転生したらゾンビだった件
※閲覧注意。1部本編ネタバレを含みます。
序章 死亡~そして転生
平凡で平和な国に産まれ普通に生きる人生
必死に勉強して地元でも有名な進学校に入り、それとなく生きる現在17歳
ちなみに彼女いない歴=年齢、未成年の恋愛は不純異性交遊だからね!出来ない訳じゃなくて作らないだけだからね!
そんな俺だがただいまとてつもないピンチを迎えている__
「…帰ったか歩夢(あゆむ)」
生気のない表情で俺の名前を呼ぶ父、そして
「おい、冗談じゃねえぞ…、てめぇ何してやがる…!!!」
思わず口調を荒らげてしまう、血塗れで横たわる女性、信じたくはないが俺の母であり、今目の前に立ち包丁を手に持った男の妻が殺されているのだから。
「父さん、会社をクビになってしまってね…この歳だ、再就職先も無いだろう、なにより父さんは疲れてしまった。彼女と歩夢と3人であちらの世界に行けば、誰も寂しい思いもせずに済むだろう。だから一緒に逝こう…歩夢…」
優しい笑みを浮かべ俺に語りかける父
「正気じゃない…」
考えるよりも先に口から零れた言葉だった。ニュースで稀に見る無理心中というやつだろう、あまりにも現実離れした光景に、確かに自分が直面している現実の中そんなことを冷静に考えられる自分も、この数時間とも感じられる数分の間で狂ってしまったのかもしれない。
ひとまず逃げて助けを呼ばなければ、幸いこの辺りは住宅街であり、外にさえ出て助けを求めれば確実に人目に付く、人目に付けば誰か助けを呼んでくれるだろう、他力本願だが電話を取り出してる間に刺されてしまえばなんの意味もない、考えも纏まり走り出したその時
「……っ!!!」
盛大に転んでしまった。冷静なのは頭だけだったようで、全身震えあがっていたらしい俺は足をもつれさせてしまったのだ
まずい…!早く立ち上がらないと…!そう思った瞬間だった。
「ザクッ」と魚を捌くような、肉を断つような音が聞こえた。
同時に背中から焼けるような痛みが広がってくる。
ああ、刺されたのか、痛えなくそ…
痛いのは嫌なんだけどなぁ…
《確認しました。『痛覚無効』獲得……成功しました》
人間の脳は尋常ではない痛みを感じると痛覚をある程度麻痺させるとかテレビかなにかで聞いた記憶がある。たしかに想像していたより痛くない、昔高いところから落ちて腕の骨を折った時の方が痛かったかもしれない、痛いと言うより背中が熱い、いや物凄く冷たいのか?感覚もおかしくなってるようだ。
《確認しました。スキル『体温操作』獲得……成功しました》
なんかよくわからない声が聞こえるな…幻聴が聞こえてるみたいだ
たしかに厨二病だったがこんな時におかしな幻聴を聞くとか悲しすぎるだろ…
《確認しました。スキル『超聴覚』を獲得……成功しました》
あー、死ぬんだな俺…わけわかんない言葉も聞こえるし終わった…
次生まれ変わるなら美少女になりたいな〜
《確認しました。記憶から身体構造、容貌を確認、身体を再構築します。……成功しました》
さっきより鮮明に言葉が聞こえるけど何だこの幻聴?再構築?なに?
考えがまとまらない…いかん…ぼーっとしてきた…
*
ごく一般的な普通の人生、周りよりは真面目に勉強していたかな?
青春を勉学に捧げ生涯童貞…いやまだ未成年だし普通だよね?俺悪くないよね?
あー、やり残したことだらけだなあ、死にたくないなあ。
《確認しました。エクストラスキル『緊急蘇生』を獲得……成功しました》
もっと長生きして真面目にもっと勉強していい大学に進学して就職して…
幸せな人生送るはずだったのになぁ…せっかく勉強したのになぁ…
《確認しました。ユニークスキル『勉学者』を獲得……成功しました》
《続いてユニークスキル『勉学者』を自動使用、既存スキルの解析……》
《スキル『超聴覚』の解析を開始、スキルの最適化を行います……成功しました。続けてスキル『超聴覚』の進化へ挑戦……成功しました。スキル『超聴覚』はエクストラスキル『超感覚』に進化しました》
《エクストラスキル『緊急蘇生』の解析を開始、スキルの最適化を行います……成功しました。続けてエクストラスキル『緊急蘇生』の進化へ挑戦……成功しました。エクストラスキル『緊急蘇生』がユニークスキル『蘇生者』に進化しました》
さっきからスキルとかなんとか言ってるけどなんだろうなこれ、死の間際に異能力に目覚めたとか?それなら生きてる内に目覚めて欲しかったな……。
《ユニークスキル『蘇生者』を____》
朦朧とする意識の中、謎の声に耳を傾けながら俺の意識は薄れていった。
あんまり苦しくないんだな…。それが俺がこの世界で最後に感じたことだった。