「ねぇねぇ、なーちゃん。」
「なぁに、ひーちゃん?」
公園で一人の元気な少女が、もう一人のおとなしい少女に話しかける。おとなしい少女は元気な少女に手を引かれ、あるものを目にする。それは、砂で作られたお城だった。
「わたしがつくったの、すごいでしょ。」
「うん、ひーちゃんすごい。」
えっへんと胸を張る元気な少女に、おとなしい少女はパチパチと小さく拍手する。
「わたしね、いつかこんなおおきなおしろで、たのしいことをいっぱいするんだ!」
「そっかぁ、ひーちゃんらしいね。」
「そのときはね、なーちゃんといっしょにあそびたい。」
その言葉に、おとなしい少女は目をきょとんとさせる。
「わたしなんかと、いっしょにあそんでくれるの?」
「うん、なーちゃんとあそびたいの。だからなーちゃん、もしおしろができたら、いっしょに
あそんでくれる。」
「…うん、あそぶ。ひーちゃんとあそぶ。」
「それじゃあ、やくそくだよ。」
「うん、やくそく。」
二人の少女は、笑顔で指切りする。いつか夢をかなえようと……。
ABCカップ最終日 ファイティングステージ
サキ『さてさて、1週間前より始まったABCカップ本選も、いつの間にか決勝戦へと突入しました!
長かったようで短かったABCカップ、その最後を飾るは、スタートドラゴンワールド使い、
星河尚選手と、ドラゴンワールド使いの、明日乃光選手です!』
サキが目を向ける先には、光と尚が、向かい合うように立っていた。
京香「光センパ~イ、尚センパ~イ! どっちも頑張ってくださいッス~!」
アギト「フレー、フレー!」
観客席の一番手前では、京香が大声で応援し、SDサイズのアギトが応援用の旗を振っていた。
尚「……。」
クロス「とうとうここまで来ましたね。」
尚「ええ。私は光ちゃんに必ず勝つ…そのために最善の戦略を練りこんできた。」
クロス「私は尚を信じております。共に勝ちましょう。」
クロスの激励に、尚は深くうなづく。一方で光とガルガも、会話をしていた。
光「本当に、決勝まで来ちゃったんだね…。」
ガルガ「うむ、しかし相手は尚だ。我らの手の内を隅まで読んでくるだろう。」
光「それでも、わたしはわたしのファイトを楽しむよ。そして、尚に勝つ!」
ガルガ「その意気だ!」
光とガルガは、互いに強くうなづく。そして光と尚は、デッキを構える。
サキ『さあ、泣いても笑ってもこれが最後! ABCカップ決勝戦、スタートです!』
尚「星と星をつなぐ線は、勝利への道しるべ。ルミナイズ《ギャラクシー△》!」
光「闘神率いるドラゴン軍団、ここに降臨! ルミナイズ《神ドラ》!」
『バディーーーファイトッ!』
オープン・ザ・フラッグ
尚「スタードラゴンワールド!」
尚の手札6/ゲージ2/ライフ10
バディ《天占竜 クロス・アストルギア》
光「ドラゴンワールド!」
光の手札6/ゲージ2/ライフ10
バディ《ガルガンチュア・ドラゴン》
光のターン
光「わたしのターン、ドロー! チャージ&ドロー!」
光の手札6→7/ゲージ2→3/ライフ10
光「装備、《神竜剣 ガルブレード》!」
光の手札7→6/ゲージ3→2
ガルブレード 攻6000/打2
光「これで尚にアタック!」
尚「受けるわ。」
尚のライフ10→8
光「ターンエンド。」
光の手札6/ゲージ2/ライフ10
尚のターン
尚「私のターン、ドロー! チャージ&ドロー! 光ちゃんに展開をさせるのはまずい。
だから…このターンで決めるわ。」
尚の手札6→7/ゲージ2→3/ライフ8
尚は一息吐くと、眼を鋭くして光を見据える。
光「…!」
ガルガ「凄まじい覇気だ…光、凌ぎきれ!」
光「うん!」
一瞬尚から発せられるプレッシャーに気圧された光は、グッと身構える。
尚「キャスト、《スタージャック・ブースト》でゲージとライフを1枚ずつ追加。続けて設置、
《宣告「占闘準備」》。ゲージ1を払って装備、《占弓バビロン》。続けてレフトに
《管星竜フレット》をコール。効果でゲージ2プラスして1ドロー。占闘準備の効果で
ライフ1追加して1ドロー。」
尚の手札7→6ゲージ3→5ライフ8→9
バビロン 攻6000/打2
フレット サイズ1/攻3000/防1000/打1
サキ『尚選手、盤面を整えると同時に、手札やゲージも補充していく!』
尚「まだよ。レフトに《占闘竜イン・シェブロン》をコール。元居たフレットはドロップに。
そしてセンターに《天占竜クロス・アストルギア》をバディコール。」
尚の手札6→4ゲージ5→3ライフ9→10
クロス サイズ2/攻6000/防5000/打2→3/ソウル1
イン・シェブロン サイズ1/攻4000/防1000/打2→3
バビロン 打2→3
フレット退却
カナメ『打撃力を上げ、貫通を付与するギャラクシーF……冷静ながら、豪快な盤面だな。』
尚「ライフ1を払いキャスト《布告「星命操作」》。デッキの上4枚めくり、その中の2枚を手札、
残りをゲージに。続けてキャスト《布告「占闘補給」》。ゲージと手札を2枚追加してライフ
1回復。」
尚の手札4→6/ゲージ3→7
京香「うわぁ…尚先輩、容赦ないッス。」
淡々と恐ろしい盤面を築いてゆく尚に、京香もアギトも顔を引きつる。
尚「…バトル。クロス、ファイターにアタック。」
クロス『我が攻撃を食らいなさい!』
光「ぐっ…!」
光のライフ10→7
クロス『2回攻撃!』
光「キャスト《神・緑竜の盾》! 無効化してライフ3回復!」
光の手札6→5/ライフ7→10
尚「イン・シェブロンで攻撃。」
光「キャスト《ガル・パリィ》! 攻撃を無効化し、1ドロー!」
尚「イン・シェブロンの2回攻撃。」
光「受けるよ!」
光のライフ10→7
尚「バビロンで攻撃。」
光「受ける…。」
光のライフ7→4
尚「バビロンの2回攻撃。」
光「きゃぁ!」
光のライフ4→1
サキ『光選手、防御魔法で防ぐも、早くもライフは風前のファイヤーだぁ!』
尚「ファイナルフェイズ。キャスト《裁きを告げる三ツ星》」
尚の手札6→5/ゲージ7→4
光「…!!」
サキ『なななななんとぉ、尚選手、必殺技もすでに手札に来ていたぁ!!』
クロスの背中にエネルギーが集約され、尚は淡々と弓を引いていく。
尚「これで終わりよ…必殺、裁きを告げる三ツ星。」
クロスからエネルギーが発射され、光に向かっていく。
京香「光先輩!!」
同時に京香が、悲痛な叫びをあげる。
光「キャスト《ドラゴッド・クリスタル》!! ライフが0になるとき、代わりに1にする!」
光の手札5→4
尚「なっ……!!」
サキ『これはすごい! 2回戦の時と同様、復活魔法でこの場を切り抜けたぁ!!』
サキが驚愕し、観客たちも歓声を上げる。一方で尚は、凌がれたことに呆然としていた。
尚「な、なんで…それはドロップに《ドラゴッド》がないと使えないはず…。」
光「信じてたんだ。」
尚「え?」
光「尚は絶対わたしにターンを回さないために、このターンで勝負を決めに来るって。だから
わたしは、尚が必殺技も使ってくると思って、最初のターンに手札のガルガをゲージに
置いて、そのゲージでガルブレードを装備したの。」
ガルガ「流石のお前でも、キーとなるカードをゲージに置くほど大胆に行くとは、思って
いなかったようだな。」
尚「…ターン…エンド。」
尚の手札5/ゲージ4/ライフ10
尚がか細い声で、エンド宣言をする。
光のターン
光「わたしのターン、ドロー! チャージ&ドロー!」
光の手札4→5/ゲージ2→3/ライフ1
サキ『光選手、なんとかターンが回ったものの状況は絶望的だ。この局面を、どう
乗り切るのか!』
尚「(大丈夫…私の手札には、十分防御札がある。このターンを凌げる!)」
光「レフトに《ガルキャット》をコール! 効果でゲージ1追加して1ドロー! そして、ライトに
《ガルガンチュア・ドラゴン》をバディコール!」
光の手札5→4/ライフ1→2
ガルガ『我が剣の前に、敵はなし!』
ガルキャット サイズ1/攻5000/防1000/打1
ガルガ サイズ2/攻7000/防4000/打2/ソウル1
尚「ここ! キャスト《通告「不動占術」》! ゲージ1を払ってガルガをレスト、このターン、
ガルガはスタンドできない!」
尚の手札5→4/ゲージ4→3
ガルガ『ぐおぉ!』
光「…! このままバトル、ガルブレードで、クロスに攻撃!」
尚「ソウルガード!」クロスのソウル1→0
光「ガルブレードの2回攻撃!」
尚「キャスト《マーズバリア》。攻撃を無効に!」
尚の手札4→3
光「ガルキャット、クロスにアタック!」
クロス『ぐわあああ!』クロス撃破
光「キャスト《ガルガンチュア・モードスイッチ》! ガルガをチェンジ、モード・ブラスト!」
光の手札4→2/ゲージ3→2
モード・ブラスト サイズ2/攻10000/防7000/打3→4/ソウル2
尚「キャスト《結晶化現象》! カードを1枚引いて、ガルガを無効化してレスト!」
尚のライフ10→9
サキ『これも防いだああ! 光選手、もはやこれまでか!』
光「まだまだぁ! キャスト《闘神の鼓動》!!」
光の手札2→1
尚「見たことのないカード…?」
光「デッキの上4枚を捨てて、その中のガルガを場の神竜族に重ねてコールできる!」
京香「ガルガは既に2枚見えてるッス…一世一代の大博打ッス!!」
光「デッキトップ4枚を……確認!」
近衛兵リンク・ガルドラ
神・ガルガンチュア・パニッシャー
剣の守護者ガル・アイナー
ガルガンチュア・ドラゴン
光「あった! ガルガンチュア・ドラゴンを、モード・ブラストに重ねてコール!」
光のゲージ2→1 ガルガのソウル2→4
ガルガ『ウオオオオオオオオオオオッ!!』
サキ『なんとなんと光選手、この土壇場でガルガを再び立ち上がらせた!!』
尚「まだよ、キャスト《通告「緊急占術」》!! ドロップのクロスをコール! 占闘準備の効果で、
ライフと手札を追加!」
尚のライフ9→10/ゲージ3→0
光「ガルガ、クロスをアタック!」
ガルガ『心得た!』
尚「キャスト《マーズバリア》! 攻撃を無効に!」
尚の手札4→3
ガルガ『我に2回攻撃あり!』
尚「ソウルガード! 耐えた!!」クロスのソウル1→0
光「これが最後の1枚…G・EVO発動!!」
尚「!!?」
光「チェンジ、《ガルガンチュア・ドラゴン“モード・レギオン”》!!」
光の手札1→0
瞬間ガルガの鎧は、青から黄金へと変わる。
モード・レギオン サイズ2/攻9000/防7000/打2/ソウル5
サキ『光選手、ここにきてガルガを新モードに進化させたぁ!』
京香「すげぇ、すげぇッス二人とも!」
息もつかぬファイト展開に、会場はヒートアップしていく。
ガルガ『モード・レギオンとなった我は、ドロップよりサイズ1以下の下僕2体を場に
呼び起こす!』
光「効果で《近衛兵リンク・ガルドラ》をレフトに、《剣の守護者ガル・アイナー》をセンターに
コール! これらのカードはサイズ0に。リンクの効果、登場した時、リンクの打撃力+1。
さらに、効果で登場したなら、場のカード全ての打撃力+1!」
モード・レギオン 打2→3
リンク サイズ1→0/攻5000/防1000/打1→3
アイナー サイズ0/攻3000/防1000/打1→2
光「リンクでクロスにアタック! リンクは貫通持ちだよ!」
クロス『申し訳ありません……。』クロス撃破
尚のライフ10→7
光「アイナーで尚をアタック!」
尚「ぐっ!」
尚のライフ7→5
光「ガルガ…ファイターにアタック!」
ガルガ『心得た! ウオオオオオオオ!』
尚「受ける!」
尚のライフ5→2
ガルガ『我に2回攻撃あり!』
尚「キャスト《アースバリア》! 攻撃を無効化してライフ回復、これで----」
尚の手札3→2/ライフ2→3
光「…ううん、これで終わりだよ。ガル・アイナーの効果、ライフ1を払って、ガルガのソウルへ!
そしてそのガルガを…スタンドする!!」
光のライフ2→1 ガルガのソウル5→6
尚「あっ……。」
光「ガルガ、最後の攻撃!」
ガルガ『受けるがいい!』
尚「……。」
尚のライフ3→0
サキ『き…き…決まったあああああああ‼ 激しい攻防の末、光選手が最後の力を振り絞り、見事
尚選手を下した! ABCカップ優勝は、明日乃光選手です!!』
サキの叫びと同時に、会場内が歓声を上げ、京香とアギトが感動の涙を流しながら抱きしめあう。
光「お、終わったぁ……。」
ガルガ「見事だったぞ、光。」
光「うん、ガルガもお疲れ様。」
緊張が解け、しりもちをついた光が、ガルガと軽くハイタッチを交わす。
尚「……。」
一方で尚は、がくんと膝を落としながら、下を見続けていた。
相棒学園 校門前
京香「光先輩、優勝おめでとうございます!」
光「あはは、ありがとう京香。」
京香はピョンピョンと跳ねながら、光の優勝を祝い、トロフィーを手に持っている光は、そんな京香を見て苦笑いする。その時、尚がいないことに光は気づく。
光「そういえば、尚は?」
京香「アタシは見てないッスよ。お手洗いッスかね? ちょっと電話かけてみるッス。」
・・・・・・・・・・・・
校舎裏
携帯が振動していることに気づいた尚は、すぐに電話に出る。
尚「…もしもし。」
京香『尚先輩、今どこッスか? 光先輩、気にしてるッスよ?』
尚「教室。ちょっと忘れ物しちゃってね。」
京香『そうッスか…あの、この後ファミレスでお祝いパーティーしましょう! お二人とも
激しいファイトのせいでお腹すいてるでしょうし、今日は全額アタシに奢らせて
くださいッス!』
尚「そう? じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな?」
京香『了解ッス。アタシら、校門の前で待ってますんで。』
尚「うん、またあとで。」
尚はそう言って、電話を切る。隣では、クロスが心配そうな表情で尚を見上げていた。
クロス「尚…。」
尚「…光ちゃんより長く、バディファイトしてるのに……勝つために、デッキの構築を何度も
見直してきたのに……それでも、勝てないの……?」
尚の頬を、大粒の涙が伝う。今の尚にかける言葉が、クロスには見当たらなかった。
相棒学園 中等部2年教室
天児「今日は皆さんに、転校生を紹介します。仲良くしてあげてくださいね。」
直後、教室の扉が開き、一人の少女が入ってくる。少女は黒板に自分の名前を大きく書いて振り返る。
「今日からこの学校でお世話になる…《
その少女、智夏は、笑顔で挨拶する。
光「…え……ええええええええええええっ!!?」
智夏を見た光は、机をバンッと叩いて立ち上がり、驚愕の声を上げる。これは、ABCカップから3日経った日の出来事である。
いかがでしたでしょうか? 次回からは、新章に突入します!
感想や募集のほうも、待ってます。