〈side流りょうま〉
あのあと俺たちは、巴先輩のお宅のマンションに呼ばれ、紅茶とケーキをいただきながら、魔法少女についての説明を受けた。
「キュウべぇに選ばれた以上、あなたたちとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明は必要かと思って」
「うんうん、何でも聞いてくれたまえ」
「さやかちゃん、それ逆…」
まどかと美樹のやり取りに、巴先輩は笑みを浮かべこの場が和む。
そして、巴先輩は手のひらに何かが現れ、それを俺たちに見せた。
「わぁ…綺麗」
まどかの言うように、巴先輩の持っているそれは黄色い光を宝石のように輝かせていて綺麗だ。
「これがソウルジェム…キュウべぇに選ばれた魔法少女の素質をもってる女の子が契約によって生み出す宝石よ。魔力の源であり、魔法少女の証でもあるの」
「契約って?」
「僕は、君たちの願い事を何でも一つ叶えてあげる」
はぁ?
「えっホント!?」
「願い事って?」
「なんだってかまわない、どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
マジかよ!?こいつ、そんなことできんのか!?
「金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とかぁ~?」
「いや、最後のはちょっと…」
「物欲まみれだな、オイ」
「けど、それとひきかえにできあがるのがソウルジェム。この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」
「魔女と戦う?」
話が益々ファンタジーになってきたな。
「魔女?」
「魔女っなんなの?…魔法少女とは違うの?」
「願いから生まれるのが魔法少女だとするなら、魔女は呪いから生まれた存在なんだ。魔法少女が希望を振り撒くように、魔女は絶望を撒き散らす」
呪いから生まれるとか、悪霊かなにかか?
「しかも、その姿は普通の人間には見えないから質が悪い。不安や猜疑心、そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」
「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ…形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでいくの」
こいつは、とんでもねぇ話だな。
ファンタジーはファンタジーでも、ダークファンタジーかよ!
「そんなやばい奴らがいるのに、どうして誰も気づかないの?」
「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。さっき君たちが迷い込んだ迷路のような場所がそうだよ」
「結構危ないところだったのよ。あれにのみ込まれた人間は普通は生きて帰れないから」
実際、巴先輩が来なければどうなっていたか……
「マミさんは、そんな怖いものと戦ってるんですか?」
「そう、命懸けよ…だから、あなたたちも慎重に選んだ方がいいわ…キュウべぇに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。でも、それは死と隣り合わせなの」
願いの代償に、過酷な使命を課されるか…
まどかたちも、そのことに戸惑いを感じてるようだ。
「そこで提案なんだけど、しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
「ほぇっ!?」
「えぇっ!?」
巴先輩の唐突な提案に、まどかと美樹は驚いていた。
「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみるといいわ。その上で、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
巴先輩は一通りの説明を終えたようで、ティーカップに口をつけた。
「暁美…先程の彼女も巴先輩と同じその魔法少女なんですか?」
「そうね、間違いないわ…かなり強い力をもってるみたい」
「でもそれなら、魔女をやっつける正義の味方なんだよね?それがなんで、急にまどかたちを襲ったりした訳?」
「彼女が狙ってたのは僕だよ。新しい魔法少女が生まれることを阻止しようとしてたんだね」
新しい魔法少女の誕生の阻止?…なんでそんなこと?
「なんで?同じ敵と戦ってるなら、仲間は多い方が良いんじゃないの?」
「それがそうでもないの…むしろ競争になることの方が多いのよ」
「そんな…どうして?」
「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの」
「見返り?魔女を倒せば、報酬か何か貰えるってことですか?」
「ええ…だから、時と場合によっては手柄の取り合いになってぶつかることもあるの」
「つまり、あいつはキュウべぇがまどかに声かけるって最初から目星をつけてて、それで朝からあんなに絡んできたって訳?」
「多分、そういうことでしょうね」
魔法少女、魔女…なんとなくだが、そういう奴らがいるんだと分かったが…
「一つ、疑問なんだが…」
俺の声に、三人と一匹がこちらを向く。
「キュウべぇお前さっき、お前は普通の人には見えないって言ってたよな?」
巴先輩のお宅までの道中、こいつはそんなことを言っていたはずだ。
「そうだよ。僕は魔法少女になれる素質をもった人にしか見えない」
「じゃあ、何で俺が見れんだ?」
俺の言葉に三人の女性群は、あっというような顔をする。
三人共、何も疑問に思ってなかったのか……
「まさかりょうま、アンタ実は女の子だったの!?」
「えぇっ!?」
「んなわけあるかっ!!」
「そういえば、何でなのかしら?キュウべぇ、どういうこと?」
「それは僕も不可解に思っていたことだ。マミの話が終わったら聞こうと思っていたんだ。流りょうま、何故君は僕の姿を見ることができ、僕の声を聞くことができるんだい?」
「いや、分からねぇから聞いてんだろ」
「僕も明確な解答はできないけど、おそらくは君に素質があるからだと思うよ」
「まさか、俺も魔法少女になれるってのか?」
「ププッ!」
「オイ美樹!何想像しやがった!?」
美樹のやつ絶対俺の魔法少女姿、思い浮かべて笑いやがった!
「流りょうまに魔法少女としての素質は無いよ」
「でも、りょうま君にはキュウべぇが見えてるよ?」
「彼には魔法少女の素質とはまた違った素質を持っているようだ」
「魔法少女とは違う素質?」
「それは何なの、キュウべぇ?」
「ある種のエネルギー要素だと思うけど、僕にも詳しくは分からない。彼のようなことは前例がないからね」
「結局、よく分からんということか…」
「そうだね」
「いいじゃんりょうま、何かこうさ…未知なる力を秘めた男、流りょうま!みたいな感じでかっこいいじゃん!」
もう、お前のそのノリはスルーだ。
「ね?まどかもそう思うでしょ?」
「りょうま君はいつでもか、かっこいいよ」
まどかもそんな照れるようなことわざわざ言わなくていいから……嬉しいけどさ
その後、巴先輩からもう一つずつケーキをごちそうになり、解散をした。
そして、家に帰ったら案の定父さんの説教が待っていた……
〈sideout〉
〈sideキュウべぇ〉
やれやれ、今日は厄介なイレギュラーと遭遇してしまった。
暁美ほむら
彼女は契約をした記憶が無いのに魔法少女となっている。
彼女はどうやら、僕らを狙っているようだ。
その目的が、新しい魔法少女を増やすことの阻止なのか、もしくはまた別の目的があるのかは検討中だ。
暁美ほむらのことは、今は様子見をするとしよう。
それにイレギュラーは彼女だけではなかった。
流りょうま
彼は男性であり、魔法少女の素質が無いのに僕の存在を知覚することができた。
何故なのか?
おそらくは、彼のもつある素質が原因と考えられる。
その素質は、あるエネルギーの要素と酷似していた。
僕らはこの宇宙を存続させるためのエネルギーを研究しているときに、宇宙に存在していたそのエネルギーを見つけた。
しかし、そのエネルギーはエネルギー回収が安定しなかったため利用価値が見いだせず、名前をつける前にそのエネルギーの研究を終えた。
それよりも、エネルギー回収の効率が良い方法を確立できたからね。
そのエネルギーは、この地球上でもまれに見つけることがあったが、いずれも微量でしかなかった。
けれど、彼はそのエネルギーを従来の観測では見られない程の量をその身に宿していた。
それは、マミの治癒魔法による魔力の介入に、無意識下で抵抗できる程だ。だから、彼の怪我は治り難かったのだろう。
これは、とても興味深い。
流りょうま、彼に対しては少し調べてみる必要があるかもしれない。
そういえば、かつてこのエネルギーを研究していた人間がいたっけ
結局、エネルギーを活用させることはできなかったようだけど
その人間はエネルギーに名前をつけていたね。
なんて言ったかな?
たしか、
『ゲッター線』と言っていたね。
〈sideout〉
やっと本編に、ゲッター要素を出せた(震え声
まどマギの世界にゲッター線をぶち込んだいいけど、どうしよう…………ゲッター線がなんとかしてくれるか(放り投げ
感想、アドバイス、誤字脱字報告などありましたら、よろしくお願いします。