ルクスが向かった場所は商業地区から歩いて5分弱ほど離れた場所。
町のはずれに位置する細道を歩き続けた先にそこはあった。
周囲を背の低い広葉樹に囲まれており、青々とした芝生の絨毯が敷かれた
その場所はまるで草木で作られた小部屋のようであった。
中には小さな花壇もあり、穏やかな日の光を浴びて咲いている花を
優しく照らしている。
側には作りかけであろう縁石や彫像などもあり幾つかだが小さな人形が
彫られているものもあった。
「・・・まさかクロスフィードの中にこんな場所があったなんて。」
セリスティアは周りを見回してそう言うとルクスはこう答えた。
「ここは、ある貴族の方が、別荘を作る予定だったんですけれど、工事の途中で
雇い主さんが夜逃げしたらしく中止されちゃったんです。
今も売りに出されてますけど位置がこう言うところですし、中途半端に扱いが
悪いので今でも放置されてるらしいですよ。(ま、僕がよくここに来て
息抜きしたり、色々と作ったものを置いたり野宿したりしてるんだけどね。)」
ルクスはそう下を出しながら思っていた。
花壇の花は花屋の雑用で余った花や野菜の種を植えたりし、
彫刻等はルクスが向こうで見たデュエル・モンスターで今まで見たモンスターを
彫刻で再現しているのだ。
ここを見つけたのは2年前でありちょくちょく来る場所であった。
するとセリスティアはバスケットを取り出してこう言った。
「気に入りました。お昼を作ってもらいましたから、一緒に食べましょう。」
「じ・・・実は私も持ってきたので一緒にどうでしょう?」
そう言って自身も小さなバスケットを取り出した。
「分かりました。一緒に食べましょう。メラグ」
そしてお互い中身を分け合った。
セリスティアはサンドイッチ
ルクスの方はデザートと小分けにしたサラダ類。
女の子に変装するため大人し目なものにしようとルクスが今朝方
作ったやつである。
それを食べている中セリスティアはルクスに向けてこう言った。
「美味しいですね、このサラダ。サンドイッチによく合いますしそれに何よりも色合いが素晴らしいです。」
それを聞いてルクスはこう答えた。
「良かったです。早起きして作った甲斐がありました。」
そう言ってしまったのだ。
「・・・え」
セリスティアはルクスに向けてある事を聞いた。
「作ったって・・・これをメラグが?」
「はい、そうですよ。」
「・・・全部ですか??」
「はい・・・」
そう言った後セリスティアは・・・項垂れながらこう言った。
「・・・先輩の私よりも美味しい・・・失格です私は。」
「・・・またかよ。」
ルクスはまたかと思いながらセリスティアに向けてこう言った。
「セリスティア先輩。まだまだありますので・・・タベテクダサイネ。」
「・・・・ハイ(´;ω;`)」
まあこういうこともありましたが取り合えず食事を摂っていた二人であった。
「それにしても本当にいい場所ですね。ここは」
「そうでしょう。(やっと機嫌が直ったな。)」
あの後も幾つか励ましたりしながらやっとのこさであった。
この時にルクスが思ったことは・・・。
「(もしかしてこの人ただ単に天然なのか?)」
こういうことであった。
「それにしても良すぎて少し眠くなってしまいそうですが。」
「遠慮しないでください。今日は休息日で今頃他の生徒たちは起きたぐらい
でしょうしそれに・・・前回の戦いのダメージが残ってるのではないですか?」
そう聞くとセリスティア静かにこう呟いた。
「そうですか。貴方も、見ていたのですね。」
そして微笑みながらこう言った。
「後輩の子に見抜かれるようでは、私も未熟ですね。」
そう言うとルクスはこう返した。
「良いじゃないですか。未熟で。」
「へ?」
そしてルクスは驚いているセリスティアを見ながらこう続けた。
「だってそうじゃないですか?未熟と言う事はまだ成長するって
意味じゃないですか。私達は未だ世界の全てを知っていないし、見てもいない。
それだったら未熟でも構わないから前を見て進みませんといけませんよ。」
それにとルクスはセリスティアを見てこう続けた。
「セリスティア先輩は幾ら強くても女の子ですし、ちゃんと体を休めて
次に備えないと。相手に失礼ですよ。」
相手は全力何ですからねと言うと目を丸くしたセリスティアはルクスを見つめてこう言った。
「確かにそうですが・・・それは拒否します。」
「ありゃ。」
ルクスはずっこけそうになったが体勢を直してこう聞いた。
「ええ・・・何故ですか?」
そう聞くとセリスティアはルクスに対してこう言った。
「私は未だ気を緩めるわけにはいきませんし『シヴァレス』の団長でもある私が弱気を見せたら他の団員の士気を下げることになりかねません。」
そしてセリスティアは自信に満ちた笑みを浮かべさせてこう言った。
「良いですか、メラグ。強者とは、絶対の孤独に耐えうる者の事を言うのです。だから私は平気です。」
「セリスティア先輩・・・。」
ルクスはセリスティアの騎士団長として、そして四大貴族の長女としての覚悟の様を見て心を打たれ・・・・。
「ニャー。」
側に猫が通り過ぎるのを見てはっ!と思い出した。
そう・・・最初のあの出会いを・・・・。
「いやいや、ちょっと待って下さい!貴方この前に野良猫に思いっきり
愚痴零してた挙句に逃げられて待ったをかけようとしてませんでした!!?」
ルクスは反射的にそうツッコミを入れるとセリスティアは
いつもの超然とした雰囲気がふっと消えた代わりに焦りと恥ずかしさの顔になってこう言った。
「ま、未だ覚えていたのですか!?」
「あんな光景そんなに早く忘れるなんて出来ませんよ!!」
「ち、違います!あれは只の独り言です!けして皆さんと長い間王都にいたから寂しさが込み上げて猫に話しかけたとかそういう訳ではありません!!!」
セリスティアの言葉を聞いたルクスは呆れながらこう言った。
「もう喋らないほうが良いですよセリスティア先輩。このままじゃ
クランリーゼさんの言うように『残姉さん』で統一されかねませんよ。」
っていうか本当に残念な人だなあとルクスは思っていたがこうも思っていた。
「(アブねえ!!危うくこの人のカリスマ性に引き込まれる所
だったぜエエ!!)」
ルクスは額の汗を拭うかのようにそう思っていた。
これが洗脳なのかもしれないなと思いながら。
「それに・・・。」
「?」
セリスティアが何か言いたげそうなのでルクスは何だと思って聞いていた。
「何故か王都では、私が軍の男性を怒って手酷く痛めつけたことになって
しまいましたし、憂鬱です。」
「(・・・ああ、あいつらの事か。)」
ルクスは心の中で彼らを思い出していた。
クルルシファーの依頼中に来た軍の人間がその時の憂さ晴らしも兼ねて
来たことを。
・・・まあルクスが三人ともぼっこぼこにした挙句にそいつらは監獄に送られてアビスの餌になっちゃったけどね。
「(あいつらアンタのせいでああなったのか・・・・じゃあ僕が校外対抗戦に
強制出場される原因も・・・アンタって事じゃねえか(*´Д`*)!!)」
ルクスは心の中でお前のせいかよと大声を上げそうになりながら
そう思っていた。
そして校内選抜戦で当たった時は徹底的に戦ってやろうじゃねえかと
心に誓っていた。
然しセリスティアはこう続けた。
「ちょっと、力加減を間違えてしまっただけなのに、何故あんなことに
なってしまったのでしょうか・・・」
がっくりと項垂れるセリスティアを見たルクスはこう確信した。
「(ああこの人は・・・天然で不器用な寂しがり屋なのか。)」
ルクスはそう思いながらセリスティアを慰めようとしていた。
ルクス「・・・誰だよ。こんな不器用人間を団長に推挙させた酔狂な人間は?」