第63回全国戦車道大会で黒森峰女学院代表で、惜しくも、妹である みほの大洗学園に負けてしまった西住まほだ。
私は西住流の次期家元になる者として、日々何事にも努力は欠かさなかった。
思えばあの時、あの言葉を佐々木さんから聞かされて以降、何をしても気が晴れなかった。
裕也が戦死したという言葉を聞くまでは・・・。
裕也達との出会いは高校の戦車道の交流で、あの時を時より懐かしむ事が、裕也達の戦死を聞いたその後から良くある。
私達戦乙女は戦車、裕也達は例外に戦車と、戦男児の戦闘機を使用する。
戦車道は女の嗜みである為「男の出る幕はこの戦車道には無い、大人しく引っ込んでいろ」と裕也達と模擬戦を行う前まではそうだった。
だが一戦交えればどうだ?試合開始から50分経っただろうか、15両居た味方車両が気付けば私とエリカの2両、相手は1両とて欠けていない。
こっちは実弾を使用し、安全を考慮した特殊カーボンが装備されている、裕也達の戦車はどうだ?
搭乗員を守る特殊カーボンなんて装備せず、演習弾を使用するというなんとも異常なハンデだった、それでもここまで追い詰められた。
しかし、使用する戦車が私と副隊長の逸見エリカがティーガー2、裕也と大介が19式(正式名10式改90型特殊戦車、10式と90式を混ぜた戦車、見た目は90式、性能は10式である為、裕也達は「19式」と呼ぶ、自衛隊には存在しないもので、世界で2両だけの特別な戦車)圭一が90式改、拓也も90式改という、自衛隊現役主力戦車であったが、数は4両、そしてこっちは15両、数の暴力で勝てると相手を舐めていたあの時の自分を今でも攻めたい。
西住流の教訓みたいなものでもある「撃てば必中、守りは固く、進む姿に乱れなし、鉄の掟、鋼の心、それが西住流」がまるで意味を成さなかった。
次々と味方がやられていく中でひたすら恐怖を覚えた。
挨拶時にこちらは遠回しに嫌みを言いつつも笑顔で挨拶してくれたあの男がここまで豹変する等、誰にも想像に付かない、きっと頭に来ていたのだろうと思った。
そして彼らを悪魔に思えてきてしまった、お母様よりも恐ろしく、私やみほ より優れた指揮能力とも感じた。
その時に何かしら敗北・殺されるという言葉が心の中に出てきた。
そしてエリカが向こうの副隊長車にやられた、残るは私の乗るフラッグ車のみ、エリカがやられた時、その時既に私は3両の敵戦車に包囲されていた。
お母様や戦車に乗ると人格が変わるみほでも、ここまで追い詰められればどうにも出来ないだろう。
そして裕也がキューポラから上半身を乗り出して放った言葉がある。
裕也「撃てば必中、守りは固く、進む姿に乱れなし、鉄の掟、鋼の心、それが西住流・・・か、ハハハハハハッ!いやぁ、笑わせてくれるねぇ・・・下手すれば島田流より下かもな、火力に置いては別として、隊長の指示無くば動けない木偶の坊達引き連れて楽しいか?ん?それぞれの判断でせめて動いて俺達を楽しませてくれるかと思えば無駄に時間を取られただけだった、隊長の西住さんだっけ?お前さんは確かに良い腕を持つ隊長格なのは俺も認めよう、だけどたかがこの程度の数を倒す事が出来ない今回のお前さんの指揮にはガッカリだ、まぁそういう訳だ・・・全車‼️撃ぇぇぇ‼️!!!!」
その時私は、回避の言葉が口に出なかった。
殲滅戦で私は基本的に負けた事は無かった、でも私は負けた。
これは黒森峰の他にも、プラウダ・サンダース・アンツィオ・聖グロ・BC自由学園や、世界大会選手権所属の大学選抜も同様に裕也達と一戦交えるが、裕也達の前に破れ去る。
あの言葉とあの一斉集中砲火は、私自身、戦車に乗り初めて初めての恐怖でもあった上に、西住流としての意地と言えば良いのか、何かをズタズタにされてしまった。
エリカはエリカで、試合後に自分の弱さに嘆いていた、だけど向こうの副隊長(大介)がエリカを慰めていた。
私は隊長、皆の前で泣く訳にはいかない、私は手洗いに行くと行ってその場(選手専用テント)を離れた。
離れて一人になれたと感じたとたんに涙が止まらなくなった。
自分の弱さにか、相手への恐怖へか、もう分からなかった。私はその恐怖の相手である裕也に慰められた。
裕也「すまん、流石にあれはちょっと大人げなかったな、なんか甘いもんでも奢っちゃるけ泣き止まんね」(--、)ヾ(^^ )ヨシヨシ
その後からも時よりは連絡を取り合って、それなりの距離を保った。
みほも彼の事を気に入り、時々だがボコミュージアムに引っ張って行った。
大体、裕也のその時の顔は「あぁ・・・またか、もう勘弁して」という様な、もう嫌だと、飽きたと顔で示す位だった。
口には一切出さなかったが。
家にも時々だが遊びに来た、お母様は彼の家柄をあまり良く思っていなかった様子だった。
それもそうだ、西住流の敵である島田流と縁があるから。
そして彼らは旧式戦闘機を使用した男の武道である「空戦道」に身を置く。
彼自身は戦車道を行う際、流派が島田流ではない、独自の戦術を用いて戦う、特に単独での戦闘が一番強い、アクロバティックに戦車を華麗に操り、自分目掛けて放たれた砲弾を最小限の動きで回避し、寸分の狂い無く靭帯、エンジンを狙い、無力化を行う。
断崖絶壁だろうと、下が地面であり敵が居れば、迷い無くアクセル全開で飛び降り、空中で砲撃を行い、砲撃の反動を利用してバランスを取りつつ着地のショックを最小限に抑え、敵へ肉薄する。
これは裕也だけに留まらず、大介も圭一も拓也も皆が出来る技、私達には絶対に出来ない神技を行い戦闘を行う。
空戦道も同じで、機体にパイロットを守る為に使われる特殊カーボンを施さず、全国や世界大会に出場している。
完全無傷で圧勝できる試合もあれば、主翼に被弾しつつも勝ちを得る試合もある、彼らは良く言う言葉がある。
「カーボンを施して上がる奴は臆病で意思の弱い雑魚、逆に施さずして死を覚悟し挑む奴こそ大和魂を持つ男の貫禄」
西住流も、勝利の為には犠牲は厭わないと、人の事は言えたものじゃないけど、これは明らかに危険だ。
これは生では見れなかった為、映像で見たが、お母様も驚愕の顔をしていた。
お母様とみほと一緒に見た映像は、陸上自衛隊の戦車部隊と演習を行ってるもので、主力戦車同士の対決であった。
勝負内容は殲滅戦。
やはり軍隊相手には勝ち目の無い学生達、残るは裕也達だけ。味方がやられていく報告を聞きつつ、隊長の裕也が不適の笑みを浮かべる、これは自分達が圧倒的不利な状況に陥った際に見せるらしく(大介曰く)裕也は大体この時が一番の楽しみ、と見る限りは感じる。
何より味方に気を配る必要が無くなり、慢心している敵を殲滅さえすれば良いという感情を表に出し、映像の終盤に入ると自衛隊側の車両に多数の白旗が上げられているのが見受けられた。
裕也達も多少の損傷を抱えるも、自衛隊残存車両と比べると火を見るよりも明らかに損傷が浅い。
やはり最後はキューポラから身を乗り出し、味方残存車両に、最後の1両である陸上自衛隊所属蝶野1尉が搭乗するフラッグ車に一斉砲火を浴びせる。
蝶野さんは断言した。
蝶野「ごめん・・・思い出させないで頂戴、あれトラウマものなの・・・あの時の裕也君の顔は私の指導担当だった教官の激怒時よりも恐ろしかったわ・・・裕也君の笑みを見ててMに目覚めかけた隊員も居たけどね」
みほもこれ以上は無理と目を逸らした、私も薄々と感じては居たが、彼のこの一面を知った、知ってはいけないパンドラの箱を開けてしまった様だった・・・。
第62回全国戦車道大会で黒森峰の敗退という大失態を犯してしまい、みほ が黒森峰から去ってしまった。
戦車道を再開した大洗に転校して、戦車道を再開した時も、妹の事を心配してくれて、私が姉として妹の元に行きたくても行けないので、代わりに様子を見に行ってくれたりした。
(大洗の名物だというアンコウ鍋食いに行っただけでついでにみほに顔合わせしてきた)
私の事も大会の事があってか心配してくれて、学校と戦車道が休みの日は、良く一緒に居てくれた。
裕也は私達姉妹のかけがえのない存在であった。
そのみほも、裕也達が戦死した事を耳に入れ、子供の頃から大好きであったボコを放棄しだした、裕也がプレゼントした以外のボコを。
どんなにボロボロであったボコでも絶対に捨てる事が無かったあのみほ がボコを捨てているのだ、正直鳥肌が立った。
エリカにも話したら、少しばかり肩を震わせた。
ボコに向けていた、ストレスならぬものを私達に矛先が向かうのでは無いかという恐怖にエリカは震えたのだろう。
エリカは今のもそうだが何よりも、大介が裕也と戦死した事も聞いている。
最初はエリカが心配だったが、時間が経つにつれ、落ち着きを取り戻していった。
生前の裕也と良く、大介&エリカカップルをおちょくったりもした、大介は少々顔を逸らした、エリカは顔真っ赤にして下を向く、満更じゃなかった様だが。
とにかくそれ程に仲が良かった。
エリカからの猛アプローチだったらしく、大介からも本当はエリカにアプローチかけようとすれば、あら不思議、両思いだったとの事だ。
事はトントン拍子に進み、大介が男気を見せて指輪は用意していなかったが、口で直接プロポーズした。
後は大介を除いた皆がサプライズを仕掛けて「末永くお幸せに!」「p.s.リア充爆発しろ!」←彼女いない奴からの要望
と書かれたものを用意していた。
キスより先は結局していないそうだ。
致しそうではあったが、エリカが大介の大っきなモノを見て鼻血垂らして興奮して気絶してしまったので最後までは出来なかったらしい。←大介は生殺し。
キスより先と言えば・・・夫婦の営み・・・///←直球
お母様がこの間帰省したお父様と致していた、凄かった。
確か保健の授業で、男性がその行為をしていないのを童貞?と言ってたので裕也に後先考えずに聞いてみた。
裕也「あ~・・・もう童貞じゃないし、経験あるよ{自主規制}や{見せられないよ‼️}や{ピー!}{チョメチョメ}{生{規制}}や{ハメハメ}後はSMプレイも まほ「もういい、もういいから・・・///」そうか、分かった(この反応は処女だな)」
今振り返れば聞いた私が馬鹿だった。
仮に裕也と、エリカ達みたいな関係になれたらそんな事もするんだな・・・///
私は彼が好きだった、ついこの間までの私なら躊躇っていたが、覚悟を決めて、彼に言った。
まほ「裕也、好きだ、付き合ってくれないか?」
覚悟はしているが、もし断られたらどうしようと、流派にならい、撃てば必中(裕也にロックオン)なのだが・・・。
裕也「・・・まほみたいは良い女にそこまで言われちゃ断る理由はないな、良いよ、喜んで」
その言葉を聞いたその日は受かれてしまって授業内容をマトモに聞かなかった位に嬉しくて眠れなかった。
その後、晴れて恋人同士になれた。
裕也と一緒に居れた時間は幸せであった。
だけど高校を卒業する前に突然と私の前から姿を消した。
何故か分からなかった、一番仲の良い大介に聞いた。
・・・お母様に直接制裁を受けた挙げ句、戦車の的にされた?
的の破片で脈を切って死にかけた?
・・・そうか、裕也は確かに良い判断をしたと思う、お母様は最悪の場合、殺す事も厭わないから。
大介でさえも裕也が今どこに居るのか分からない状態だという、電話は繋がったけど、場所は明かしてくれない。
西住流のスポンサーも渚家が大半を占めていた。
先の件で渚家がスポンサーを辞め、西住流に対する投資額が半分以下に落ち、規模も大幅に縮小した。
渚家のトップである裕也の父が、西住流への全面投資を凍結、戦車道連盟にも投資を全面停止した。
西住流が戦車道連盟の実権を握っているのも同然であるからしての資金全面凍結という手段を取ったのだ。
島田流は本件とは関係が無いので投資凍結は無い、が、戦車道連盟への資金凍結を行った為、今後の活動に支障が生じる事を事前に踏まえ島田流へ、特に大学選抜達へ不便な事が生じない様に最大限のバックアップを行う事を確約した。
更に、西住流に投資していた額の一部を島田流へ。
だが、島田流家元の島田千代は、自分の所の流派への投資額増加の喜びを現さず、息子の様に可愛がっており、自身の娘である愛里寿の兄でもある裕也に、そこまで制裁をする必要があるのかと若干どころか、完全にお母様に向けて怒り心頭であった。
家元の娘である島田愛里寿も、私のお母様に殺意の目を向ける。
裕也のお母さんは、自分の息子を酷い目に合わせた事に苛立ちを覚えるが、旦那がそこそこ高い酒をあげたら母親は態度を変えて酒に飛び付いた、最初の威勢は何処へ?
お義父さん曰く、一度おかしくなったら止められないので、事前に物で釣っておくのが最善らしい。
裕也の父親に至っては、可愛い自分の息子に、たかが交際の否定を拒否された程度で人を殺す必要があるのかと、今にもお母様を殺しに行く勢いがあった。
彼の祖父母も可愛い自慢の孫を傷物にされた事で、歳を取った者とは思えない殺気を見せつけられた。
そもそも、渚家に勝てるのか?いや、無理だ。
渚家は極道一家で、九州全体の極道を纏める程の力を持つ。
日本の裏政治にも関わる上に、親戚に世界中を飛び回る殺し屋も居り、自衛隊のトップにも睨まれている。
西住家にも裏はある、だけど渚家と比べれば赤子同然。
お母様はその事を知らない、知らず知らずに渚家の人間を傷付けたのだ、親戚の殺し屋にお母様を暗殺されてもこちらは文句は言えないし、私は言わない。
自分の彼氏を殺されかけたのだ。
事情を知った みほ もこの事はやり過ぎだとお母様を罵った。
もし渚家に襲われれば、こちらは何一つ手の上げよう無く殺られてしまうだろう。
極力暗殺という手段を避けたいが為に、西住流を締め上げる一つとして、渚家は西住流への資金投資を停めた。
付き合っていた時に、裕也から西住流への資金投資の主であるお父さんを紹介され、裕也のお父さんが良い人だったのでよかったのを覚えている。
早く子供作って、可愛いであろう孫を見せてくれと、お義父さん、私達はまだ学生です!早いです///
しかし裕也のお母さんには会わせてくれなかった。
どうやらお母さんと裕也は仲がそこまで良くなく、ここ数年はマトモに口を聞いてない、ガラケーからスマホに変わっては一度も電話もした事ないと。
しかし夫婦関係は悪く感じないと裕也から聞いた。
私もお父様が基本的にいないから似た様なものだが。
話を戻そう。
お母様は本当にお許しになっていなかった、島田流とそこそこ仲の良い裕也との交際は許さないとの事。
それをこっそりと付き合っていた。
そもそも渚家の人間を何故か嫌っている。
戦車道としての島田流との関わりでなく、お隣さん同士様な関係である島田流と関わる裕也との交際に何が悪いのか分からない。←島田流のスポンサーやってるのを知らない。
私は一言もお母様には言っていない、みほにも教えていない(し、教えたら奪われそうだ)から知らない筈、ならばどうやって?
お母様には言っていない、お母様は頑なに彼を否定する。
彼は次期家元としての私でなく、「私」を見てくれた。
誰もが次期家元として期待の目で見てくる事に私は嫌気が差していた。
長女として、西住流を継がなければならない事は分かっている。
お母様は私の夫に相応しい者を選別し、時々お見合いの写真を持って来られるが、見ずに返すか、ゴミとして捨てているだけ、紙やインクの無駄遣いも良い所。
私の中には、彼しかいなかった。
裕也と一緒に居れるなら西住流を切り捨てる覚悟も持ち合わせていた、それ程までに裕也が好きだったから。
裕也が姿を消して2年後、その間に留学先のドイツから帰国した。
再開出来たのは嬉しかった、が、また最悪だった。
裕也に彼女が出来ていた・・・みほでも無くば赤星でもない、初めての奴。
名前を磯鷲早矢といった、磯鷲と言えば体術武道で一番大きい流派であったのは覚えている。
そこの長女と裕也の関係を聞かせてもらった。
出会いは、パトカーの故障で困っていた時に裕也から声を掛けられ、その後、仕事先が運良く一緒で再会、一緒に仕事をしていくうちに裕也の優しい性格に惚れ、早矢からアタックしたらしい。
私と同じ感じか。
裕也はいつ警察学校行ったんだ?
その歳で警部補になれるのか?←多分、昇進試験受ければ
賄賂?←違います 即答
裕也は女誑しなのか?
どれだけ女に惚れさせれば気が済むんだ?
裕也「女誑しじゃねーし、別にハーレムなんて目指してねぇよ、それ考えるのはそこに居る馬鹿だよ」
圭一「男達が叶えたくても叶わぬ夢だ」ノンケ
大介「俺はエリカ一筋だけだ、浮気なんぞ糞食らえ」エリカLOVE
拓也「ノーコメントで」詳細不明
まぁ、裕也がタラシじゃなかっただけでも良しとしよう。
私は裕也が好きなのは変わらない。
私は諦めないぞ、と早矢に伝えた。
早矢「フフフッ・・・そうですか、私も負けませんよ」ニコニコ
その早矢は裕也が戦死した事はまだ知らない筈、この事は向こうが気付くまで黙っておこう・・・。
裕也も早矢の悲しむ顔は見たくないだろうから。
それがあの時、裕也を傷付けた罪滅ぼしになる事を願って。
西住流好きな方はごめんなさい、ガルパンは少しYouTubeで見た位です。