空SIDE
聖王協会で予言を聞かされてから、一週間が過ぎた。僕は夜空に頼まれた強くなるための鍛錬を行っていた。
「一週間中に……50戦30勝……僕の勝ち越しだな」
「で、でも……ハァ、僕は20勝してますよ」
「分かってるよ。互いに能力と経験を上げていってるからな……お前は遠距離主体と近距離主体の両方を鍛え上げていってるし、僕は改の安定……結構行けるものだな」
これまでは基礎練習を中心に行ってきたけど、今は模擬戦(全力)が主にやっている。全力で戦うことで能力向上を出来るけど……
「まぁこの練習はあくまで勇者たちメインだったんだけどな……」
疲れ果てて倒れている中に、スバル達フォワードメンバーも混じっていた。うん、本当に混ざるなよ
「なのは、いいのか?」
「うん、特にみんな無理してないからね。でも一週間見ていて思ったけど、防人組の子たちも出来る子が多いね」
「まぁ私の教え……というより空さんが残してくれたメニューのたわものですよ」
銀は自慢げにそういうけど、こいつも結構体力が付いてるな……今立ってるのって僕となのはと銀くらいだしな……
「ママー」
するとルーテシアと一緒に前に保護した女の子……ヴィヴィオがこっちに駆け寄ってきた。今はなのはとフェイトのもとで預かっているけど、後々養子に迎えるみたいだな。
ヴィヴィオはなのはの元に駆け寄ろうとしたが、転んでしまった
「ヴィヴィオ」
ヴィヴィオに駆け寄ろうとしたフェイトを静止させるなのは。そして、なのははヴィヴィオに向かっていう。
「待って、ヴィヴィオ、自分で頑張って立ち上がってみて」
「うっ、」
「や、やっぱりだめだよ。」
我慢できず、ヴィヴィオを抱き上げるフェイト。それを見てなのはは
「もうフェイトママは甘すぎるよ」
「なのはママは厳しすぎです。」
「何だか強い子に育ちそうだな。ヴィヴィオの奴……」
「まぁ私らが面倒見てるからな。なぁルールー」
「うん」
ルーテシアとアギトの二人が僕の方に近寄ってきた。何でか知らないけど、懐かれてる……
あと色々と調べた結果、アギトはどうにもシグナムと相性がいいらしく、シグナムの良い相棒になろうと頑張ってる
「とりあえず今日の朝練は終わりでいいか?」
「うん、そうだね」
こうして朝練が終わるのであった。
朝食を食べ終え、僕は外で改の調整を行おうとしたけど……
「2日前から気になってるけど、いい加減姿を見せたらどうだ?」
誰かに問いかけるように言うと、近くの物陰が二人の少女が出てきた。一人は水色の髪の子、一人は眼帯に銀髪の子だった。
「気がついていたのか」
「結構見つからないようにしてたんだけどね」
「殺気とか感じなかったからな。放っておいたんだけど……いつまでも見つめられるとな。それでお前らは?」
「私たちはナンバーズ。私はチンク」
「私はセイン。ドクタースカリエッティが作られた戦闘機人……いうなればサイボーグだよ」
「何だかサイボーグとか言われても今更驚かないな……それで何の用だ?ルーテシアでも取り戻しに来たのか?」
「接触をしましたが、こちらにいるということで…断られました。そして貴方と接触しようとしていたのは……ドクターが貴方に会いたいと言っていました」
「招待しに来たのか……その間襲撃をかけたりは?」
「しません。ドクターは話をしたいと」
あんまり信用はできないな。それだったら……
「条件をつけるなら、一つどっちか一人、こっちに残る。2つ、スカリエッティと話しているときはみんなに訊かせるようにしてほしい。3つ、僕だけじゃなくって他にも連れて行く。出来れば二人ほど……どうだ?」
「……分かりました。ではセインをこちらに残します」
「言い忘れたけど、4つ妙なことをしたら……」
「セインはそうそう無謀なことはしませんよ」
「わかった。と言うわけだからギンガ、後は頼めるか?」
「はい」
別の物陰からギンガが出てきた。ギンガは少し前に機動六課に合流してきた。そして僕はギンガにある事を頼んでおいた。
「まさか何かしらの接触があるかもしれないって言っていましたが……本当に……」
「予想通りだったから良かったけどな……」
「それで連れて行くのは?」
チンクがそう聞くと僕は考え込んだ。色々と考えた結果、連れて行くのは……
スカリエッティのアジトの近くまで転送してきた僕、友奈、芽吹。もしものことを考えて実力がある二人を連れてきてよかったな。
「すみませんが、アジトの場所を把握できないように……」
「分かってる。なのはたちにも了解は取ってある」
「でもスカリエッティさんはどうして空くんに会いたいのかな?」
「興味があるというわけでは?」
興味か……まぁありそうだな。アギト曰く変わり者らしいから……
「もう少しすればアジトが……」
チンクが指を指した方を見た瞬間、突然爆破音が聞こえた。チンクは慌てて駆け出した。
「何があった?」
「この感じ……襲撃?」
「管理局の人?」
「いや、ここの場所は掴まれていないはず。それなら……」
僕らはチンクの後を追っていき、アジトの中に入った。アジトの中は無茶苦茶に破壊されていた。チンクはその中で倒れている人物に駆け寄った。
「ノーヴェ!?どうしたんだ?」
「チンク……姉……奴らが……」
奴ら……まさかと思うけど……
「おい、チンク。奴らってあいつらは仲間じゃなかったのか?」
「そのはずだったが……くっ……」
チンクは悔しそうにしながら、ノーヴェを抱えた。
「ノーヴェ、他のみんなは?」
「一発目の攻撃で全員……」
「すまないが、私は姉として……」
「分かってる」
僕らはチンクと別れ、奥へと進んでいった。そして奥へと進んでいくと白衣の男が腕を抑えながら目の前の男を睨んでいた。
「目的のものは取ったのだろう……なら……」
「あぁ目的は達成したが……どうやら客人だな」
男はゆっくりと僕らの方を向いた。白い髪、灰色の装束、そしてどことなく夜空に……いや僕らに似ている気がする
「お前がりっくんって奴か?」
「あぁそうだよ。ご先祖様。いやお祖父様って呼んだほうが良いかな?」
「どうして……仲間じゃなかったの?」
友奈が訪ねた瞬間、どこからともなく赤嶺と茶髪の男が姿を現した。
「仲間?違うよ。あくまで協力関係だっただけ。そして紹介してあげるね。彼こそが神の領域を超えた存在……歴史から消された裏の上里の人間」
「上里陸都だ」
「お前がそうなんだな……」
こんな所で出会うとは思ってなかったけど……戦いを避けることはできなそうだな
「遊んであげますよ。ご先祖様」
「遊びで済ませられると思ってるのか?」
僕は切り札を発動し、陸都に向かっていくのであった。