夜空SIDE
聖王協会の病院で、僕らは眠り続けている空さんを見つめていた。高嶋さんから話を聞く限りでは空さんはりっくんこと陸都にやられたみたいだ。
高嶋さんたちは天の神のおかげでナンバーズと呼ばれる女の子たちと一緒に撤退することが出来たけど……
天の神はまだやるべきことがあると良い、すぐに姿を消した。
「……」
「……」
高嶋さんとひなたさんは思いつめた表情をしていた。一命をとりとめたものの、未だに目が醒めない空さん……
僕もついていけば……
「夜空、そろそろ時間」
「はい、先輩」
僕らは今後のことを踏まえて作戦会議を始めることになった。待っていてくださいね。今度は僕ががんばりますから……
「傷を負ったスカリエッティから事情を聞いた限りだと、陸都たちは次に本部襲撃を狙っているみたい」
はやてから聞かされたのは陸都たちの次なる目的。スカリエッティ曰く陸都を蝕んでいる存在の破壊衝動を解き放つために必要なことらしい。そして……
「また六課で回収してあるレリックの強奪……目的が分かっている以上はうちらも気を引き締めへんとな」
「だが敵は強大だ。地上本部、六課の防衛となると2チームに分ける必要がある」
若葉さんはそう言うと、なのははモニターにチーム分けを映し出した。
「陸都が来るとしたら、地上本部の方。だから私、フェイトちゃん、はやてちゃん、守護騎士のみんな、西暦時代の勇者、夜空さんを向かわせることになる」
「ということは私らも地上本部ってことだね」
「うむ、任された以上は守ってみせる」
「僕も地上本部で?」
桜さんがそう聞くとなのはは首を横に振った。
「桜さんは六課の方をお願い。六課は勇者部のみんな、防人のみんな、アリシア、桜さんでお願いします」
「任されたよ」
「こっちも負けてられないわ。勇者部気合を入れていくわよ」
全員が気合を入れていく中、僕はそっと会議から抜け出したのだった。
空さんが負けた。それ以上に陸都は強敵だ。だったら……
「夜空さん?」
気がつくと樹が心配そうにしながら僕に声をかけてきた。
「樹……」
「どうしたんですか?」
「……樹、今のうちに謝っておく。もしかしたら凄く心配をかけることになるって……」
「心配をかける……何をするつもりですか?」
「ごめん……」
「夜空さん……お願いですから死なないでくださいね」
「分かってる」
「本当にですよ」
「あぁ」
僕は樹と指切りをした。陸都との戦い……僕は全力全開で戦うしかない
ある世界
「始めたばっかりとは言え……依頼は来ないもんだな」
留守番しているのだけど、暇でしょうがないな。
あの一年にも渡る戦いが終わった後、俺は仲間たちと共に何でも屋的なものを始めた。始めたのは良いけど……まだ依頼は来なかった。
「気長に待つのです。私も手伝いますからね」
「ありがとうな」
二人でのんびりとしている中、突然ドアからノックが聞こえた。
「どうぞ」
部屋に招き入れるとフード姿の人物が入ってきた。怪しすぎる
「ここなんでも依頼を聞いてくれるんだよね」
「あぁそんなところだよ」
「じゃあお願いしたいことがあるの。丁度二人がいるしね」
フードの奴がそういった瞬間、まばゆい光に包まれるのであった。
公開意見陳述会。地上本部、本局、各世界の代表が意見交換する会。それが今日、地上本部で行われることになった。陸都たちが現れるとしたらこの時だろうとはやてが言っていた。
「それじゃ私とフェイトちゃんは外を見回ってくるね」
「はい」
なのはとフェイトの二人が見回りに向かい、残った僕らは……
「ここで待機か」
「でもそうした方が何かあったとき動きやすいと思うよ」
「とりあえず、スバル、エリオ、キャロ。敵と遭遇したら戦わずに誰かと合流して、その後全員で戦うこと」
「はい」
「分かりました」
「こちらも個人で戦わないようにしないとな」
「彼……大丈夫かしら」
「何だ?千景は桜のことが気になるのか?」
「そ、それは……別に……」
「タマっち先輩、茶化すのはやめようよ」
「六課の方は大丈夫かな?みーちゃんたちが待機してるけど……」
「きっと大丈夫だよ。先輩たちも強いですから……」
きっとみんななら……
ひなたSIDE
六課の一室で私は水都さん、夕空さん、亜弥さん、ルーテシアちゃんと一緒にヴィヴィオちゃんの側にいた。
「ママたち、大丈夫かな?」
「きっと大丈夫ですよ……」
「ひなたさん、休んでいたほうが良いんじゃ……」
「そうですよ。ここ最近眠れてないみたいですよ」
「もしかして空さんが心配なのですか?」
みんなに気が付かれていた……一命は取り留めたもののまだお兄ちゃんは目を覚まさない。もしもこのまま目を覚まさずにって考えると……
私は体の震えが止まらなかった
「ひなたお姉ちゃん」
するとヴィヴィオちゃんが私の手を握ってくれた。
「ヴィヴィオちゃん……」
「信じよう。きっと空お兄ちゃんは目をさますよ。それにヴィヴィオね、お守りに祈ってるから大丈夫」
ヴィヴィオちゃんは私に白い鍵を見せた。これって、以前天の神がなのはちゃんに授けた……
「そうね。何かご利益があるかもしれないですね」
桜SIDE
みんな、緊張しているのか、会話がなかった。そのためかまるで嵐の前みたいだった。
「……桜教官……」
「何だ芽吹?」
「もしゼストと言うやつが現れたら……私と夏凜にやらせてください」
芽吹は強い目でそう言ってきたが、僕は首を横に振った。
「君たちだけ戦わせない。僕も戦うよ」
「教官……はい」
さて敵はいつやってくるのか……この神宮家に伝わる『桔梗櫻』で戦えきれるか……
「さぁて準備は整ったよ。りっくん」
「あぁ……一号、三号は僕と友奈と共に地上本部へ、二号、四号はゼスト共にレリックの回収を」
『主様。向かってくる奴らは?』
「お前たちは僕が作り出した。そして僕と繋がってる。少しでも破壊衝動を発散させるために……向かってくるものを全て破壊しろ」
『了解』
「それじゃりっくん、入れ替わって」
「あぁ……さぁ始めよう!!」
夜空SIDE
警報が鳴り響いた瞬間、空を見ると大量の星屑が迫ってきていた。始まったか。
「全員!行くぞ!」
若葉さんの号令のもと、僕らが動き始めるのであった。そんな中、若葉さんの前に人型バーテックス三号が現れた。
『さぁて妨害しちゃおう』
「妨害?悪いけどするのは私達の方だ」
『そう、じゃあ楽しませてね』
若葉さんたちは三号と戦う中、シグナムさんたちが駆けつけてきた。
「大丈夫か!」
「人型バーテックスか。我々守護騎士も……」
『なら俺の相手をしてもらおうか』
シグナムさんたちがデバイスを構えていると、目の前に巨大な太刀を持った人型バーテックスが現れた。
『俺は一号』
「我ら守護騎士」
『騎士。相手に不足はないな』
守護騎士が一号と戦う中、地上本部の方から爆発が聞こえた。まさか……
「ティアナ!僕はあっちへ行くから」
「ちょっと夜空?」
「僕の相手はあいつみたいだからな……」
僕は爆発が起きた場所へと向かうのであった。
「まずいわね……戦力を分断された。それにこのバーテックスの数だと六課も気になる」
「ティアナさん、僕らが行きます」
「フリードで向かえばすぐに着くと思います」
「二人共……無茶をするんじゃないわよ」
「「はい」」
なのはSIDE
襲撃に気が付き、みんなのところへ向かおうとすると赤嶺さんが立ちふさがった。
「始めまして」
「赤嶺友奈ちゃん……」
「私達の相手って所?」
「そう、悪いけど……二人にはここに留まってもらうから……火色舞うよ」
赤嶺ちゃんが呟いた瞬間、力が解放される感じがした。これって……
「本気って言うことだね」
「行くよ。なのは」
「さぁ楽しもう」
桜SIDE
『ふふふ、どうだった?見えない砲撃』
『とはいえ感じ取ったのか、全員が避けたな』
僕らの前には人型バーテックスが姿を見せていた。そして夏凜、芽吹の前には……
「楠か」
「ゼスト……」
「こいつがゼストね」
ゼストと向き合う二人。それじゃ僕の相手は……
『お前の相手は決まっているだろう』
三号が僕に武器を突きつけた。そうだな。だけど一人で戦わない
「桜さん、私らも」
銀、弥勒、雀、しずくが僕の前に並び立った。
『それじゃ私はこっちね』
「仮面つけてるから性別がわからないけど……」
「そもそも~性別ってあるのかな?」
「先輩、そのっち、集中」
「私達でここを守り抜こう」
「向こうで戦ってる夜空さんたちのために」
それぞれが敵と戦いを始めた。だけど……何故か嫌な予感がする。何だ?これは……
夜空SIDE
会議室に入ると、そこにははやてとカリムさん、シャッハさんが倒れ込んでいた。そして部屋の中心には一人の男がいた。
「お前が陸都か」
「あぁそうだ。俺がリクトだ。お前は……あぁ子孫か。先祖と一緒にボロ雑巾にしてやるよ」
「ふざけるなよ……お前は僕が倒す」
「出来るものならやってみろよ」
僕はランディニを構え、リクトに向かっていった。