Anther Epiroge ~人間のセカイ~   作:天星

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異変 ちひろside

 舞高祭が終わった。

 この時に、私の初恋も終わった……

 ……いや、もっと前から終わっていたのかもしれない。

 あの屋上で、歩美の家の前で、京の家で、あかね丸で、そして……あいつの家の前で……

 まあ、いつ終わったかなんて関係ないのかな……

 私の初恋は、もう既に終わっている。それが事実なんだから……

 

 

 

「ちひろさーん! おはようございまーす!!」

「ああ、うん、おはよう」

 舞高祭も終わって、また普通の授業が始まる。

 歩美と、そして桂木が居る教室……

「おっはよ~!!」

「あ、歩美……おはよう…」

「ん? どうしたの? 何かテンション低いけど……」

 いけないいけない。私はもう決めたんだ。

 歩美と、桂木を、応援しなきゃ……

「何でもないっ。舞高祭終わった直後だからテンション上がんなくてさ~」

「だよね~。分かる分かる」

「もうずうぅぅっとお祭りなら楽しそうですよね~」

「フッフッフ、エリーそれは違うよ。

 祭は終わってしまうからこそ楽しいのさ」

「ええぇぇ~?」

「お、なかなか深いね~」

「あ、ところでさ……

 桂木とは……どうなった?」

「え? オタメガ?

 オタメガがどうかしたの??」

「…………え?」

 どういう事なの?

 今の歩美の言葉、なにもかもがおかしかった。

 いつ頃からかは忘れたが……歩美は桂木の事を蔑称である『オタメガ』ではなくちゃんと名字で呼んでいた。

 それに、歩美ならこんな風にごまかすとは思えない。

 それに、ごまかしているようにも聞こえなかった。本当に心当たりが無いようだった。

「あの、ほら、あかね丸での事とか……」

「???」

「……もういいや。ごめん、何でもない」

「まあいいけど……」

 本当に、何も知らないの……?

 あれだけの事があったのに……全部忘れたの……?

 

 ふと、視線の先にアイツが見えた。

 なにやら険しい表情でゲーム機を睨んでいる。

「……桂木」

「何だ?」

「いま、話せる?」

「そうだな……場所を変えよう。屋上なら人も来ないだろう」

「……分かった」

 

 

 

「どういう事なのさ!!」

「落ち着け。僕もまだ状況が掴めていない」

「歩美は、アンタとの事全部忘れてるみたいだった。

 一体何がっ!?」

「……少なくとも、僕がクラスメイトである事といつもゲームをやっている事は覚えているようだったな」

「そういう事じゃない!!」

「……一応訊くが、お前はちゃんと覚えているんだな?

 ここ数日間に何があったのか」

「当たり前よ!! アンタに振られて、歩美が結婚して、忘れられる訳無いじゃない!!」

 何を抜かしてるのこいつは! あれだけの事を忘れるなんて、冗談じゃない!!

(ちひろの記憶は残っている……)(つまり地獄は関与していない……?) (だがしかし……)

「何ブツブツ言ってるの!!」

「……少し時間をくれ。できる限り調べておく」

「うっ……分かったよ。絶対に突き止めてよ!!」

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