上里空は勇者になり、魔道士でもある!   作:水甲

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63 愛の力 奇跡起こす

空SIDE

 

「サジタリウス!!」

 

無数の矢が降り注いでくる中、僕と夜空の二人で魔力弾を発射し、相殺していく。

 

「「勇者!!パンチ!!」」

 

友奈と赤嶺の二人が同時にパンチを繰り出すが、アスクは両手を広げて、キャンサーの盾を召喚して防ぐ。

 

「動きを封じれば……」

 

樹がワイヤーでアスクを縛り上げようとするが、アスクは地面に潜り込み、樹の後ろに回り込んだ

 

「ヴァルゴ!!」

 

後ろに回り込んでミサイルを発射しようとするが、寸前の所で夜空が魔砲を発射し、ミサイルを打ち消す

 

「よく俺の動きについて来れるようになったな」

 

「一度戦ったんだ。対策くらいはできる」

 

「空さんのおかげですね」

 

一度戦って、何となくだけど動きが読めるようになった。あとは一瞬の隙を付けば……

 

「なるほど。流石は宿主の先祖と言うべきだが……だが!!」

 

アスクは十二の光を一つに集め、一本の剣を生み出した。

 

「十二のバーテックスの攻撃を全て受け止められるかな?」

 

剣から放たれた十二色の魔砲が僕ら目掛けて襲いかかってきた。僕と夜空は前に出て障壁を貼り、友奈と樹の二人は僕らを後ろから支えた。

 

「たかがその程度で攻撃を防げると思っているのか?」

 

アスクは笑みを浮かべるが、赤嶺がアスクの背後に回り込み、アスクを抑え込もうとするが……

 

「お前が動くことは予測できている!!」

 

一瞬の内にアスクの姿が消え、赤嶺の背後に回り込み、赤嶺を地面に目掛けて蹴り飛ばした。

 

「うぐっ!?」

 

「俺をどうにか出来ると思っているなら……諦めろ!!お前たちはこのまま俺の支配する世界への礎となれ!!レオ!!」

 

巨大な炎の玉が生み出されていく中、僕はアネモネを握りしめた。

 

「………夜空!」

 

「はい!」

 

僕は黒狐を発動し、炎の玉を魔砲で相殺していく中、アスクは二発目を発射した。

普通なら一発目を相殺したら、僕らは二発目で焼き殺されてしまうが……

 

「大獄丸!!」

 

夜空が満開を発動し、魔砲で二発目を相殺した。

 

「コンビネーションで上手く相殺したつもりだが……」

 

三発目を放とうとした瞬間、アスクの体がワイヤーで縛り上げられた。縛り上げているのはカートリッジシステムで満開を発動し、神秘的な衣装に身を包んだ樹だった。

無数のワイヤーでアスクの動きを封じていくが、アスクは無理やり破ろうとしている

 

「この程度で!!」

 

「切り札発動!!酒呑童子!!」

 

友奈が酒天童子を発動し、拳の連打でアスクを封じていく。このままやっていけば倒せるが……

 

「今だよ!!赤嶺ちゃん!」

 

「ありがとう……先輩」

 

拳の連打を喰らい、一瞬動けなくなった所に赤嶺がアスクに近づき……

 

「可能性にかけてみる……りっくん、戻ってきて」

 

キスをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陸都SIDE

 

深い、深い暗闇の中、僕はただそこにいるだけだった。もう僕の全てはアスクレーピオスに支配されてしまい、もう元に戻ることはできない。

 

そう思っていた中、一筋の光が指した。僕はその光に触れた瞬間、ある映像が映し出された。

 

『始めまして、赤嶺友奈です』

 

『上里陸都……』

 

『知ってる。大赦の中でトップの家系だよね』

 

『トップの家系だからって、僕は戦う力もない。ただの人だよ』

 

『……何だか悲しそうに言うね』

 

『だって、君みたいに可愛い子が戦っているのに、僕は……』

 

『かわいいって……恥ずかしいことをよく言えるね』

 

この記憶は……初めて友奈と出会った記憶……

 

更にもう一筋の光が指した。僕はそれに触れると今度は……

 

『大赦で見つかった勇者の力ではなく、天の神に近い力を得ることが出来る鍵……』

 

『陸都くんは……それをどうするの?』

 

『もう友奈たちだけが戦っているところ見ていたくはない。だから僕はこの鍵を……』

 

これは僕が黒い鍵を植え付ける前の記憶……

 

『ひどいよね。さんざん利用して……陸都くんを殺そうとするなんて……』

 

『友奈、お前は……もう僕に関わらなくていい。これは……』

 

『陸都くん……私はね。誰かのために戦おうとするあなたのことが……大好きだよ。私は大好きな人が苦しんでいるのを放っておけない……』

 

『友奈……』

 

『黒い鍵を外して……幸せになろう』

 

『……辛い道のりになるぞ。僕の体に宿った存在が言うには、色んな世界を渡り歩き、外すために必要なものを手に入れること。長い……』

 

『陸都くん……ううん、りっくん、私はそれでも一緒に行くよ……』

 

これは僕と友奈が初めて恋人同士になった時、そして長い旅立ちの始まり……

 

いろんな世界を見て回り、そしてこの世界にたどり着いた。時々アスクが暴走し、他の世界の天の神を殺したりもした……

 

「なんで今さらこんな……僕は……」

 

もう抗うすべはないのに……

 

すべてを諦めかけた瞬間、友奈の声が聞こえた

 

『りっくん、戻ってきて』

 

「友奈……」

 

まだ友奈は僕のことを救おうとしている。それに彼らも……

 

「何で……僕なんかのために……」

 

『そりゃお前のことを助けたいって思ってるからだろ』

 

聞き覚えのない声が聞こえた瞬間、闇の世界に白い影が現れた。

 

「誰?」

 

『名前を言ってもわからないから、名乗るつもりはないけど……強いて言うなら、運命を変えた勇者の一人かな?』

 

「どうして……君のいる世界と僕等がいる世界は繋げられないように封じたのに……」

 

『どっかの天の神が無理やり声だけを送れるようにしてくれたんだよ』

 

「そんなことが……」

 

『お前も上里の人間なんだろ。それだったら……抜け出そう。その闇の世界から……』

 

「抜け出す……」

 

『お前を支配する奴を拒絶する力は……もう受け取っているはずだ』

 

白い影が消えていく。この人は……

 

「あなたは?」

 

『僕は上里………』

 

白い影が消え、僕は目を閉じた。その瞬間、心の中に温かい何かを感じた。

 

「………戻るよ。友奈!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

「ぐっ!?なんだ?体が……」

 

赤嶺がキスをした直後、アスクが苦しみだした。赤嶺はその場から離れると、アスクの体から黒い霧みたいなものが吹き出してきた。

 

「こいつ……今になって拒絶するなんて……もう出来るはずが……」

 

「お前にはわからないだろうな。これが愛の力って言うやつだよ」

 

僕がそう告げた瞬間、アスクの体から黒い霧が全部吹き出し、アスク……いや陸都がその場に倒れ込んだ。赤嶺は咄嗟に抱きかかえると……

 

「りっくん……」

 

「友奈……ごめん。心配かけて」

 

「大丈夫だよ……」

 

愛の力でアスクの支配から抜け出したんだな。さて後は……

 

『お前ら……よくも……』

 

黒い霧が一つになり、巨大な黒い蛇へと姿を変えた。

 

「これで心置きなくお前を倒せるな」

 

「行きましょう!空さん!」


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