僕らの明日   作:蒼宙 伊月紀

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新しい生活と強い絆

こうして始まった僕らの生活だが、昨夜のような真剣な空気はあれ以来ない。今はおじちゃんの倉庫へ食べ物を取りに来ている。倉庫にはたくさんのダンボールが積まれていた。これだけあればしばらくは生活できそうだがいつまでもつのかはわからないな…

「たーくん、これも持ってくー?」夏鈴が倉庫の2階から聞く。夏鈴は少林寺を習う前に体操教室に行ってたから身体能力が高い。今もダンボールで狭い中をすらすらと抜けていく。

「おう、食いたいもんと飲みもんはとりあえず持ってけ。」

「水とかの箱は重いから俺とひかで行くよ。男は強くないとな!」泰和…お前、僕がダンボールに背が届かないの見てたのかよ。まあ水のダンボールは上に積まれてないし好都合だがな。

 

「ん~!やっぱみんなで外で食べるのはええね~!」

「永斗こぼしてるよ!もう少し落ち着いて食べろよ。」龍哉が言うが永斗には聞こえてなさそうだ。小屋で食べると汚すからと外で食べることになったが正解だったな。今はお昼頃で森の中でも暖かい。

「みんな、静かに聞いてくれ。今日から少林寺を毎日練習しないか?読本は持ってきた。大人と戦うんだし強くないといけないだろう、どう思う。」

「確かにそうだな。今の俺らの力じゃ勝てないな。」星流が珍しく勝気じゃない。いつもなら大虎にも勝気なのに。(勝ったことはほぼほぼない。)

「じゃあこれで決定だね。」璃空が話を進めてくれてみんなでこう決めた。

 

・朝は掃除、倉庫へ物資を取りに行く

・10時~12時まで練習

・お昼は外で食べる(誰かさんが汚すから)

・2時~4時まで練習

 

こうして話がまとまり絶対ルールとなった。

 

 

~12月~

もう随分寒くなった。羽鋼団ができてからみんな練習に打ち込んで夏より強くなった。

「おーいあんずー、そこから降りてこーい。」

「わかったー!」

「また本読んでたのかよ。」

「うんっ!この本の作者さんがね……」またこれ長くなるぞ。杏は本の事になるととんでもなく饒舌だからな…

「まあいい。もう冬だし寒いから木の上にいない方がいいぞ。風が当たるだろ。」

「そうだねぇ、ん~気をつけてみるよ。あっひゃっひゃ」

最近こいつも一人でいることが増えた。前まではウザイほどについて来てたのにな。

 

「ねぇ!このポテチ開けていい~?」

「永斗、1人で食べないでね~!」

「大丈夫、大丈夫!りんは心配性だなぁ~。にひひ、泰和じゃないし食べないよ~」

「おい!それどういうことだよ!」

「そのまんまじゃないか。前科あるしな。」

「そう言いながらせいも前にグミ1人で隠れて食べてたよね。」

「なっ!龍哉見てたのかよ!」

「わっはっはっはっは」

「大虎の声響くから近くで聞くと耳痛い」

「すまんすまん(汗)」

 

ガサッガサッガサッガサッ

「おい、誰か来たぞ、ドア囲め。静かにな。(ヒソッ)」

皆の表情が真剣になり頷く。あの夏にはなかった顔だが今は頻繁に見られる。

ガチャン

「どりゃ!!」

「おい待て!わしじゃい!落ち着けぃ!」

「「「あれ、先生!?」」」

「おうよ。いやぁ、心臓に悪い。」

「ごめんごめん、やっと会えたね。政府の奴らは?」大虎が代表して聞く。他の奴らは喜んで先生にへばりついてるのが多い。とても小学生高学年と中学生には見えないぞ。

「…政府の奴らは子供がいないことをわかったらしくほかのところへ狩りに行った。」

「…?そうなんだ。無事でよかった。」…間があったな。大虎も気づいてるようだ。

「今お前らが何をしようとしとるかは知らんができる限りの力になろう。」

「それは力強い。助かるよ。」


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