なし崩し的についてきてしまったわけだけど……
「……エリー、あんた一体何者?」
翔んだりとか、透明になったりとか、普通の人間にできるわけが無い。
「え? 何者かと聞かれても……」
「もしかして……女神?」
悪魔を捕まえるのに協力する存在なんてそれくらいしか思いつかない。
まあ、桂木が説明しなかっただけで他の何かなのかもしれないけど……
「め、女神? いえいえ、私はただの悪魔です!!」
「あ、悪魔ぁ!?」
ますます訳が分からない。
悪魔を捕まえるのに悪魔が協力してる?
「はい。言ってませんでしたか?」
「聞いてないから!!
っと、何でエリーは悪魔なのに悪魔を捕まえるのに協力してるの?」
「私たちが捕まえるのは悪い悪魔です!!
悪魔を全て捕まえてる訳じゃありません!!」
つまり……悪魔にも二種類居て、良い悪魔と悪い悪魔が居るらしい。
そういえば……あの鎌持った人とかも今思えば悪魔だったのかも……?
「……あれ? エリーが悪魔って事は、まさか桂木も……」
「いえ。神に~さまはれっきとした人間ですよ」
兄は人間で妹は悪魔って、一体どんな事情があるんだろう……?
「あ、神に~さまからの合図です!
えっと、確か……これをこうして……」
おぼつかない手つきでクラッカーを使おうとするエリー。
っていうか、紐を引っ張るだけだと思うんだけど……
「できましたぁ! えいっ!!」
パァン
「キャッ!!」
「おっと、大丈夫かい?」
私たちの視線の先では音に驚いた女子が桂木に抱きついている。
あの女子が爆発音が苦手……というのは既にリサーチしてあったらしい。
「あ、その……すいません!!」
「気にすることは無い。君が無事なら、僕はそれで満足さ」
「え? あぅ、その……失礼します!!」
「……ねぇエリー、桂木の奴はいつもあんな事をやってるの?」
「はい。神様のおかげで凄く助かってます!!」
「……そう……」
……でも、あれは果たして恋愛なんだろうか……?
相手の女子は確かに恋に落ちているのかもしれない。
でも、桂木の方は……
「どう思った?」
「え?」
「僕の攻略を見て、どう思った?」
「…………」
桂木の方は……全然恋をしていない。
それは本当に恋愛なの……?
「に~さま、今回はどうですか?」
「手早く済みそうだ。明日には出るだろう」
「さっすが神様です!!」
「それじゃちひろ、また明日」
「うん……」
……翌日……
今日も陰からエリーと一緒に桂木の攻略を見ている。
……ほんと、何やってるんだろうな……私……
「ねぇエリー」
「何ですか~?」
「……エリーは、桂木の事どう思ってるの…?」
「に~さまですか? え~と……そうですね、凄い人です!!」
「まあ確かに色々とスゴいとは思うけど……具体的にどこが凄いの?」
「いっつも駆け魂を素早く出してくれるし……大抵の事は出来ちゃいますし……
あ、そうだ! 私をアイドルにしてくれたんです!!」
「アイドル? どういうこと?」
「えっと、前にかのんちゃんが刺されたとき……」
「さ、刺されたぁ!?」
「え? はい。かのんちゃんの中の女神がびんてーじに狙われて……」
「ちょ、ちょっと待って!! 少し…整理させて……」
今の話を要約すると……
・かのんちゃんには女神が居た。
・それを『びんてーじ』(悪い悪魔?)に狙われた。
・そいつらにかのんちゃんが刺された。
「って、ええええ!?」
舞高祭の時は一緒にステージに上った。
数日前にも声を掛けられたはずだ。
「一体いつ刺されたの!?」
「確か……舞高祭の一週間くらい前ですね。
ちょうど期末テストの最終日でした」
「っていうと……かのんちゃんと桂木が一緒にテストから抜け出した日?」
「はい。あの時は大変でした。
に~さまと一緒にかのんちゃんを追いかけたらお腹にナイフが突き刺さってて……」
それはもう致命傷なんじゃぁ……? でも実際にかのんちゃんは生きていて……
「刺されたと言っても本当に刺されてしまった訳じゃなくて、呪いを掛けられてたみたいです。
何とか呪いを解こうとしたんですけど手も足も出ず……」
「じゃあ……どうなったの?」
「神に~さまが女神を全員集めて呪いを解いたらしいです。
私は居なかったので詳しくはよく分からないんですけどね~」
「居なかったの?」
「はい~。私は神様の指示でかのんちゃんの替え玉をやってたんです~
もうスゴかったですよ~。私テレビに出たんです!!」
「へー」
って、あれ? じゃあ、桂木はかのんちゃんを助けるために歩美を口説いてたの……?
と言うことは……
桂木は……
かのんちゃんの事が…………?
「あ、そろそろです!!」
女子の攻略。
私たちの見ている先で、桂木は相手にとっての理想を演じている。
……そう、演じている。
何故だろう、私にはよく分かる。
その演技は完璧だけど、桂木はやりたくてやってる訳じゃないのだろう。
本当に、機械的に攻略してるだけ……
「出ました!!」
桂木が名前も知らない女子とキスをし、エリーがどこからか巨大な瓶を出す。
「駆け魂こ~りゅう!!」
「終わったの?」
「はい~」
……これが、桂木がやってきてた事……か……