「宗谷・・・か」
自身の軍服のプレーとを見て言う去年は「Y・KISARAGI」だったが今年から真霜さんと結婚し婿に入った事から「Y・MUNETANI」と変わったのだ。婚姻届けは元日の直ぐに提出し挙式はまだ上げてはいないものの互の間柄が「妻」「夫」に変わったのだ。それを強く実感していた。
「大丈夫ですか?宗谷准将」
部下の翼にクスクスと笑われつつ言うが
「さっ、新年しょっぱなの仕事でポカはできない行くぞ」
俺達は毎年新年に行われると言う航洋艦の査察に訪れていた。
「見た限りでは駆逐艦と巡洋艦・・・ですかね」
高本中佐が言い
「いや・・・俺達が知ってる艦ではないのは確かだ」
俺が言っていると
「初めまして、宗谷准将」
背後から声をかけられ、俺も翼も振り向き
「横須賀女子海洋学校の指導教官の古庄薫です、よろしく」
「よろしくお願いします」
横須賀女子海洋学校から来ている古庄教官の立会の元航洋艦の査察を行う。
「なんとなく面影が・・・あきづき型に似てますね」
翼は言い
「ああ、だが違う。あきづき型に煙突の間にMk48VLSはなかったはずだ。」
俺は言い翼と歩みを進め
「古庄指導教官、一隻につき、どの程度の訓練生を乗艦し訓練を行うのですか」
質問すると
「ハイ、一隻に付きこのサイズの航洋艦ですと30名です。」
その数字にびっくりした。
「「30?!」」
その少なさに驚いた。俺達のいた時代のあきづき型護衛艦でも200人の乗員がいた、それがたったの30人で操艦可能だというのには驚いた。
「こちらへ、艦内にご案内致します」
案内を受け艦内に入りながら話を聞き
「航洋艦についてはほとんどがオートメーション化が図られていますため最少人数での航行が可能となっております。准将が指揮を採ってらっしゃるイージス巡洋艦ですと200名の乗員で航海なさっているかと思いますが、当艦は一応は訓練艦ですので。」
説明を受け
「この艦にも三重の防御システムが?」
高本中佐が言い
「ハイ、それだけではなくエアバックも装備しております。被弾時の衝撃から乗員を保護するために装備しております。」
翼が聞いている中、疑問に思っていた事を聞いてみた。
「艦によってバラつきが見受けられるもののこの艦にはVLSが搭載されているようだが、前甲板にMk41がざっと見て32セルそして煙突間にMk48VLSが16セル、合計で48セルあるが整備性が悪くないですか?通常なら全て合わせて前甲板に32セル配備すればいいようにも感じますが」
少し意地の悪い質問をしてみた、これは俺達の時代で言う所の「むらさめ型護衛艦」がこの配置だった。恐らく同じ配置だろうが前甲板Mk41VLSには対潜戦闘用のVLAとSUMが配置されている。そして中間に配置されているMk48VLSにはESSM日本名で言えば発展型シースパロウが配備されているはずだ。
「元々は防空駆逐艦だったはつづき型をベースに本艦は建造されましたが、余りにも対空に特化しすぎて開発の途中からVLSを増設する事になり本来ならば准将が仰る通り一纏めにすれば良かったのでしょうが、予算の絡みも生じ前甲板にMk41VLSをそして煙突間にMk48VLS mod4を16セル追加配置となりました。」
古庄教官は言い更に
「対空戦闘に特化した艦故に前甲板のMk41VLSは16セルにESSM用の弾庫にもう半分を対潜戦闘用にとなっています。Mk48VLSは完全にESSM用ですので。」
言われ、この航洋艦は完全に対空戦闘に全振りしてると言っても過言ではないと感じた。Mk48のESSM16発にMk41VLSでは1セルに4発のESSMが装備できる。つまり1セル4発として×16セルつまり=前甲板ESSM64発+煙突間のMk48VLS分16発を合計し
「艦対空ミサイルだけで80発・・・残りを対潜戦闘用に回しても16発。」
「比重が悪すぎますね、准将」
翼が言った。確かに比重が悪すぎる。48セルもVLSがあるならば通常考えても半々にすればいいのだ、48÷2としても24セルづつになるがそうなると対潜戦闘用に回せるアスロックが24発、残りを換算してもESSMが48発、まぁ此処らが落としどころだろうな俺は考えている中
古庄指導教官は説明した。明らかに面影こそあるが違う。艦橋はあきづき型護衛艦なのだが兵装は「むらさめ型護衛艦」なのだ。まるで足して二で割ったかのような光景だ。
「兵装は前甲板から
62口径5インチ単装速射砲 そちら風に言えばMk45 5インチ砲ですね次
Mk41VLSが32セル これは対空・対潜戦闘用の共用です。
高性能20mm機関砲CIWS 准将や中佐もご存知の近接防空火器です。前後に1門ずつ
91式艦対艦誘導弾発射筒 対艦誘導弾になります。ようやく航洋艦にも回って来た所です。
Mk48VLSが16セルこちらは対空用になります。
三連装式魚雷発射管になります。
そして各種電子装備 等を搭載しております。」
説明を受け
「成程ね・・・・単に巡洋艦レベルと言うわけでもないわけだ。」
翼はいい
「航洋艦という名の訓練艦にしてはやたらと重装備のように感じるが」
俺も言うと
「一旦外洋に出れば我々もいつも助ける事はできないですから艦長を筆頭とし皆で事態に対処せねばならないですから。」
その一言に俺は現場を早くから現場に近いような訓練を行っている事を感じた。そして俺達は横に停泊している艦を見て言葉を失った。
「や・・・大和型・・・・・」
俺達の時代では既にこの目で見ることは叶わない艦だ
「こちらの艦は優秀な生徒らが乗艦し直接指導を受ける艦です。」
古庄指導教官の説明に
「なる程な・・・ちらっと調べた事はあったが入試の点数順に配置される艦が決まる。成績のイイ者はこのやまと型2隻にそれ以外はこのはつづき型にという訳か。」
言い
「そのとうりです。」
古庄指導教官は答えるが
「だが直接指導を受ける者よりも自らの、チームとして危機に対処し解決できる者達の方が卒業する頃には入校時に優秀だった者を追い越す何て事はよくある。ペーパーなんぞ個人個人の頭の出来を図るくらいにしか役にたちはしない。船乗りに必要な物は柔軟な頭だ。マニュアル通りの対処しかできないエリートよりも柔軟な対応ができる者の方が現場では重宝される。最も現場よりも上層部に入り込むなんて言う野心家であるなら別だがな」
俺は言った。これは自らの経験から得たものである。
「耳が痛いですね。」
古庄指導教官は言い
「すみません、あくまで個人的な感想ですよ。別に海上安全整備局の教育方針に意を唱えている訳ではありません。」
俺は言った。そして最後に
「今日はお会いできてよかったです。真霜から結婚したと話があったのでどのようなお婿さんを迎えたかと興味がありましたが、まさか准将とは思いませんでした。」
古庄指導教官は言い
「妻をご存知で?」
聞き
「ええ、学生時代の先輩・後輩でした」
懐かしむように言い
「あの子の事よろしくお願いしますね」
古庄指導教官は言われ俺も
「ハイ」
一言答えたのだった。
次回~受験戦争~を予定しています。