「私の部屋どう一杯?、色々と聞きたいこともあるし」
夕食後に真霜さんに誘われ
「お酒は結構です、・・・すいません癖で」
答え
「ノンアルコールは?」
尋ねられ
「それでなら」
答え真霜さんと部屋に向かう。互いに飲み始め
「そういえば、つい最近知ったのですが海上安全整備局の現在の事実上のトップが貴女と知りましたが」
俺は言い
「あははは、びっくりした?こんなズボラなトップで」
笑いながら言い
「いえ、そんな事はないです。自分も幹部官舎に住んでいた頃は休暇などは結構ずぼらに過ごしていましたし・・・仕事は仕事、プライベートはプライベートでいいんじゃないですかね」
答え
「でも現場では互いに責任を負う立ち位置にいる。これは変わらないことですかね、ただ一巡洋艦の艦長と組織のトップでは責任の重さも違いますが」
ノンアルコールビールを煽り
「それは違わないとおもうけどな私は」
真霜さんも言いながらビールを煽る。
「でも貴女には借りがあると思っています。この世界で生きていけるようにクルーやはぐろを守ってくれた。」
そう言うと
「私はあの上層部の責任の擦り付け合いやことなかれ主義が嫌でだからあの連中に睨まれようとも正義は貫き通したいと思っています。でなければ現場に申し訳が立たないですから」
真霜さんは言い
「正義を貫く覚悟か・・・・何を持って正義というのかそれは見方によって変わりますがね」
呟くと
「変な事かしら」
真霜さんは言い
「いえ」
一言言い
「どうです?そちらは」
言うと
「一言で言えば退屈・・・かな毎日がほぼデスクワークだし」
真霜さんは言い
「そうですか、こっちは神経をすり減らし過ぎますけれどもね」
答えた。200名の部下を預かる責任と重圧は波半端なものではない。だが真霜さんの場合は組織の部下全てを統括する立ち位置にいる責任の重さも違う。
「堅っ苦しい話も此処まで、プライベートな事聞いても良いかしら?」
真霜さんは言い
「構いませんよ?」
俺は言い
「あちらでのご家族は?」
真霜さんは言い、若干躊躇ったが
「天涯孤独です。兄弟はいませんし、両親も軍務で殉職しました。私は施設育ちです。」
答えると
「・・・・ごめんなさい・・・・・」
真霜さんは申し訳なさそうに言い
「暗い顔しないでくださいよ、せっかくの美人顔が台無しですよ」
おちょくり
「そんなジョークも言うのね」
真霜さんは言い話が重くなるので
「さぁて、俺も早いトコ独身からおさらばしたいし休暇は部下達とどっかにしゃれこまないとな」
更にビールを煽り
「如月さんはまだ独身で?」
真霜さんは驚いたような顔で言い
「ええ、元々両親が居なくていじめを受けた時もありましたけどそいつらの心ごとへし折ってやったりなんやかんやで出会いらしい出会いがないまま自衛官になったもので年齢=彼女なし歴です」
頭をかきつつ言い
「こんな良物件ほおっとく女がいるなんて信じられない・・・」
真霜さんは言うが
「そうですか?年柄年中海の上そして家には帰れない、いい事と言えば給与が良い額をもらえること。自分の場合だと必要に迫られ覚えた家事スキル。後は社会的ステータスですかね」
皮肉たっぷりに言い
「それに何より、海軍の軍人の妻は中々務まるものじゃない。私の世界でもドロドロの不倫や離婚など先輩方を腐るほど見てきていますからね。」
言っていると
「趣味は何を?」
真霜さんは話を変え
「うーん、休暇とってる時は音楽鑑賞・アウトドア全般・季節限定であればウィンタースキーですかね。よく副長と二人で行くもんです。何処かいい場所ありますか?」
聞き
「私もウィンタースキーなら冬によく行くわね、今年の冬あたり一緒にどう?中々家族でも時間が合う時なくてさ」
彼女はいい
「自分でよければお供致します」
答えた。その日の晩は二人である程度飲んだ後お開きとなった。
真霜side
「家族がいないなんて・・・気の毒な事聞いちゃったな。この世界とあの人が居る世界は全くの別物、か。苦労して生きてきたのね・・・」
真霜は思い
「今度の休暇あたりどっかに誘ってリフレッシュしてもらおうかな。きっと気を貼りっぱなしだと思うし」
真霜は思っていた。
真霜sideアウト
部屋に戻り自分ひとり考えていた
「この世界で俺は本当に一人になっちまったな・・・部下達がいるとはいえ」
孤立無援とはこの事と実感していた。
次回~航海準備~を予定しています。