もう一人の魔法少女と千景たちのことを帰ってからひなたと若葉の二人に報告した僕。二人はと言うと
「みなさんが無事ということですね」
「だが敵対することに……」
無事だったという安心感と敵対してしまっているという不安が二人は感じていた。
友奈はというと……
「でも事情があるから……」
「まぁそこら辺は後々聞くとして、僕としてはこの状況は丁度いいかもしれないな」
「ちょうどいいって……」
「あぁ、お兄ちゃん的には丁度いいかもしれませんね」
「そっか、空君はそうだもんね」
ひなたと友奈の二人は理解してくれたみたいだな。あっちでは僕の役割は勇者のサポートということで、訓練等のメニュー作りや教官としての役割を担っている。
とはいえ一般人なので模擬戦では若葉たちは勇者の姿ではなく、普通の格好での戦いになるから正確なことはわからないからな……
「これから先の事を考えて、朝の鍛錬のメニューも考え直さないとな……」
何だかワクワクしてきたな。
「お兄ちゃんの鍛錬メニュー……」
「正直千景たちが羨ましいが……」
「あはは、でもそんなにひどいものじゃないから大丈夫だと思うけど……」
数日が経ったある日、なのはにある話を聞かされていた。
「温泉旅行?」
「うん、今度みんなで温泉旅行に……それでお母さんたちが空さんも良かったらって」
「僕たちもか……居候なのにいいのか?」
「まぁまぁお兄ちゃん。いいじゃないですか。たまにはこういう休息も必要ですよ」
「そうだな……」
「あの所で……」
ユーノがある場所を見つめていた。ユーノが見つめていた先には倒れた若葉と友奈の二人がいた。
「何をしていたんですか?」
「鍛錬」
「お兄ちゃん式トレーニングです。お兄ちゃんはそういったことが得意だったりしますからね」
「だ、大丈夫なの?」
「まぁ体がぶっ壊れない程度には抑えてるから大丈夫だよ」
僕がそう言うとなのはは苦笑いを、ユーノはもの凄く怖がっている様子だった。
「休息日ということでいいか。分かってると思うけどその間は鍛錬はやらないように!やった場合は……今日以上のメニューをやってもらうから」
「ひ、久しぶりとはいえ……きついな」
「あはは、でも空くんも大変だよね」
「あぁ、分かってる。鍛錬メニューを作るにあたって大変な思いをしているしな……」
「ほら、喋ってる暇があったらしっかり休憩を取れ」
「「はい」」
あのことがきっかけでみんなに知られてるせいか、結構恥ずかしいな……
僕がメニュー作りをするにあたって、自分自身で試していることとかを……
「そういえばお兄ちゃん、もう2つの鍵は何か分かったんですか?」
僕は3つの鍵を取り出した。一つは勇者の姿になれる鍵、あと2つはまだわからない……
「そのうち分かるだろ」
「そうですね……」
それからまた数日が経ち、温泉旅館に来た僕ら。早速温泉に入ることになった僕ら。
僕はというとなのはのお兄さんである恭弥さんとお父さんの士郎さんと一緒に入っていた。
「何だかすみません。僕らまで誘ってもらって」
「いや、君たちももう家族みたいなものだからね」
「それに鍛錬にも付き合ってもらってるからね」
恭弥さんと姉の美由紀さんとはたまに模擬戦やらなんやらしてるけど、この人達って一般人だよな。明らかに戦闘力が……
ひなたSIDE
「あの、なのは、やっぱり、僕士郎さんと一緒の方に…」
「えぇ~、一緒に入ろうよ」
「いや、ほら、だって」
なのはさんとユーノくんが何か小声で話しているけど、聞き取れなかった。というよりかは私としてはこっちのほうが心配だった。
「「………」」
「みんなも来てたんだね」
「まさかこのような場所で会うことになるとはな」
「驚きですね」
温泉に入るとそこには杏さんたちも入っていた。千景さんは一緒に入ることを少し遠慮していたらしいからこの場にはいなかった。
「えっと……」
「まぁこうして再会できてよかったんだろうけどさ……事情とか聞かないのか?」
「珠子……事情は出来れば全員が集まってからだ。と空が言っていたからな」
「空くんはちゃんと全員で話し合おうって」
「それまでは私達は何も聞きません。それにお兄ちゃんはこの状況をいい機会だと思っていますから……鍛錬面として」
「あいつ、どんだけだよ」
「空さんらしいですね」
「そういえばぐんちゃんは?」
「千景はゲーセンにいるけど……そうだ!友奈、会いに行ってやれよ」
「そうですね。いいかもしれません」
「?」
空SIDE
「何してるんだ?」
温泉から上がり、適当にぶらついていると死んだ目をしてゲームをしている千景を発見した。
「上里さん……貴方がいるということは高嶋さん達もいるみたいね」
「あぁ偶然だけど……それでまだ気にしてるのか?」
「………」
未だに友奈を攻撃したことを気にしてるのか……にしては気にしすぎだ。これはもしかして前々から杏に言われていた切り札の影響でもあるのか?
「千景……」
「高嶋さんは怒ってるよね」
「……僕が言ってもお前は信じられないだろうな」
「………」
沈黙が重い……どうしたものか……
「見つけた!ぐんちゃん!」
すると浴衣姿の友奈がこっちにやってきた。千景は逃げ出そうとしたが、僕が腕を掴んだ。
「逃げるな」
「だって……」
「ぐんちゃん、どうして逃げるの?」
「高嶋さん……だって私、高嶋さんにひどいことを……」
「ひどいこと?ぐんちゃん、私にひどいことしてないよ?」
「でも……攻撃して……」
落ち込む千景。すると友奈は千景にチョップを喰らわした。
「痛い……」
「ぐんちゃん、私のことを信じてる?」
「高嶋さん……信じてるけど……」
「それだったら大丈夫だよ。あのときは私だって気づいてなかったから攻撃しちゃったんだよね。だから怒ってないよ……信じて」
「高嶋さん………」
「それにね。空くんはこうして私達が戦うのは悪いことじゃないって考えてるから……」
「……それは貴方的に鍛錬みたいなものだと思ってるから?」
「まぁな。それにお前たちにも何かしら事情があるんだろ。だったら別に気にすることじゃないからな」
「……貴方らしいわね」
「それと切り札だけど、なんか変な感じはないか?」
「変な感じ?」
「肉体疲労とかがあるのは分かってるけど、精神的に何か感じたりとかは?」
「精神的に……私の性格的な問題だと思っていたけど、何故か嫌な方向に考えてしまうようになっていたわ……それが切り札の後遺症だっていうの?」
「……わからないけど、後の二人にも伝えておいてくれ。精神的に辛くなったら気持ちを強くもてって」
「わかったわ」
千景の方はどうにかなったけど、千景たちがここにいるということはジュエルシードがあるということだよな。だったらなのは達にも言わないとな