アリーナでは四機の《ワイバーン》が天を舞っていた。
だがそのうちの二機は金色の機体に攻撃を集中していた。
リーズシャルテの機体《ティアマト》は《レギオン》をフル稼働して
セリスティアを四方八方から追い打ちをかけていたがセリスティアはそれを
《ディバイン・ゲート》を使わずに《ライトニングランス》を使って《レギオン》を弾き落としていた。
「あの少年は、貴方の攻撃を防ぎ切ったようですね。」
「ああ!それが何だと言う!?」
ルクスと戦った時には彼は防御重視であったためキャノンとブレードで
弾き落としていたがセリスティアはそれをランス一本で16機もの《レギオン》を
落とすあたりルクスとの実力の差を目の当たりにしているようであった。
まあ・・・。
「(あいつは《ライズ・ワイバーン》だったら超高速軌道で懐に来るし、
《ギャラクシーアイズ》だったら機竜のエネルギーを喰らいながらだから
最近勝率悪いもんなあ。)」
リーズシャルテは自身の敗因でもあるスタミナのなさを指摘されているため体力の向上と機竜のエネルギー配分に力を注いでいるため全力時には及ばないが
全機使っても直ぐにスタミナ切れになる心配はなくなっていたが相手が
セリスティアだけに幾つかのロックを外しているため最初の状態になっている
ので・・・。
「そろそろ限界か・・・。」
《レギオン》の機動力が失われ、全機リングに落下した。
「貴方の攻撃は確かに強力ですが凌がれると脆いのが弱点だと
前に教えましたよね?」
「・・・いちいち人の気にしているところにずけずけと入ってくるなあ最強様は。全くお前もルクスもとんでもない奴だな。」
リーズシャルテは肩で息をしながらそう言った。
一方、クルルシファーはサニアと戦っていた。
クルルシファーは万が一の為に搭載させた機竜息銃を使ってセリスティアに
攻撃していたがそれをセリスティアは最小の動作で回避していた。
然しクルルシファーが気になっていたのは彼女ではなく・・・もう一人で
あった。
「(彼女のあの動き、確実に私を倒すじゃなくて釘付けにするように
しているわね。正直セリスティア先輩よりも厄介なのは彼女ね。)」
クルルシファーはそう思いながらサニアを評価していた。
然し同時に疑問も抱いていた。
「(けど何でここまでサポートに徹せれるのかしら?普通なら間違いなく
ここだって時に攻めてくるはずなのに。《ワイバーン》の機動力なら翻弄しつつ
攻撃できるのにまるで・・・そういうのを使っていなかったように。)」
そう思いながらクルルシファーは二丁拳銃状態のサニアを相手取っていた。
「だったらこれで」
と《セブンスヘッド》を構えた瞬間にセリスティアが3本のダガーを投擲すると《ディバイン・ゲート》を使ってその場から姿を消した。
「!!こいつはまさか!?」
「終わりです。『朱の戦姫』」
リーズシャルテは前面のダガーに備えて障壁を張った瞬間、背後から電流を
流して《ティアマト》の推進装置を砕いた。
「ぐうあああ!!」
「まさかあれが!?」
リーズシャルテの状況を見てクルルシファーはある事を思い出した。
セリスティアだけの技を。
「そうよ、セリス姉さま一人で行える同時攻撃『重撃』よ」
推進装置が壊されたリーズシャルテを見てサニアは薄く笑った。
如何にどれだけ強くとも多方向からの同時攻撃に対応できる人間ともなれば
それこそ片手で数えるくらいである。
そしてセリスティアは《リンドヴルム》の神装を使うことでこれを絶技として
体得したのだ。
「・・・貴方の負けです。」
そう言ってセリスティアはクルルシファーの方に目標を変えると・・・。
「・・・それはどうかな!?」
その瞬間にリーズシャルテは《ティアマト》で《リンドヴルム》を背後から組み付いた。
そして・・・。
「神の名の下にひれ伏せ、《スプレッシャー》!」
そして二機とも地面に落下した。
「くう!?」
セリスティアは地面に不時着しないようにするために推進装置を最大にして
何とか着陸したがそれでも巨大な土埃が舞った。
「・・・重力制御、成程。先ほど私に組み付いたのはそれで重さをなくしたの
ですね。」
「ああそうだ!これで貴様の神装も使えないだろう!?」
「!!」
「何せお前の神装は『自分以外を移動できない』という制約があるからな!
だからこうやってお前を拘束して!!」
「・・・私が貴方を仕留めるって寸法よ。」
リーズシャルテの説明の後に上空からクルルシファーの声が聞こえた。
クルルシファーは既にそれに備えていた。
サニアから無理やり脱出してまでこの時を待ったのだ。
ルクスの教えにより近接戦も幾つか体得していたクルルシファーは
中型のブレードをセリスティア目掛けて最高速度で向かった。
「「(勝った!!)」」
そう思っていた二人だが・・・そう甘くはない。
バシィイと言う音とともに・・・3機は雷に包まれた。
「うがあああ!」
「!!!目が!」
リーズシャルテは悲鳴を上げてクルルシファーはその光に目が眩むが・・・
「クルルシファー!ここだああ!!」
「!!」
リーズシャルテの大声と同時にクルルシファーは攻撃を再開した。
雷によって激痛があるにも関わらずリーズシャルテはセリスティアを離して
いなかった。
クルルシファーは声を頼りに突貫するがセリスティアは・・・
あれを起動させた。
「《星光爆破(スターライト・ゼロ)》」
肩に連結されていた方針が唸りを上げて光弾を発射した。
「!!???」
クルルシファーは何があるのか分からなかったが《オートシェルド》を前面に
配置させるが・・・。
ドウッという巨大な音と爆風がアリーナ一面を襲った。
「「「「「きゃあああああああああ!!!!!」」」」」
女生徒たちはそれに悲鳴を上げた。
「うおわ!!」
「これは・・・!!」
透流とクランリーゼはそれを見て驚いている中ルクスはアリーナの方を
見つめていた。
「リーズシャルテ様!クルルシファーさん・・・!!」
《スターライト・ゼロ》は極限にまで圧縮した『星』と言う光弾を発射して
数秒後にそこを中心にアリーナを丸々一つ分の空間を爆撃する殲滅兵器である。
「セリス姉さまが本気って・・・・大丈夫なの!?あの二年!!??」
サニアはそう言いながらクルルシファーを探していた。
流石にあれだけの爆発だ、まさかとは思いたくはないが死んでいたらと思って
アリーナの隅近くを目視で探そうとすると・・・。
「アアアアアアアア!!」
「!!まさか!!??」
セリスティアはその声を聴いて驚く中で・・・土煙の中からクルルシファーが
出てきた。
既に《ファフニール》はブレードを持っていた右腕が消滅しており、
翼部にも損傷があったのだがクルルシファーは残った左腕にあるものを
セリスティアは見つけた。
それは・・・。
「まさか《ティアマト》の《レギオン》!?」
セリスティアはそれを見て驚いていたがクルルシファーは左腕を構えて
こう言った。
「覚悟しなさい!学園最強!!」
「私が教わった最弱からの心構えは・・・」
そして左腕に力を込めて・・・
「ちょっとばかり響くわよ!!」
「がはあ・・・!!」
この時初めて・・・セリスティアに一撃を与えることが出来た。
腹部に一撃を与えたクルルシファーは倒れながらこう言った。
「後は・・・頼むわよ。ルクス君。」
そして《ファフニール》は強制解除された。
さらにリーズシャルテはセリスティアにこう言った。
「・・・お前さ、何で・・・ルクスに・・・敵視するか・・・分からないでも・・・ないが・・・あいつは・・・ほかの連中とは違う。」
「それだけ・・・は・・・よく・・・覚えとけ」
そう言い残して《ティアマト》も矯正解除された。
「二年生グループ!戦闘不能!!三年生『セリスティア・サニア』ペアの勝利とする!!」
ライグリィ教官の一声で決着がついた。
最弱から学んだものは・・・諦めない心です。