桜SIDE
三号と戦う僕らだけど、友奈、スバル、ノーヴェ、ギンガのパンチを三号は鉄扇で受け止めていた。
『いいパンチだけど……私には届かない』
「固い……」
「弱点があるのは分かってるのに……」
「知っていても攻撃が通らない以上は……」
「だったら!通るまでやるだけだ!!」
「そうね!!」
シズクと風の二人が攻撃を繰り出すが、三号は鉄扇で攻撃を弾いていく。だけど後ろに回り込んだトーレ、オットー、ウェンディ、ディーの四人が攻撃を仕掛ける
『後ろから来るのは分かってる!!』
鉄扇を閉じ、仕掛けてきた四人を一瞬の内に吹き飛ばしていく
『悪いけどあんたたちの仲間が倒した四号、五号とは比べないでほしい……それ以上に強いんだから……』
三号は鉄扇を仰ぎながらそう告げる。
「や、やばいよ~結構やばい奴引いたかも~」
「やばくても……戦わないとね。よっくんたち……みんなの所に行かないと……」
「園子!よく言った!!」
「後ろからの攻撃を読むというなら……七人同時の攻撃はどうかしら?切り札発動!!」
千景さんが切り札を発動し、七人に別れた。千景さんは七人同時に攻撃を仕掛ける
『まずい……何ていうと思ったの』
三号が鉄扇を広げた瞬間、一瞬で千景さんたちを切り裂き、その一人の胸から血が吹き出した。
「つぅ!?」
『まず一人……』
「まだ……よ」
千景さんは血を流しながらも三号に組み付いた。
『抑え込んでどうするつもり?』
「土居さん!!」
「千景……悪い!!」
珠子が切り札を発動し、炎を纏った一撃を三号へと放った。まさか千景さんは……自分を……
「千景さん!!」
僕が叫んだ瞬間、攻撃が三号に当たり、黒い煙が周辺を包み込んだ。
煙が晴れていくとそこにはボロボロの千景さんが倒れ、三号は傷を再生していく。
『ソレをさけようとしていたみたいだけど、そのおかげで私を倒すことはできなかったわね……ソレは無駄死にってこと……』
三号が言いかけた瞬間、僕は三号の腕を切り裂いた。
『容赦ない……って感じね』
「千景さんのことをソレって呼ばないでほしいですね……」
『あら、あなた……彼氏か何か?』
「いや、まだ友達だけど……僕は彼女のことが大好きです……だから好きな人を侮辱するやつは許さない」
「桜教官……なんか怖い……」
雀がそう言うが、これが本当の僕らしい……
数日前
「どうですか?」
ミナトと模擬戦をやっているときのことだった。
「……お前の刀って……何なんだ?」
「これは言うなれば妖刀みたいなものですよ……常識では計り知れない力を宿した刀……それを元に僕はこの守人システムを作り上げました」
「そうか……」
ミナトは不思議そうな顔をしていた。一体どうしたんだ?
「何だか感じ的には……魔法みたいなものが宿ったものだと思ってたんだけど……もっと違う感じがしてな」
「違う感じ?」
「言うなればレガオンみたいなものだな」
ミナトが持っている短剣……天の神が以前使っていた帝具を似せて作ったもの……神具だと聞いているが……僕の持つ桔梗櫻も似たような力を?
「あとやっていて思ったんだけど……お前……優しそうに見えて太刀筋からかなりの殺気が見え隠れしてるな」
「殺気……」
「気がついてないみたいだけど、お前の太刀筋からは確実に相手を殺すという殺気を感じる。まぁ普通の奴には感じ取れないけどな」
「……そうですか」
なんとも言えない気持ちになった。ミナトは暗殺者だったみたいだからそういうのには敏感みたいだけど……
「もしもお前が怒りのまま戦うとなると……凄いことになりそうだな」
「一応覚えておきます」
そして今、僕は本気で怒っている。大切な人を侮辱し傷つけたバーテックスを許せない
「ハアアアアア!!」
斬撃を繰り出していき、三号の右腕を切り落とした。だが三号は両腕を再生していく
『太刀筋が変わったみたいね。だけど知っているわよね。御霊を破壊しなければ殺すことができないって……』
三号の体を切り刻んでいくが、すぐに再生していく。怒りのまま切り続けても……こいつを倒すことができない……
『もう終わり?それじゃそろそろトドメでも……』
三号が鉄扇を振り上げた。ただ怒りのまま切り刻んだ僕には避ける体力が残っていない……だけど……このまま切られた瞬間、三号の体を押さえつけ、僕ごと誰かが攻撃をすれば……
「桜!!」
鉄扇が振り落とされる寸前、千景さんの声が聞こえ、僕は咄嗟に桔梗櫻を構え、三号の胸に突き刺した。
『ぐうう……こいつ……』
「貫いた感触……御霊は破壊できたみたいですね……」
『御霊を破壊した所で……お前を切り裂く力は……』
「いいえ、これで終わりです」
刀を引き抜いた瞬間、三号の体が炎に包まれていく。ミナトが言っていたことが理解できた。
「この刀は昔、偶然に近い確率で完成した……僕らの世界の帝具と同じようなものですね。ただ今は神具と言うべきだけど……」
鞘に収めた瞬間、黒焦げになりながらもまだ動き続ける三号。
『まだ御霊は……』
「終わりですよ」
「ディバインバスター!!」
「勇者パンチ!!」
スバルと友奈の二人の攻撃を食らった三号は塵となって消えていった。
僕は珠子に支えられている千景さんのそばに寄った。
「大丈夫ですか?千景さん」
「……あなたの方こそ」
「僕は大丈夫ですよ」
僕は千景さんをお姫様抱っこすると園子さんが興奮していた。
「お姫様抱っこだ~ちーちゃん、よかったね~」
「ちょ、ちょっとやめなさい……」
「やめませんよ……だって好きな人の頼みでもやめるつもりはないですから」
「好きな人って……」
「千景さん、好きです。僕と結婚してくれませんか?」
「え、えっと……はあああああ!?」
「フーミン先輩、もういろいろと段階を乗り越えてるよ!?」
「何というか……戦いの最中だっていうのに……」
みんなに呆れられながら、僕らはこの場所から抜け出していくのであった
分かる人だけにはわかることですが……自分のゆゆゆシリーズに登場する神宮家の人間は、どんな場面でも告白したり、やらかしたりしています