上里空は勇者になり、魔道士でもある!   作:水甲

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57 お互いの気持ち 夜空×樹

リクトに対抗できる力。それを発動するためにキスをしなければいけない。だから僕らはキスが出来るようにとはやてに言われたのだけど……

 

「………」

 

「あの、樹……」

 

「なんですか……」

 

樹がめちゃくちゃ怒ってる……これどうすればいいんだよ……

 

 

 

 

 

園子SIDE

 

「いっつん、めちゃくちゃ怒ってるね~」

 

「まぁ樹が怒ってる理由はわかるけど……」

 

私とフーミン先輩で尾行をしていたけど、いっつんが怒っている理由は……

 

『園子さん、そっちの様子はどうや?』

 

「はやちゃん、ちょっと厳しいかな?いっつん、怒ってるんよ~」

 

『あぁ、もしかして無茶したからかな?』

 

「それかもしれないね~フーミン先輩的には?」

 

「樹が怒ってる理由はそんなところね。何というか夜空は本気で無茶しまくりだから……というかこれって血筋なの?」

 

「上里の人間は無茶しやすいからね~」

 

『そっちでどうにか仲直りできそうには?』

 

「そうだね~」

 

「ここは見守るべきね。今回のことは二人がどうにかするしかないと思うし」

 

『そやね』

 

はやちゃんから通信が切れると、フーミン先輩は呆れた顔をしていた。

 

「何というか……はやては部隊長よね」

 

「そうだよ」

 

「尾行してて良いのかしら?」

 

「まぁはやちゃんは見守りたいからじゃないかな?」

 

「あとでリインたちに怒られなければいいけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空SIDE

 

二人で歩いているだけとは、ずっと樹が口を利いてくれない……本当にどうすれば……

いや、どうすればいいのかは決まっている。

僕は前を歩く樹の腕を掴んだ

 

「……夜空さん?」

 

「樹……ごめん」

 

「……」

 

「僕は……お前に心配掛けたよな。死なないようにって約束したけど……それでもお前からしてみれば……心配でしょうがなかったよな……だからごめん……」

 

「………」

 

樹はずっと黙ったままだった。謝って済むことじゃないのは分かってるけど……

 

「夜空さん……謝らないでください」

 

「樹……」

 

樹は僕の手を掴み、強い目で僕のことを見つめた。

 

「夜空さんが傷だらけになりながらも頑張ってることは……心配ですけど、そうしないといけないことだって分かっています」

 

「樹……」

 

「ただ……私は自分に怒ってるんです」

 

「自分に?」

 

「夜空さんが頑張ってる。それもずっと一人で……私は夜空さんに守られているだけ……何もできない自分に怒っています。私はこれから夜空さんと一緒に戦いたいです。夜空さんを守りたい、力になりたい……」

 

樹は涙を流しながらそう告げた。そうか……僕は樹のことは何も知らなかったな……大好きな人なのに……

 

僕はそっと樹のことを抱きしめた。

 

「ありがとうな。樹」

 

「夜空さん……」

 

「一緒に戦ってくれ……お前は僕が守るから……お前は僕を守ってくれ……」

 

「はい」

 

互いの気持ちをしっかり伝えられてよかったかもしれない。何というかはやてはこのことを分かっていて、デートとか言い出したのか?

 

「あの……夜空さん」

 

「何だ?」

 

「はやてさんから聞いたんですけど……強くなるためにき、キスをしないと駄目って……」

 

「あ、うん」

 

いや、正直これで終わりじゃ駄目なのか?

 

「その……私とキスしてください」

 

「………樹、無理はしてないか?」

 

「してません……でも、恥ずかしいですけど……小学生のえみるちゃんが頑張っていたんですから……私も頑張らないと」

 

頑張るとこ間違ってる気がするけど……このまま嫌がっていたら駄目だよな

樹は目を閉じ、僕は樹にキスをした。

 

「ふあ……」

 

キスが終わると樹はそのまま座り込んでしまった。

 

「だ、大丈夫か?」

 

「何だかキスって……すごいですね……力が抜けちゃって……でも心がすごく暖かいです……」

 

「樹……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

園子SIDE

 

「キスしちゃったね~」

 

「何というか妹に先を越されたわ……全く夜空はちゃんと樹のことを大切にしなさいよね」

 

「フーミン先輩はぶれないね~」

 

『そっちどうや?』

 

「はやちゃん、こっちは成功みたいだよ」

 

『そうか……それは良かった……』

 

「そっちは?」

 

『えっと……普通にデートはしてたんだけど……何故か模擬戦に……』

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナトSIDE

 

スカリエッティにレガオンを見せることになったけど……

 

「なるほど、この武器はオーバーテクノロジーだね」

 

「まぁ俺からしてみれば、そっちの技術がオーバーテクノロジーだと思うけど……」

 

「世界の違いというものだね……」

 

「そういえば聞きたかったことがあるのだけど……お前は何であいつらと話をしたかったんだ?」

 

いろいろと話しを聞かされる中、気になったことをスカリエッティに聞いてみた。スカリエッティは手を止め、俺の方を見た。

 

「彼らの勇者の力と魔法の力について調べてみたくってね」

 

「科学者としての血が騒いだんだな」

 

「それもあるが……気になるのは彼らに協力している天の神についてだ」

 

「まともな方がどうしたんだ?」

 

「リクトと戦うために協力しているみたいだが、気になったのは彼女がどこの時間軸で来たかだ」

 

「空とかの話だと全部終わった後だって……」

 

「なるほど……ならば例の開発は今回の件が終わってからでいいな」

 

「開発?」

 

「私もね。天の神と会ったのだよ。そして伝えられた……彼らが私と戦う際に、私が道を開くものを作って欲しいとね。最初は何の話かと思っていたが……」

 

「今回の戦いじゃなくって、その後の戦いの事を言ってるみたいだな……」

 

「まぁまずは今回の戦いに集中しようじゃないか」

 

 


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