空SIDE
目が覚めると見覚えのない天井だった。僕は何でベッドで眠っているんだ?
頑張って思い出すと……そうだった……
「陸都に負けた……いやリクトか……」
あのとき豹変した陸都に敗れて、あれからどれくらい経ったんだ?
ふっと気がつくと椅子に座りながら、ひなたは眠っていた。よく見てみるとひなたも所々処置した跡があった。これは……
「眠っていた間に何かあったな……」
「ん……んん、あれ?お兄ちゃん?」
「おはよう。ひなた」
「おはよう……ってお兄ちゃん!?」
目覚めたひなたは僕のことを見て、驚きを隠せないでいた
「寝坊ですよ……お兄ちゃん……」
「悪かったな。僕はどれくらい眠ってたんだ?」
「一週間です。お兄ちゃんは一週間眠り続けていました」
一週間もか……多分だけど切り札・改の後遺症みたいなものだろうな……
「一週間の間……何かあったのか?」
「えぇありました。色々と」
「お前のその怪我もその色々に入るのか?」
「そうですね……皆さんにお兄ちゃんが起きたことを伝える前に、この一週間で起きたことをお話します」
僕はひなたから一週間の間に起きた出来事について聞いた。
地上本部で行われた公開意見陳述会。そこに現れた陸都たち。陸都によって地上本部は半壊、死人が出るほどだった。陸都と戦った夜空は大怪我を負ったみたいだった。
「夜空のやつは?」
「怪我はシャマル先生が治してくれました。私達巫女の治癒能力は私達が怪我しているとどうにも治療できないみたいで……」
「そっか、まぁあと心配なのは……」
夜空の奴、落ち込んでなきゃいいけどな……
「本部襲撃の際、若葉ちゃんとシグナムさんたちは人型バーテックス二体と戦いましたが、かなり苦戦したみたいです」
人型バーテックス……そんなにか……
「スバルさんたちも星屑などと戦い、何とか被害を抑えたみたいですね」
更に話を聞くと機動六課に、三体の人型バーテックス、ゼストによって機動六課で回収したレリックを奪われたらしい。
なのはとフェイトの所には赤嶺が襲撃、今の二人は僕が思う限りでは、そうそう負けるような気がしないけど、赤嶺はその二人と互角に戦ったみたいらしい
「話を聞く限りじゃ、よくみんな生きてたな……」
「正直危ないところでしたが……ある人達のおかげで何とかなりました」
「ある人たち?」
「その一人は人型バーテックスを桜さんと一緒に戦って、二体撃退しました。もう一人は赤嶺さんを圧倒し、赤嶺さんを捕まえることが出来ました」
「何者だよ……そいつら」
「そうですね。会ってみた方がいいですね」
部屋から出ると自分がいる場所がようやく理解できた。ここは聖王教会だったんだな。
ひなたに案内された部屋に入ると、はやて、なのは、フェイトの三人、夜空、桜、若葉が集まっていた。そしてその中に見覚えのない四人が混ざっていた。
「空さん、遅刻やな」
「寝坊したんだよ」
「良かった。何時も通りで」
「うん、本当に」
何というかいつもどおりみたいだな。
「空さん、すみません……僕……」
夜空は申し訳なさそうにしていたが、僕はデコピンを喰らわした。
「お互い一回負けただけだろ。次の戦いで勝てば良いんだよ」
「空さん……はい!」
やっぱり落ち込んでたか。
「空、目が覚めてよかった。友奈が心配してたぞ」
「後で謝らないとな」
「空、君に紹介したい人がいるんだ」
桜は見知らぬ四人の方を見た。こいつら、一体……
「ミナト・ユウだ」
「愛崎えみるです」
「ルールー・アムールです」
「ミアです」
「上里空だ」
お互いに自己紹介するけど、なんか一人、なのはと声が似てないか?
「彼らは以前カリムさんの予言で出てきた『未知なる世界からの来訪者』だよ」
「こいつらが……」
未知なる世界……もしかして陸都が使っていたありとあらゆるものを切り裂く能力とかの武器がある世界のか?
「あのふざけた天の神とかに無理やり連れてこられたんだよ」
ふざけた天の神?あいつ、ふざけてるようには思えないけど……
「まぁおかげで助かったんやけどね………それで今回の首謀者、上里陸都の事なんやけど、天の神が言うには、一番最初に作られたバーテックスが陸都の体を乗っ取っているらしいんや」
一番最初に作られたバーテックス……リクトの正体がそれなんだな
「奴の力は全てのバーテックスの他にも色んな力を扱えるみたいなの」
「正直勝てる方法は見つかってないんだ」
フェイトの言うとおり、リクトはかなりの強さだ。おまけに再生能力まで持っている……それに戦力である人型バーテックスも強敵だしな
「勝つ方法か……」
「それなら一つだけあるぞ」
ミナトがあるものを取り出した。それは白い光だった。これって……
「あの天の神が言うには、対抗できる力らしい」
「対抗できる力……」
「これを発現する方法は俺達が詳しいって言ってたけど……」
「あのもしかしてアレですよね」
「あれだな。この光に触れて何となくわかったけど……」
ミナトとえみるの言うアレって何だ?
「この力は……愛を受け取り、愛を育んだ結果、扱えるようになる力だ。発動できる人間は愛を育んだ人だけみたいだな」
「愛を育んだ……」
つまり恋人がいる人じゃないといけないってことか……だとしたら僕と夜空だけなのか?桜はまだ千景と付き合ってないし……
「僕と空さんですね」
「だな」
僕らは受け取ろうとすると、何故かミナトは渡そうとしなかった。
「まだ話の途中だからな。これを発動するためには鍵が必要だ」
「「鍵?」」
「その鍵は……お前らの恋人にキスをしてもらうことだ」
「「はああああああああああああああああああああああ!!?」」
何でキスしないと発動できない力なんだよ!?僕と夜空は驚きを隠せないでいた。
「まぁこの二人も戦いの最中にキスをしてましたから……」
「は、恥ずかしいのです」
「まぁ久しぶりだったからな」
ひなたとえみるは顔を赤らめる中、ミナトは平然とした顔をしていた。こいつ、どんだけだよ
するとはやてがあることを聞いてきた。
「因みに二人はキスはもうしたん?」
「あの僕と樹は付き合い始めたばっかりですし、デートもこの間が初めてで……」
「何というかタイミングが悪くてな……というかキスしていても、戦闘中に……」
「慣れろ」
「「なれるか!!」」
二人でツッコミを入れる中、はやてはニヤニヤしていた。
「まぁまぁミナト、二人はキスもまだみたいなんやから、いきなりキスをしないと駄目とかいうのはあかんよ」
「じゃあどうするんだ?」
「今は陸都たちの居場所を見つけるまで、みんなそれぞれ特訓をしている。ちょっとした準備期間や。だから……空さん、夜空さん、デートしてキスするんや」
「「はあああああああああああ!?」」
「因みに友奈さんと樹ちゃんには伝えてあるから、安心してな」