そんなの誰が決めた。
「あ・・・ああああ。」
「い・・・いてえよーー。」
「誰か~~。」
ルクスとセリスティアのデートが確定したその日の深夜、ある日から毎日のようにうめき声が聞こえてくるのだ。
そこは王都から遠く離れた牢獄で回りは崖に囲まれており脱走は普通出来ない。
然もルクスの提案によって周りには兵士が巡回し、ドレイクが周りを監視、
重要人物に至っては機竜で監視しているため更に難攻不落であった。
その中である一人が中に入っていった。
本来なら身分証明賞を提示しなければ入れないのだがそれをその人間はある方法で入れたのだ。
それは・・・。
「(まさか医療物資の中に紛れ込めるとは思ってませんね。)」
そう・・・ここ最近医療物資が不足していることから定期的に物資を
頼んでいるのだ。
この牢獄は罪の種類と重さに応じて3つのブロックに分かれている。
罪が軽く、且つ公正の余地があれば上に、公正出来るか分からず何度も同じ罪を
重ねている人間は地下に、最も重く、重罪の人間は最下層で逃げ場すらない
場所なのだ。
いま彼女がいるのは中層なので目的の最深部に行くには通常口ともう一つを
通らなければならない。
そこは・・・。
「よいしょっと。」
排気口である。
地下の最下層であるため空気の入れ替えをするために改めて作り直されたのだ。
その一つに入ったそれはそのまま下にへと下った。
まあこの時代では空気の入れ替えなど考えていなかったため息苦しいことが
結構あるため毎日1回、外で日光浴させた植物を観葉代わりに置いて空気を
作らせないかと言うルクスの案に泣く泣く受け入れてしまったのだ。
そして排気口を抜けていったその先にいたのは・・・。
「いました。」
それはベッドで魘されていた。
「うぎゅううう・・・・・・」
全身包帯まみれのこの男こそルクスが初めて『ギャラクシーアイズ』で
倒した男、バルゼリット・クロイツァーである。
そしてそれは排気口から出て、バルゼリットの前に立った。
「お初めまして、バルゼリット公。」
「うお・・・・うおみゃいぇふぁひっひゃいりゃれりゃ?(お前は一体誰だ)」
バルゼリットは声を出そうとしているが変な声でそういった。
ルクスとの戦闘で喉を焼かれて思うように言葉が出なくなってしまったのだ。
「私は貴方の盟友の代理人としてここに来ました。」
「!!!!ぎゅうううう!!」
バルゼリットはそれを聞いて立ち上がろうとするも全身の痛みでそれもできなくなってしまった。
「ああそのままでよろしいですよ。それと主は所用でいないため私が代理として来ました。」
それについて悪しからずと言うとバルゼリットはこう考えていた。
「(そうか・・・盟友は私をまだ見放さなかったんだな。・・・フフフ・・・
後は脱出して今回の件のすべてを反乱軍に擦り付けた後新しい傭兵を領地にある
隠し財産で雇えばいい。まあ罪人はクロイツァー家が抱き込んでいる執政官と
警察職員に声をかけさせておけば後は・・・」
そう思っている中ある人間を思い出した。
あの時自分の全てを破壊しつくしたあの男・・・『ルクス・アーカディア』を。
「(あいつはぼろぼろにした後あいつの取り巻きの女どもを目の前で
犯しつくして殺した後に機竜でズタズタに・・・!!)」
バルゼリットはそう思いながらルクスが滑稽にくたばってくれる様を
イメージしてほくそ笑んだ次の瞬間・・・。
「ゴバ・・!ぎゅ、ギュギャ嗚呼アアアアアアアア!!」
バルゼリットの腹から角のような突起物が内側から生えてきたのだ。
それは胸を、内臓を抉りだしながら成長していた。
まるで・・・バルゼリットを栄養源にして成長する植物のように・・・。
バルゼリットは断末魔を上げながらベッドから転げ落ちてその人間を見るとその人間はバルゼリットに対してこう言った。
「主曰くですが『アジ・ダハーカ』の神装は幾つもコピーした能力を同時に
使うと威力と精度が落ちると言ってました。それは受け取った際に忠告していた
はずですが?」
「ギャハ!グガアアアアア!!プギャアアアアアア!!」
「貴方が破壊した『アジ・ダハーカ』の弁償は貴方の命と隠し財産で
賄ってもらうとの事です。」
「ギギャアアアア!!あああアアアアアアアア!!」
「それと主から言伝です。」
『てめえみてえな屑野郎は蛆に生きたまま喰われて死ね!』
「だそうです。」
「・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!」
そしてそのままバルゼリットはその人間を見つめたまま・・・死んだ。
「矢張りこの年齢の人間では投与しても定着しませんね。後で主に報告して
おかないと。」
そう言ってその人間は懐から・・・アビスを呼び、コントロールできる笛
『角笛』を出してこう言った。
「さてと・・・あれを作るにはここは丁度よいのでお仕事です。」
それに・・・とその人間はこう続けた。
「もう間もなく目覚める頃合いでしょうね。」
そしてその後にその人間は角笛を・・・吹いてこう締めくくった。
「アビスの頂点・・・七つの遺跡の最下層に住む化け物・・・
『ラグナレク』が」
悪意の脈動は刻一刻と・・・音を鳴らし始めた。