「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
部隊葬は厳粛な空気の中執り行われた。ミッションの為に、己の責務の為に全てを投げ出す。9名の殉職隊員の遺影と棺が安置されすすり泣く音が響く。俺自身にも自責の念がなかったわけではなかった。
「{もっと早く現場海域に付ければ・・・もし「特殊部隊」が存在していれば・・}」
気休めにもならないのはわかっている。皆己の職務を最後まで遂行しようとした彼女達の勇敢な行いがまた日本の海を守った。尊い御霊の犠牲の元に。殉職者の最年少は19歳の女性隊員だった。式が始まる現場の最高責任者の真霜さんと共に前殉職隊員らの遺族に会った際にどのようなお悔やみをと考えていた所
「救援に駆けつけてくれて、娘を救おうとしてくれたその行いだでけもう十分です。娘もきっと如月大佐に感謝しています」
「ご自分を責めないでください、宗谷さんも娘は覚悟してこの仕事に付いたんです、娘は私達家族の誇りです」
「大佐自ら指揮を取ったと伺いました、貴方のような方々いらっしゃれば日本の海も安泰です。わざわざ今日は娘のために感謝致します。」
我慢の限界だった。それとなく式が始まるまで俺はひと目の付かぬ所でむせび泣いた。自らも軍人として職務を遂行する過程で万が一の事を常に覚悟はしてきた、だが歳半ばの女性らが血を流し激痛にうめき死んでく、俺に出来たことはただ海賊という名の武装集団に怒りと共に銃弾の雨を浴びせ返す事だけだった。そんな時
「大丈夫ですか?」
後ろから真霜さんの声が聞こえ涙をハンカチで拭き
「すみません、みっともない所を見せてしまったようで」
そんな時後ろから抱きつかれる形になり
「貴方は優しい、組織が違えど彼女らの為に涙を流せる彼女らの為に尽力しようとしている。こういう人間がこの先必要になります。彼女らに報いる為に。」
こうして俺も真霜さんもそして翼に合流し、彼女らを見送った。見送る際、敬礼しつつ
「{貴女らの尊い犠牲は無にしません、どうか御霊よ安らかに・・・}」
やはり自然と涙が頬を伝っていた。それは翼も、真霜さんも同じだった。
海軍司令部
「この概要書は読んだが、如月大佐海軍とブルーマーメイドに同規模の特殊作戦部隊を創設するとあるが任務内容が同じならば海軍に設置すればいいのではなかね?」
幕僚クラスの将官が俺と真霜さんを囲うように言うが
「皆さん、我々海軍は多種多様な任務に従事しています。いつでもブルーマーメイドの方々を援護、支援できるわけではありません。ですので互いにこのような重装備の脅威に対して対応できる部隊は必要であり、また抑止力という観点からも「特殊作戦部隊」の存在は有効と確信しております。」
周りを見て力説し
「確かに如月大佐の言う通りだ。今回の事件は我々海軍も胸を痛めている事は確かだ。報告にもあったが如月艦長らがその「特殊部隊」経験者という観点から臨時に経験者から部隊を編成し事に対処した。大佐らがいなければもっと死傷者が出たかもしれない」
そう言うと
「ふむ、報告書を読ませて貰ったが今回亡くなられた隊員らには同情を禁じえない。ろくな防弾装備も持たず、拳銃とサブマシンガンでアサルトライフルや軽機関銃と戦えというのは無茶苦茶もイイ所だ。海上安全整備局の上層部は何を考えている。」
一人の将官が言い
「私の能力不足です、彼女らに顔向けできません」
真霜さんは言ったが
「いや、宗谷君はよくやっている。現場の最高責任者として問題なのは上層部だろう。これだけの損害を出してなんの対応策を提示しないなど犠牲になったご遺族の方々も納得はしないだろう。」
大石司令は答え
「その意味でも対応策として現場を知る如月大佐はこのような重装備の脅威に対応できるように「選抜」された人員による「特殊」かつ「高度」な戦闘訓練を施した選抜部隊「特殊部隊」が必要だというわけだ」
原副司令も言った。
「如月大佐の言いたい事は大いに解った。海軍としては大いに結構だ。無駄な犠牲を出さぬように適材適所というわけだ。規模に関しては艦に小隊規模の隊員を配置か、海上安全整備局には同説明するつもりだ如月大佐?」
尋ねられ
「元より、彼らに選択の余地はありません。彼らは現場の声に耳を傾けなかったその結果がこれです。ですので私のプランに賛同するか独自に対応プランを練るかのどちらかのみです。私が上層部に分からせます、「命」は駒でないという事を」
答えた。海上安全整備局にも俺が自ら出向き国防の「こ」の字もわからん馬鹿共に叩き込んでやるつもりだ。
夜・・宗谷家
「これが貴方の考え」
真雪さんにも話を聞いてもらい
「特殊作戦部隊・・・・危険な任を専門に扱う精鋭集団。選抜過程や基準使用する基本となる武器まで細かく指定されているけれどこれはもしや・・・」
真雪さんは言い
「ハイ、もと居た時代で所属していた特殊部隊をベースにしています。」
語った。SBUはアメリカ合衆国海軍特殊部隊SEALsをモデルに創設された主たる任務は最初は不審船への対処だったが時代が幅広く柔軟な対応を求めSBUも諸外国と同様な海軍作戦コマンドに成長していった。真冬さん案を見て
「うはぁ・・・うちじゃ採用できない高価な武器ばかりだなM4にSIG226にMP5にMP7対物狙撃銃に高性能防弾ベストにヘルメットにサポートプロテクト・・・」
真冬さんは言ったが
「装備はお金で買えますでも「命」はお金では絶対には買えない。隊員らを護るならばこれくらいの装備は最低限揃えるべきだ。」
俺は言い
「なるほどな・・・・これは言えるな船を増やしても人がいないんじゃどうにもならないし」
真冬さんは言った。
「なるほどね、大体はわかったわでも誰が指導教官を務めるの?」
真雪さんは言い
「一応私の所属する艦の乗員は私をや副長、砲雷・航海両長らその他乗員がSBU経験者ですしカリキュラムもなんとかします。ですが「特殊部隊」という以上生半可な選抜訓練にはなりませんけれども」
一応言った。
「そうね、やる以上は完璧を目指さないといけないものね」
真雪さんは言ってくれたが問題は山済みだ。装備を調達するための予算枠そして指導方法の改訂など最初の難関がほぼ敵愾心をむきだしにする海上安全整備局をどう黙らせるかこれが重要になる。
夜 自室
「うーん・・・第一段階で基礎カリキュラム、第二段階で応用カリキュラム、第三段階で実戦戦闘を想定した戦闘カリキュラム。あとは士官・下士官・兵毎の教育にブルーマーメイドも幹部とそれに準ずる人間の教育など細かくしないとな・・・」
やる以上半端な事は許されない、半端イコールすなわち「死」に直結するからだ。そうしていると
「コンコン」
ドアのノックの音が聞こえ
「どうぞ」
答えると
真霜さんが入ってきた。
「こんばんわ・・・進んでる?」
聞かれ
「ええ、進んでいます。」
答えたがその手にしている物を見て気づいた
「あの・・・・その寝袋なんですか?」
聞くと
「なにか手伝おうと思って、いつも任せっきり出し確かに私自身「特殊部隊」に詳しいわけじゃないから大変かもしれないけど何か手伝える事があると思って。」
言ってくれた
「でしたら、お願いした事があるのですがあの事件で入院している隊員への面会許可を頂けないでしょうか?現状を詳しく知らないといけないので」
頼み
「わかったわ、直ぐにでもそれと書類の整理手伝うよ」
こうして真霜さんと一晩かかって大まかな概要を纏めた因みに朝珍しく起きてこない俺を心配してきた真冬さんに「いけない事しちゃった?」と言われ俺達は全力で否定するがネタにされる事になるのだった。
次回~面会と無能上層部~を予定しています。