Anther Epiroge ~人間のセカイ~   作:天星

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人間

  ……翌日放課後 桂木宅……

 

 桂木と対面すると、まず私が口を開いた。

「アンタ、かのんちゃんの事が好きなの?」

「はぁ!? 何をどう解釈したらそうなるんだ!!」

「エリーから聞いたよ。かのんちゃんの為に歩美を口説いてたって」

「ったくあいつは……

 相手がかのんだったからじゃない。僕のせいで人が死んだら流石に寝覚めが悪いからな」

「じゃあ、もし歩美や私が同じような目に遭ったら助けてくれるの!?」

「女神を持ってないお前が同じ目に遭うかは分からんが……

 そうだな。助けただろう」

「ほ、本当に……?」

「本当だ。ったく、質問は終わりか? ならゲームをしたいんだが?」

「いまやってるじゃん」

「こんなの実力の半分も出してない。僕は本気になったら6つのゲームを同時に攻略するからな」

「ええ~、ウソくさ~」

「信じないのは勝手だが事実だ」

「でも、安心した」

「何がだ?」

 何って、そりゃあ……

「桂木も、ちゃんと現実に興味あるんだね」

「……何言ってるんだ?」

「だってさ、必死にかのんちゃんを助けようとしてたし、駆け魂狩り……だっけ? も嫌々ながらもしっかりやってたし」

「フン、全てはゲームの為だ。

 何せ僕の命がかかってるからな」

「それに今だって、ゲームの時間を削って……まあやってるけど……削ってまで私の相手をしてくれてる」

「お前を放置したらのんびりゲームが出来ないだろうからな」

「それでもアンタは現実に対してちゃんと心を動かしてる」

「そんな事は無い。現実(リアル)なんて正直どうでもいいな」

「じゃあ……これは?」

「っ!! それは……!!」

「前夜祭の日に渡したピック……ちゃんと持っててくれたんだよね?」

「お前が……持ってたのか……」

 やっと……分かった気がする。やっと……繋がった気がする。

「前夜祭の夜、屋上でアンタは私に酷い事言ったよね?」

「……ああ」

 でも……あれは……

「あれは……本当の感情だったんだね」

「……どういう意味だ?」

「桂木の攻略を見てて分かった。

 アンタの演技は完璧だった」

 では、何故私にはあんなに酷い事を言ったのか?

 思い出すだけで…涙が出てきそうなくらい酷い事を……

 そうすることが桂木にとって都合が良かったから?

 いや、違う……

「アンタはあの時、動揺したんだ。私に対して。

 私に対して、心を動かしてくれたんだ」

「……違う」

「違わない」

「違うっ!!」

「違わないよ!!

 桂木が否定しても私は信じてる!!」

「くっ……だったらどうした!!」

「私はアンタが好きだ!!」

「なっ!!」

「いろんな事があったけど……それでも私は桂木の事が好き。

 アンタにはあり得ないって言われたけど、それでも好きなものは好きなんだ!!」

「フン、僕はお前の事なんか……

「返事なんて要らない。アンタはすぐウソつくから」

「お前は何がしたいんだ!!」

「付き合ってくれ何て言わない。駆け魂狩りもあるし。私のせいで桂木が死んじゃったら嫌だし。

 私は神様ぶって演技する建前のあんたじゃなくて、人間らしい本音の部分が好き」

 桂木は……恋愛をした事が無い。

 そりゃそうだ。自分は神様ぶって相手を見下して数値で測ろうとしてる。

 始めっから対等じゃない相手に恋愛なんてできない。

 ……でも、桂木の人間の部分だったら?

 桂木は……恋愛ができるのかもしれない。

 そして、その『人間』を見たのは、私だけなのかもしれないから……

「いつか絶対、分からせてあげる。

 数値なんかじゃ測れない、本当の恋愛ってやつを!!」

「落とし神に向かって恋愛を教えるとは……なかなか良い度胸だな」

「挑戦……だよ。逃げないでよね」

 神への挑戦。

 その道のりは、決して楽なものじゃないだろう。

 でも、私は信じてる。

 桂木も……ちゃんと恋愛が出来るんだって。

 

 

 

 

 

「……挑戦……か」

 なぁ、ちひろ、あの歌詞も……僕に対する挑戦なのか……?

 イベントやパラメータなんて関係なく、恋愛が生まれると……本気でそう思っているのか?

 そんな事ある訳が無い。

 ……果たしてそう言い切れるのだろうか?

「……いいだろう。神は逃げない。

 全力で、相手をしてやるよ」

 

 

The Godless World 神無きセカイ

 

The End




 後書き

以上で完結とさせて頂きます。

この後、桂馬は孤高の神であり続けたのか……?
それとも、ちひろは神を否定する事が出来たのか……?
それは読者様の判断にお任せします。
彼らの前には、無限の可能性が広がっているのですから……

最後に、ここまで本小説を読んで頂き有難うございました。
拙い文章でしたが、皆様が楽しんで頂けたなら幸いです。
それでは、縁があればまたどこかでお会いましょう。
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