「ルクスさん・・・。」
リーズシャルテが本気を出したことによりノクトは観客席で心配そうに
見守っていた。
「ちょ、ちょっとあれはもう無理にもほどがあるよ!私先生に言って
止めさせてくるよ!!でないとあの子殺されちゃうよ!!」
ティルファーは慌てた様子で席から離れようとした。
「まさかこんなことになってしまうとはなー・・・ルクス君済まない。」
青髪の少女シャリスは父親が新王国軍の副指令を務めておる元からある正義感と
父親の影響で上記の二人と一緒に学園の自警係に進んで名乗り上げる程なのだ。
新王国が設立してまだ五年足らずなので男尊女卑の風習が残っているため
女性の厚遇などに反発して暴動を起こす人間や学園に時々現れる男性の犯罪者から
生徒たちを守っていたのだが今回の騒動で機竜を使ってルクスを捕らえようとしたため事が大きくなり三人が女子寮を破壊した件は始末書と二週間の寮掃除が課せられた。
シャリスが自己嫌悪に陥っているなかノクトの隣にいるアイリがこう言った。
「シャリス先輩、今回の騒動は兄さんの半端な正義感が端を発した事ですよ。あの人繊細そうですがお人好しの単純馬鹿な人ですからいい薬ですよ。」
「いや然し今回は私たちが彼の事情を聴かなかったことが原因でもあるし・・・。」
シャリスは暗い面持ちでそう言うとアイリはルクスの方を見てこう言った。
「でもそんな兄さんでも私も認める良いところがあるんですが
何なんだと思います?」
「それは何だい?」
アイリの言葉にシャリスは聞き返したところこう返した。
「一度決めたことは何がなんでもやり遂げる兄さん流に言えば『かっとビング!!』だそうですよ。」
「かっとビング・・・。」
一方ルクスの方はと言うと計十六機の≪レギオン≫を相手に・・・紙一重で躱して対応していた。
「これが『最弱無敗』か・・・。」
リーズシャルテはルクスに対する攻撃に対して焦りが露になってきた。
ルクスは≪レギオン≫の攻撃をブレードでいなしたり楯で防御し時にはダガーや
ワイヤーテールを使いここぞというときには楯に内蔵されている機竜息銃を使って
応戦したりと倒すイメージが浮かばなくなっていたのだ。
然も彼女が焦るのにはもう一つの理由があった。
「もう五分か・・・。」
リーズシャルテは≪ティアマト≫を全力で使えるのは八分が限界なのである。
神装機竜は汎用機竜よりも体力を使うため並外れた集中力を欲するのだ。
「リーズシャルテ様っ!!」
観客席から声が聞こえたのでルクスの方を見るとルクスがダガーを
投擲した所であった。
回避が間に合わないと悟ったリーズシャルテはソード・デバイスをダガーに向けて
振るとダガーが軌道を変えて地面にへと落ちたのだ。
「何で!??」
ルクスがその現象を不審に思った瞬間リーズシャルテはルクスにこう言った。
「まさかここまで追い詰めるとはな『最弱無敗』!!こうなったら・・・
奥の手を出そう!!」
「奥の手!??」
そしてリーズシャルテは高らかにこう言った。
「神の名の下にひれ伏せ!≪天声(スプレッシャー)≫!」
するとさっき迄飛んでいた≪フォース・トリニクス≫が地面に足から落ちると足場ごと沈み始めた。
「これはー!!??」
≪フォース・トリニクス≫からある情報が出た。それは・・・
〈重力異常有り!!〉というアラートであった。
「重力異常って≪ティアマト≫の能力は・・・だからダガーが落ちたのか。」
更にアラートが鳴りそれを見ると〈敵機陣形を作って囲っている模様!!〉と出た。
≪レギオン≫がルクスの周りを囲むとリーズシャルテは≪セブンスヘッド≫をルクスに照準を合わせようとしたとき・・・≪ティアマト≫がぐらりと傾くと周りの
≪レギオン≫も震え始めたのだ。
「くそ!!こんな時に!!」
如何やらリーズシャルテも予想外の展開のようだがルクスはそれがなんなのか
理解した。
「(不味い!あれは暴走の前兆!!何か起こる前に決着をつけるしかない!!!)」
機竜の操作は自分の手足の力加減で動かす肉体操作かソード・デバイスを用いた
精神操作の二種類に分かれておりこれらを使い分けて操作するのだが極度の疲労や心身諸々に負担が大きいと機竜が暴走するケースが多々あるのだ。
ルクスはいつの間にか重力異常が解かれていたため推進力を最大にして飛翔した。
「こんなところで・・・。」
リーズシャルテはソード・デバイスを振ると≪レギオン≫の操作を切って残った全てを≪セブンスヘッド≫に集中させるとリーズシャルテは大声でこう言った。
「私が負けるか嗚呼ああ!!!」
≪ティアマト≫の制御が元に戻るとリーズシャルテは斬りかかる寸前のルクスに狙いを定めると・・・上空でナニカが聞こえた。
「ギイイイイイイイェエエエエエエアアアアアアアア!!!」
二人がその方向を見ると黒い物体が見えた。
それは人ならざるものにして〈ルイン〉が発見された時から出没する
人類の天敵「幻神獣(アビス)」であった。
次回は対アビス。