二○--年-月-日(月)
ぐんちゃん、お願いを聞いてくれてありがとう!
交換日記を始められて嬉しいな。
大社が無くなって新しい学校に移って、クラスも別々になっちゃったから、いっぱい書いてぐんちゃんに渡すね!
今日はドキドキ、転入初日!
休み時間に、みんなが集まってきて大変。
勇者ってどんなことできるのって聞かれて焦っちゃった。
普通の人と大して変わらないよね?
勉強もしばらく学校に行けてなかったから、ついていくので精一杯。
でも、クラスのみんなが優しく教えてくれて、なんとかなりそう!
若葉ちゃんがさっそく部活を作ってくれたから、わたしは勿論参加。
家庭科準備室で勇者活動なんて、ちょっと新鮮だよね。
どんな活動をするんだろう、これからが楽しみ。
新しい寮の部屋に戻ったら荷物を整理。
けど、ぐんちゃんの荷物がちょっと少なすぎるかも?
買い物に行くなら手伝うから、いつでも言ってね。
二○--年-月-日(火)
交換日記に誘ってくれてありがとう、高嶋さん。
みんなと同じ学校で嬉しいな。
学年は違うけど寮のルームメイトとして、これからもよろしくね。
私の転入二日目は、一日目から引き続き、変な感じ。
小学校の頃は普通にみんなと仲良くできてたから、少し戸惑う。
中学校は少し違うのかな?
勉強は今のところ大丈夫だし、勉強を教えてあげたら仲良くなれるかな?
乃木さんが作った勇者部には、私も勿論参加。
伊予島さんがいないのが少し寂しいね。
はやく伊予島さんが進級して、皆でまた集まれたらいいのに。
今日は買い出しを手伝ってくれてありがとう。
ずっと物忌みで、あまり私物が無かったの。
高嶋さんが選んでくれた私服やアクセ、大切にするね。
二○--年-月-日(水)
転入三日目だけど、今日はちょっと休み時間に外出。
二年生のフロアに行ってみた。
ぐんちゃん、もうちょっと人間らしくしないとだね。
緊張してるのはわかるけど、そんなに神威を振り撒いたら人を遠ざけちゃうよ。
一朝一夕では難しいかもしれないけど、がんばろうね。
放課後の部活では、週末の活動が決まった。
近所の海水浴場の自主清掃なんて、瓦礫撤去や炊き出しとかを想像してたから、びっくりしちゃった。
でも、ヒナちゃんが言ったように、学校の部活動ならこれが普通なんだよね。
顧問の先生はこれすらしぶしぶだったって、若葉ちゃんはしょんぼりしてたけど、わたしは安心しちゃった。
小等部の杏ちゃんも呼んで、週末は勇者集合だね、楽しみ!
二○--年-月-日(木)
高嶋さんはやっぱり凄い。
息吹を止めたら、皆が話してくれるようになった。
でも、こっそり息継ぎするのが大変。
高嶋さんはどうしてるのかな。
あと、今日の部活は、土居さんが凄かったね。
校内に掲示を出して困っている人を探すなんて、私はまるで考えてなかった。
でも、身近な所からコツコツ活動するのも大事だよね。
依頼人募集の張り紙も出したし、依頼が来るといいな。
二○--年-月-日(金)
ごめんね、ぐんちゃん。
神樹様がいなくなってから、わたしすぐ普通になっちゃったの。
ぐんちゃんは、ずっと鍛錬を続けてたせいなのかな?
息継ぎするなら、部室をどんどん使ってね。
勇者部の皆なら、ぐんちゃんが威圧感を出しても大丈夫だから。
でも、この事は皆にも相談しようね。
勇者部は平和を取り戻すために頑張る部活、ぐんちゃんのケアも立派な活動だよ!
勇者部といえば、さっそく依頼も来たよね!
丸亀城の猫探しなんて私達にピッタリの依頼!
丸亀城公園でよく見かけたあの子、迷い猫だったんだね。
けど、まさか何ヶ月もお家に帰ってなかったなんて・・・・・・。
すぐに見つかって良かった。
勇者部って楽しいね!
二○--年-月-日(土)
今日は勇者部だけでなく伊予島さんも一緒に、海水浴場のゴミ拾い。
でも、少し嫌になるくらい、いろいろ集まった。
伊予島さんが、せっかく小等部の友達を連れて来てくれたのに・・・・・・。
神樹の壁がせき止めてたゴミが一斉に流れ着いたと、近所の人が言ってた。
小等部の子には内陸の公園部分をお願いしたけど、海辺は船の残骸から銃弾に人骨まで、警察の人を呼ぶ羽目になって、顧問の先生にまで迷惑かけて、嫌な終わり方だった。
高嶋さん、不安になった時はいつでも言ってね。
高嶋さんが安心できるなら、私は何でもするから。
二○--年-月-日(日)
今日は六人でうどん屋さんに集合、緊急ミーティング。
ぐんちゃんの件も、みんなが相談に乗ってくれて良かったね。
でも、杏ちゃんのアイデアが一番良かったかな?
無意識に神威を取り込んでしまうなら、それより意識して人間らしい魂を取り込めばいいって。
けど、歌が効果的だなんて、ぐんちゃん博識だね!(魂鎮め?)
魂の籠もった、心に沁みる歌声ってことなのかな?
だから、ミーティングの帰りにはミュージカルチケットとか、ついでにゲームも買っちゃったんだよね。
わたしも一緒に遊べるゲームを選んでくれてありがとう!
初めて触ったゲームなのに、ぐんちゃんのおかげでクリアできて、感動しちゃった。
すごいカッコ良かったよ。
次はもっとぐんちゃんが楽しめるように、わたしも頑張るね。
昨日も今日も、気遣ってくれてありがとうね。
平和ボケしてたところで海辺の光景に驚いただけだから。
たくさん慰めてもらったから、もう大丈夫だよ!
二○--年-月-日(月)
高嶋さんが元気になって良かった。
今日は心配して一年生のフロアまで行って、ごめんね。
でも、高嶋さんの周りに優しい子がたくさん居て良かった。
ゆっくり休んでね。
私もクラスに少しずつ馴染めて来た。
特に気安く話す相手はいないけど、露骨に避ける人もいない。
放課後の部活は引き続き、勇者部の問題の話し合い。
みんなに「このままだといけない」という意識があったのは良かった。
けど、先週から依頼人を募集する方向を推してた、土居さんが自主的な海岸清掃の問題点をすぐに指摘したのは凄かった。
普通の子供は、今のどんな漂着物があるかわからない海岸の清掃なんてしないし、大人がさせない。
私達は元勇者だから大人が遠慮して、大社のせいで大人への不信感もあって、世間からズレた感覚で、よかれと思って余計なことをしてしまった。
強く止めなかったから土居さんも共犯だと言ってたけど、指摘は間違ってないよね。
土居さんのおかげで、今週末の活動は子供の参加を大人が認めている清掃イベントに決まったし、顧問の先生が怪訝に思う活動は控える共通認識ができた。
先生も、今後は遠慮のない指導をしてくれることになった。
これで二度と高嶋さんが怖い目にあわないで済むといいな。
二○--年-月-日(火)
今日の部活はちょっとすごかったね。
どんな活動が人の為になるかって先生に聞いたら、文化祭で演劇をやってほしいって。
大人がわたし達にやってほしい事に演劇があるなんて、初めて聞いたからびっくりしちゃった。
それで、ぐんちゃんがあっさり「やる」って言ったからもっとびっくりしちゃった。
ぐんちゃんがやりたいなら手伝うけど、辛くなったら言ってね?
二○--年-月-日(水)
心配してくれてありがとう、高嶋さん。
でも、先生が見せてくれた演劇の脚本を読んで、やってみたくなったの。
話し合えばまた悪者にされる、そういう魔王の手を勇者が取ってくれる素敵な話。
こんな優しい勇者を真似る人が少しでも増えたらいいなって。
わがままを言ってごめんね。
二○--年-月-日(木)
わたしはぐんちゃんの味方だから、大丈夫だよ。
今日は演劇部の人が、いろいろ教えてくれて勉強になったね。
ぐんちゃんも最後の方、演技が形になってきてたよ。
でも、様子を見にきた若葉ちゃんとヒナちゃんがやった勇者と魔王はちょっと凄かったかも。
見学していた杏ちゃんが大興奮してたし・・・・・・。
でも、わたしとぐんちゃんでも興奮してたから、何でも良かったのかな?
わたしはぐんちゃんの魔王が一番良かったな。
何回もぎゅってしたけど、何回やっても全力で抱きしめちゃう魅力があったよ!
二○--年-月-日(金)
今日の練習は、少し賑やかだった。
噂が立って、いろんなクラスから見に来てたみたい。
高嶋さんの事をみんなカッコいいって言ってたよ。
でも、私の魔王は可愛いって言われたから、もっと頑張るね。
文化祭まであと半月、威厳を出せるようにしないと。
乃木さん達は流石にやりすぎ。
あれだと、まるでヒーローとヒロイン。
勇者のおかげで魔王が人間に歩み寄る勇気を出せたって話なのに。
勇者一人がいれば良いって雰囲気を出したら台無し。
いや、あれの需要があるなら、単なる私の好みの問題だけど・・・・・・。
演劇って難しい。
二○--年-月-日(土)
ぐんちゃんが最近楽しそうで嬉しいな。
演劇の練習も、ボランティア活動も良い感じ!
今日のゴミ拾いは、みんなで楽しくできてすごく良かった。
公園が綺麗になって、みんなとお疲れさまって声かけし合って、日常に帰ってきた感じ。
おじいちゃんおばあちゃん達に偉いねって褒めてもらえて、ぐんちゃん達と一緒にジュースを飲んで、手を繋いで帰れるのが嬉しかった。
もっとこういう風に誰かの為になることを続けたいな。
そう言うと、みんなが笑顔で「そうだね」って言ってくれたのにも、ホッとしちゃって。
泣いちゃってごめんね。
でも、わたしって恐がりだから、みんなと一緒なのが嬉しくって。
みんなと一緒に大社の勇者をやめて、このまま日常に戻っていける事が、嬉しかったんだ。
上手に説明できなくってごめんね、ぐんちゃん。
えっと、つまり、高嶋友奈はすっごく幸せだったの。
うん、それだけ覚えておいてくれたら、嬉しいな。
二○--年-月-日(日)
高嶋さんの気持ち、私もわかるから大丈夫だよ。
でも、私の場合は、日常に戻ってきたというレベルじゃないかな。
みんなと一緒にいられる、それだけで夢みたいだったのに。
こんな未来は想像もしたことが無かったから。
今週は部活の失敗が無かったから、高嶋さんと二人で遊びに行けたね。
ミュージカルなんて見るのは初めてだったから、少しドキドキ。
でも、やっぱり高嶋さんの勇者の方が素敵だったな。
お世辞じゃないから、自信を持って大丈夫。
高嶋さんは、勇者部自慢の勇者だよ。
二○--年-月-日(月)
勇者部の勇者って、なんだか素敵な響きだね!
大社の勇者改め、勇者部の勇者、高嶋友奈だね!
やっぱり勇者部っていいなぁ、若葉ちゃんに感謝しないと。
今日は、タマちゃんの大道具と小道具が完成したね。
部室が狭くなって、うっかり踏まないように気をつけないと。
それから勇者部に新しい依頼、しかも文化祭の委員会から!
ぐんちゃん、書道のすっごい賞を取ったことあったんだね?
文化祭の垂れ幕や案内板がすっごく豪華になっちゃった。
これからイベント毎に依頼するかもって言われちゃったね。
わたしも、文字の書き方を教えてもらおうかな?
わたしは今日は部室でビラ作り。
みんなが見に来てくれるように、いっぱい作らないと。
でも、わたしがデザイン担当で、本当に大丈夫かな?
若葉ちゃん達は、味のある絵だって言ってくれたけど、ちょっと不安。
二○--年-月-日(火)
私は高嶋さんの絵、可愛くて良いと思うな。
今日は部室に上里さんがお菓子を持ってきてくれた。
家庭科の授業で作ったらしいけど、私もチャンスがあったら作ろうかな。
高嶋さんにたくさん食べさせてあげるから、楽しみにしてて。
でも、土居さんみたいに食べ過ぎて動けなくなったらダメだからね。
土居さん、丸亀城の頃よりだいぶ丸くなったから。
一度どうにかしないといけないと思う。
明日の部活では、土居さんの健康的な身体を取り戻す議案を出すね。
二○--年-月-日(水)
タマちゃん、みんなが心配だったんだね。
ストレスで食べ過ぎちゃったなんて・・・・・・。
これからはタマちゃんが元気になれるように、みんなでフォローだね。
体力があるうちにしっかり燃やしていかないと。
文化祭を控えて力が必要な今こそ、タマちゃんの為に頑張ろう!
二○--年-月-日(木)
今日の勇者部は、土居さんとの早朝ランニングからスタート。
土居さんは体力が衰えておらず、良い感じにメニューをこなす。
朝食は、土居さんのうどんを食べる手が止まらなかったので三杯目でストップをかける。
しかし、ひもじそうな顔に高嶋さんがうっかり食べさせる。
食後、しつこく息吹で全身に気を充実させて穢れを吹き飛ばさせたから500kcalくらいは削れた筈。
昼食は食堂で、土居さんのうどんを食べる手がやっぱり止まらなかったので三杯目で強制停止。
うどんの代わりに野菜を山盛り食べさせる。
小等部から様子を見に来た伊予島さんがうどんで甘やかそうとしたので、強制退去。
放課後、土居さんがお腹が空いたと言っていたので上里さんがお茶と昆布を用意。
落ち着いたところで部活を開始。乃木さんは上里さんといつもの文化祭の会議へ。
土居さんは伊予島さんの縁で、最近はずっと小等部の子に勉強を教えていると聞いていた。
でも、こっそり様子を見に行けば、実態は小学生に餌付けされてダラけていただけ。
土居さんにお菓子を食べさせないよう小学生に注意して、今日の部活は終了。
何がみんなが心配でストレスなのか。
勇者に夢中な小学生にちやほやされてお菓子を食べ過ぎただけなのに。
変な嘘やごまかしで余計な心配をかけさせないで欲しい。
でも、深刻な話じゃなくて良かった。
高嶋さん、土居さんを怒って不安にさせてごめんね。
二○--年-月-日(金)
ぐんちゃんの魔王よくなったね!
タマちゃんを怒ったせいかな?
怒り方がなんだか自然になった。
人に怒ってる魔王になった感じ。
練習時間をあんまり取れなかったのに、こんな風に演技に戻ってくるなんて不思議だね。
昨日はぐんちゃんが怒るのを初めて見てびっくりしただけだから、気にしないで。
フォローもすぐして、本気で怒ってないのはすぐわかったよ。
わたしこそ、気を遣わせちゃってごめんね。
二○--年-月-日(土)
怒り方すら下手だったなんて、恥ずかしい。
今週末の活動は、先生から受けた文化祭に向けての校内清掃。
普段あまり掃除しない場所だから、錆びた鎌とか落とし物が多かった。
それで、近いうちに高知に出かけようかなと思った。
まるで話が繋がってなくてごめんね、高嶋さん。
実は、私の高知の頃の実家近くに、鎌を祀ってる神社があるの。
すごくお世話になった神社なのに、ずっと忘れてたから。
神様は怒ってるだろうけど、手入れしないといけないかなって。
神主さんが良い人だといいな。
でも、まずは来週の文化祭を成功させないとだよね。
劇の練習はもとより、誰か困っている人がいないか気をつけよう。
二○--年-月-日(日)
今日はぐんちゃんとのんびり街を散策。
そのつもりだったのに、意外な人に会っちゃったね。
若葉ちゃんと、まさかの歌野ちゃん!
しかも、若葉ちゃんが珍しい表情でびっくりしちゃったよね。
あんな真剣な若葉ちゃん、丸亀城から移って来てから見たこと無かった。
ぐんちゃんもそうだよね?
だから一緒に後を付けて、途中で同じく若葉ちゃんを追いかけてたヒナちゃんとも合流。
うどん屋さんに入って、骨付き鳥屋さんに入って、ただの観光案内かなーとも思ったけど・・・・・・。
うん、若葉ちゃん、勇者部の活動だけだとちょっと不完全燃焼だったんだね。
わたしは現状がむしろ幸せだから、若葉ちゃんに無理をさせちゃってた形だね。
歌野ちゃんが、平和なら好きにやりたい事をやればいい、って説得してくれたから良かったけど、若葉ちゃんにもっと気を遣ってあげないと。
でも、四国の外の人の為になることって何だろうね。
わたし達は外に行けなくても、四国の外に行く人を元気づける何かができたらいいな・・・・・・。
二○--年-月-日(月)
まさか乃木さんが、四国の外にまだ責任を感じていたなんて。
私は乃木さんに貰ったものを、返すことにした。
日記も盗み見られたし、私は態度で示してきたつもりだったけど、この世界の乃木さんに伝わっていなかったみたいだから。
この世界を救ったのは、前世の乃木さんが私の心に植えつけてくれた、勇気の力なのに。
バタフライエフェクトじみているけど、全ての根本がそこなのを私は疑っていない。
それなのに乃木さんが四国の外のことを細々と気にしているのが腹立たしかった。
何事にも報いをなんてレベルじゃない。
因果応報を語るなら、乃木さんは前世で私に勇気を植えたことで、全てに報いている。
むしろ乃木さんへの報いが足りない。
それでも四国の外をどうにかしたいなら、高嶋さんの言うような誰かに勇気を託して送り出すくらいで十分だ。
むしろ、身近な誰かに小さな勇気のバトンを託して、その人が勇気を広げて行ってくれるのを信じてほしい。
勇者として危険に身を晒さないといけないみたいな意識は捨てて欲しい。
でも、乃木さんは私の言うことをあまり理解してくれなかった。
本当にニブくて、いろいろ言わされてしまった。
もうやだ恥ずかしい。
乃木さんが一人にしないでくれたから勇気を出せたとか、私がダメでも乃木さんに生きて欲しかったとか、本当、私は高嶋さんや仲間のことになるとおかしくなるみたい。
二○--年-月-日(火)
ぐんちゃん、若葉ちゃんもわかってくれてたよ。
ちょっと表情がやわらかくなって、もう手の届かない場所のことで悩まないって。
ぐんちゃんに、また部室に顔を出してほしいって。
誰もぐんちゃんのこと、ぐんちゃんが自虐する電波やポエマーなんて言ってないよ。
でも、教室でそれを話してたら、勇気のバトンって言葉に軽音部の子がインスピレーション受けちゃって、その・・・・・・歌にするって。
ごめんね、ぐんちゃん!
二○--年-月-日(水)
久し振りに水垢離と息吹で心頭滅却したら、落ち着いた。
明後日には演劇本番なのに、本当に悪い事をしてしまった。
でも、今日は朝焼けの空に眩しい星も見えて、とても清々しい気分。
みんなに心配かけたことも謝れてよかった。
まさか昨日の今日で軽音部が歌を持ってくるとは思わなかったけど。
そして、ずっと続けていた息吹が歌唱に活きたのも予想外だったけど。
演劇の練習にも身が入って、最終確認まで終了。
明日は飾り付けで忙しいから、調整が間に合って良かった。
二○--年-月-日(木)
ドキドキ、緊張してきちゃった・・・・・・。
学校内の飾り付けも、大道具小道具の運び込みも無事に終わった。
でも、じっとしてられないから他のクラスや部活の準備もお手伝い。
どうか勇者部の劇が無事に終わりますように。
頑張ろうね、ぐんちゃん。
二○--年-月-日(金)
朝の部室に行くと、みんな緊張した様子だった。
でも、良い緊張感だった。
みんなが自然と微笑み合って、体育館のステージへ。
伊予島さんは、小等部の友達と一緒にステージ下で待っていてくれた。
勇者部の発表が回ってきたら、みんなで急いで大道具を設置。
上里さんがナレーションを読んで、勇者部の劇の幕開け。
勇気の剣を持つ勇者の高嶋さん、村人の土居さん、王様の乃木さんが登場して、話は進む。
「やっとここまでたどり着いたぞ、魔王! もう悪いことはやめるんだ」
「私を怖がって悪者扱いを始めたのは村人たちの方ではないか!」
「だからって、嫌がらせはダメだよ! 話し合えばわかるよ!」
「話し合えば、また悪者にされる!」
勇者に説得された魔王は、村人に王様に謝って回る。
嫌がらせをしてごめんね。
勇気を出して謝る魔王を、村人と王様も勇気を出して受け止めてくれた。
こっちこそ、みんなで悪者扱いしてごめんね。
勇者と魔王と村人と王様は友達になり、勇者はまた誰かに勇気を手渡すために旅立って、勇者部の劇はおしまい。
照明が落ちて、次の発表の順番になる。
でも、勇者部の面々はそのままの格好で、勇気の剣ことサイリウムを生徒達に配って回る。
そうして次の出番だった、軽音部が演奏し始める。
一曲目の名前は「勇気のバトン」。
高嶋さんの勇者の剣は軽音部に手渡されて、勇者部は軽音部をサイリウム片手に歌って応援して、今度こそ本当におしまい。
でも、午前の部は高嶋さんの勇気の剣が最後のグループまでつながる、大成功の形に終わった。
あと、天の神様から「ごめんね」というニュアンスの神託があった。
お昼のニュース曰く、廃墟と化していた各地域で不思議な現象があったらしいけど、神託と何か関係があったのかな。
(つづく)
ご読了ありがとうございました。
勇者であるシリーズの神樹様を元気づける夏祭りが好きです。
ぐんたかも好きです。