた。私は解放され地面に倒れ込んだ。

 

「大丈夫ですか?千景さん」

 

「貴方は………」

 

『何者だ?』

 

人型バーテックスは私の近くにいる彼を見つめていた。彼は刀を握りしめ、白い戦装束を身にまとっていた。

 

「僕は……神宮桜……守人ですよ」

 

 


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