上里空は勇者になり、魔道士でもある!   作:水甲

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50 神を超えた存在

僕が陸都に向かっていく中、赤嶺は友奈の方を、茶髪の男は芽吹に向かっていった。

 

「悪いけど邪魔はさせないよ」

 

「ハアアアア!!」

 

二人がそれぞれの戦いを始めた。僕は槍を構えると陸都は右手を掲げた。

 

「手始めに……こいつはどうだ?」

 

なにもない空間からミサイルが発射されてきた。僕は槍で切り裂いていく

 

「ヴァルゴの……」

 

「分かっているが、僕は扱えるんだよ」

 

陸都はキャンサーの盾とスコーピオンの針を取り出し、僕らはぶつかりあった

 

「バーテックスの力を扱えるし、武器に変えられるのか!」

 

「さぁ始めようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈SIDE

 

「先輩相手だけど……負けるつもりはないよ」

 

「私だってまけない」

 

お互いに拳をぶつけ合っていく。お互い距離を置くこともしなかった。

 

「赤嶺ちゃんはどうして陸都くんに協力してるの?」

 

「愛する人のためにって言ったら?」

 

赤嶺ちゃんは悪戯っぽい笑顔で言ってきけど、何だかその言葉は信じられる

 

「すごいね。だったら私も大好きな空くんのために戦うよ!勇者キック」

 

「いいね。勇者キック」

 

互いに蹴りを放つけど、赤嶺ちゃんのほうが威力が強く私は吹き飛ばされた。

 

「愛する人のため頑張れば、いくらでも力は湧いてくる」

 

「それだったら私も大好きな人のために頑張る!」

 

「お互い愛する人のために……戦おうね」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

芽吹SIDE

 

眼の前の男の槍の一撃を受け止めていく。この男……強い

 

「名は何というのだ?」

 

「楠芽吹。防人だ」

 

「俺はゼスト。騎士だ」

 

「ゼスト……ならルーテシアの言っていた男だな。彼女が心配していた」

 

「そうか……だが俺は奴らに協力することにしたのだ。戻れたらそう伝えてくれ」

 

「ここで私を殺すということ?」

 

「そうだと言ったら?」

 

私を殺すか……だけど私は殺される訳にはいかない

 

「誰も失わないためには、自分自身も死ぬ訳にはいかない」

 

銃剣をゼストへと打ち込んでいく。ゼストは私の攻撃を弾いていきながら笑みを浮かべていた。

 

「騎士ではなく武士だな。面白い」

 

「ハアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

スコーピオンの針を避けながら、距離を置く僕。こいつ……全てにおいて僕を超えている

 

「それも天の神の力で身体能力を上げているのか?」

 

「いいや、素の力は君を超えているだけだよ」

 

「そうか……シュート!」

 

アネモネへと切り替え、魔力弾を放つ僕。だけど陸都は盾ですべてを受け止めた。

 

「この程度なわけ無いだろ」

 

「出し惜しみしている場合じゃないな………アネモネ!カートリッジロード!!」

 

カートリッジロードをし、僕はまばゆい光に包まれると、8つの尻尾に二本の槍を持った姿に変わった。

 

「切り札・改『槍狐』」

 

「槍狐?」

 

僕は二本の槍を構えながら、陸都に向かっていく。陸都はキャンサーの盾で攻撃を防いでいくが……

 

「その盾を壊れるまで……貫く!!」

 

二本の槍に、更には8つの尻尾の先が鋭く尖らせながら、9つの攻撃を繰り出していき、キャンサーの盾を破壊した。

 

「カートリッジロード!『魔狐』」

 

今度は二本の杖に代わり、10つの魔力をため始めた

 

「フルテイル・バスター!!」

 

10の砲撃を防ぐすべもなく、陸都は直撃を食らった。陸都は煙に包まれていくが、ゆっくりと歩いてきた。

 

「やりますね」

 

「無傷ってか……ふざけんな」

 

「ふざけてないですよ。今のは危なかったので、ジェミニの力で分身を盾にしたんですよ……とはいえ多少の傷は負いましたが」

 

陸都は左手を見せた。陸都の左手はみるみる内に再生していく。こいつ……

 

「再生能力か……」

 

「再生能力はこの鍵の力ですよ」

 

陸都は胸をはだけると、陸都の胸に黒い鍵が埋め込まれていた。これがこいつの大本だっていうのか?

 

「この鍵は偶に僕の意識を奪っていく。おまけに僕の頭に声をかけてくるんですよ……全てを支配し、全てを破壊しろって」

 

「だったらそれを外せばいいだろって言いたいけど、外せないのか?」

 

「えぇそのために色々と必要なんですよ。レリックや聖王の揺り籠やら……色々とね。そのために……スカリエッティと協力して、集まったのを確認した後、奪うことにしたんだよ」

 

「お前が世界を渡り歩いてるんだろ。だったらそれ以上のものが見つかったりしてないのか?」

 

「見つかったりしてますよ。でも鍵を外すことは出来ない……でも興味はあったりしますよ……例えば……」

 

陸都が軽く右手を振った瞬間、近くの地面がなにかに切られた

 

「ありとあらゆるものを切り裂いたり……」

 

指を鳴らした瞬間、どこからともなく氷が振ってきた。これはバーテックスの力じゃないな

 

「見て、力を覚え、扱えるようになりました。異世界の武器の能力ですよ」

 

「結構厄介だな」

 

「でもどれもこれも外すためのものじゃなかった……」

 

こいつは鍵を外すために色々とやっているんだな。だけど……

 

「じゃあ何で天の神を殺したんだ?それも必要なことなのか?」

 

「天の神を……それは一体……」

 

陸都が何かを言いかけた瞬間、突然苦しみだした。一体何が起きている?

 

「まずい!?意識が……」

 

友奈と戦っている赤嶺が異変に気がついた。すると陸都は笑みを浮かべた。

 

「ふふふ、ふははははは、宿主様は悠長に話しているから……奪えたな」

 

「お前……何者だ?陸都じゃないな」

 

「ん?俺はリクトだよ。今の所はな。さて質問に答えよう。俺が天の神を殺したのは……俺が天の神を超えるためだ!!」

 

リクトが両手を掲げた瞬間、巨大な炎の塊を生み出した。

 

「レオの炎……受けきってみせろ!!」

 

巨大な炎が迫り来る中、僕はカートリッジをロードし、

 

「黒狐!!」

 

黒狐を発動し、巨大な炎を破壊した。だがリクトは笑みを浮かべたまま……

 

「第二弾だ」

 

追撃に炎の塊を放ってきた。僕は防ごうとしたが、黒狐の時間制限が来てしまい、防ぐのが間に合わず直撃を食らった。

 

「があああああああああ!!?」

 

僕は地面に倒れそうになったけど、何とか踏みとどまった。

 

「まだ立つか……ならば!!」

 

リクトは12の光を一つに集め、一本の剣を作り上げた。

 

「死ね!」

 

リクトは僕を剣で切りつけ、貫いた。

 

「空くん!?」

 

「ここでお前は終わりだな……」

 

剣を引き抜いたリクトは歪んだ笑みを浮かべていた。

 

「……早く戻って……貴方には出てきてほしくないの」

 

「小娘が……だが戻る前に邪魔な存在は消しておくか」

 

リクトが剣を掲げた瞬間、真っ赤な炎がリクトの前を遮った。そして倒れた僕の近くにポニーテールの少女が現れた。

 

「天の神か。殺されに来たのか?」

 

「……まさか。この子はまだ死なせないよ。とりあえず撤退する手伝いをね」

 

天の神はそう言って指を鳴らすのであった。

 

「……逃げたか。さて宿主様に戻ってやるか」

 

「………りっくん」

 

「友奈……またあいつが……」

 

「それがお前が言っていた蝕むものか」

 

「……早く何とかしないとね。その手始めに……」

 

「分かってるよ……奴が言う破壊衝動を発散しつつ、残ったレリックの回収をしないと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天の世界

 

「あの子、助けに行っちゃったね」

 

「まぁ私でも行っていたわ。さて……」

 

「行くの?」

 

「えぇ私の役目は連れて行くことよ。ところで貴方の方は?」

 

「あぁ例の存在のこと?多分だけど……番目じゃないかな?」

 

「………番目……あの子が破棄した存在ね。全く面倒なものを……まぁいいわ。ちょこっと行ってくるわ」

 

「行ってらっしゃい~」


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