「危なかったなあ。」
ルクスはセリスティアを助けた後《リンドヴルム》の神装《ディバインゲート》を使って『ラグナレク』の死角となっている出入り口の一角にセリスティアを
下ろした。
この時点でセリスティアの《リンドヴルム》は機体のエネルギーを取り戻した事で機体が万全の状態となったのだが当の本人はと言うと・・・・。
「・・・ごめんなさい。ごめんなさい。・・・・ゴメンナサイ・・・」
ずっとこの状態であった。
サニアが言った恐らく真実であろう言葉を聞いて心が折れてしまったようだ。
その証拠にその瞳の色は光がなくなり虚ろになっていた。
するとセリスティアは誰かに言っているのか分からないがこう言った。
「私・・・言い出せません・・・でした・・・。ウェイド先生の・・・・貴方の・・・お祖父さんの・・・こと」
「?」
ルクスはセリスティアの言葉を聞いて何だと思っていた。
「幼かった私は・・・偶然・・・ラルグリス家で・・・・聞いたんです。・・・
旧帝国の・・・・悪い話を・・・・。あの当時・・・・私は・・・・
深く考えずに・・・ただ・・・正しいことをと・・・・思って」
「そしてウェイドお祖父さんに話したってところか。」
はいとセリスティアは消え入りそうな声でそう言うとこう続けた。
「そして・・・後はサニアが・・・・話した・・・通りです。」
「旧帝国で行われた逮捕や処刑は追放された場所で噂交じりで聞いていたけど
まさかそう言う絡繰りだったとはな。」
ルクスはそう言いながら頭を掻いていた。
祖父は宮廷で何度かあったこともあるがどちらかと言えば厳しくも優しい
教師の鏡のような存在であったことを覚えていた。
「最後に・・・先生は・・・こう言って・・・くれたんです。」
「何て?」
ルクスは何だと思って耳を傾けるとセリスティアは小さな声でこう言った。
「・・・『お前は間違ってないよ』・・・と」
それを聞いたルクスはそう言う事だなと確信した。
「(多分ウェイドお祖父さんはセリスティア先輩がこの国を憂い、
思ってくれたんだなって確信したんだろうな。)」
だからこそそう言ったのだなと思っているがセリスティアはこう続けた。
「私は・・・それ以来・・・・ずっと思ってました。・・・私の・・・
せいで・・・ウェイド先生が・・・死んで・・・しまった・・・だから、・・・
私が・・・代わりに・・・正しく・・・なきゃって・・・思ったんです。・・・
新王国に・・・なって皆を守っって・・・貴方を・・・危険から・・・
遠ざけるって・・・それが私が・・・やらなければ・・・いけない事って・・・ずっと・・・そう思っていた・・・・なのに!」
突如セリスティアが大声を上げて叫びながらこう言った。
「なのに何も出来なかった!騙されていることに気づかず!!皆の信頼を
裏切って!!!貴方も巻き込んだどころか私は取り返しのつかない事を
してしまった!!!」
「そいつはあのクソ親父のせいであってアンタの」
「イイエ違います!!私がもっと旧帝国の惨状を理解しておけばウェイド先生は死なずに済んだかもしれないしアディスマータ伯も死ななかったかも
しれない!!!貴方達兄妹が母親を失わずに済んだかもしれない!!!
サニアの御両親も他の人達もみんなみんな死なずに済んだかもしれない!!!」
そしてセリスティアはルクスの方を見るとこう言った。
「私は!!・・・この世にいてはいけなかったのです。」
「・・・・・・」
ルクスは今のセリスティアを見て最悪な展開だと思っていた。
今のセリスティアは嘗てのリーズシャルテと同じようにやったとしても
逆効果だと思っているからだ。
するとセリスティアはルクスを見て自身のソードデバイスを差し出すとルクスに向けてこう言った。
「ルクス・・・それで私を・・・殺してください」
「・・・セリスティア先輩・・・」
「私はこの世にいてはいけなかったんです・・・ですから貴方の手で・・・私を終わらしてください。」
そしてセリスティアは装衣に触れながらこう言った。
「それでも駄目ならこの体を好きに犯しても構いません。」
「だから私を・・・こんな血で染まり切った私自身を・・・
終わらしてください。」
セリスティアはそう言って目を瞑るとルクスはセリスティアにある事を聞いた。
それは・・・。
「アンタ、もしかして『ラグナレク』相手に一人で戦う理由はそう言う事か?」
死ぬためにとと聞くとセリスティアはこう返した。
「はい・・・それしか私が償える方法がm」
セリスティアが言い終える前にルクスはいきなりセリスティアの顔を
ぶち殴った。
「・・・かはあ」
セリスティアはそのまま倒れるとルクスは大声でこう言った。
「阿保言うんじゃねえよ!このアホンダラが----!!!」
そしてルクスはセリスティアの胸倉掴んでこう言った。
「ふざけんじゃねえぞアンタは!!」
「死んで償うっつうのはな、只の逃げ口実なんだよ!!」
「良いか!確かにアンタは多くの人間の人生を狂わした!!
それは真実だ!!」
「けどな!正しくなかったから死んでお詫びするって言うのが
ウェイドお祖父さんが喜ぶ事だって何でそう思うんだ!!ええ!!」
「だって・・・私がウェイド先生を・・・他にも多くの人達を苦しめて」
「ふざけんな!!ウェイドお祖父さんが何で『お前は間違ってないよ』
何て言ったのか分かるか!?」
「それはな!アンタがこの国を思ってくれているって分かって安心していたからなんだよ!!」
「それをアンタは『私はこの世にいてはいけなかったんです』って
悲劇のヒロインぶってんじゃねえぞ!!」
「私は・・・そんなこと」
「思ってねえなって言わせねえぞ!結局アンタは死ぬことで全ての責任から
逃れようとしているだけなんだよ!!」
「でしたら・・・でしたら私は如何やって償えばよろしいんですか!?」
「サニアや他の人達の人生を壊した私がおめおめと生きろと言うんですか!?」
セリスティアの言葉を聞いてルクスはこう返した。
「ああそうだ!!アンタはウェイドお祖父さんやサニアの御両親、
そしてアンタが間接的に殺した奴らの分まで悩んで!怒って!!泣いて!!!
笑って!!!!ウェイドお祖父さんが作りたかった世界をアンタの命をもって
完成させるんだ!!!それがアンタがやるべき贖罪だ!!!!!」
ルクスはそう言ってセリスティアの胸倉を離した後『ギャラクシーアイズ』の
中に隠していた布切れから・・・黒いソードデバイスを出した。
「それは・・・メラグの。」
するとルクスはそのソードデバイスを抜いてこう言った。
「僕はね、ある人を知っているんだ。」
「?」
「自分の大切な息子の為に友達を殺そうとした奴を。」
「・・・・・」
「そいつはある奴と取引してそいつのいる世界を滅ぼす代わりに
救ってやるって言ったんだ。」
「そしてその友達の内一人は怒りと絶望から復讐を誓って闇に魂を売った。」
「だけど・・・もう一人は違ったんだ。」
「・・・え?」
「その人にも息子がいてね、自分も同じ立場ならやっていたかもしれないって笑って言ってたそうなんだ。」
「・・・そんなことを」
セリスティアはその人間を聞いて旧帝国にはいない人間だと思っていた。
恐らくその人間も自分がと罪悪感が積もるがルクスはこう続けた。
「だけど・・・僕にとって弟分なんだけど、そいつが復讐を誓った奴の心を
救ったんだ。」
「そして自分の父親を手にかけた奴も許したんだ。」
「!!・・・自分の父親を・・・・何故」
「そいつもさ、心のどこかで罪悪感があったらしくてな。自分も死のうと
考えてたんだ。」
「だけど復讐心を持った方は彼を最終的に許して救ったんだ・・・自分の身を
投げうってね。」
「だから・・・あんた自身が自分を許せないならそれでいいが・・・死のうとか考えるな!生きてその人たちの分まで未来を作ろうと考えろ!!!」
そしてルクスはボタンを押してこう詠唱した。
「--顕現せよ、神々の血肉を喰らいし暴竜。黒雲の天を絶て、
《バハムート》!」
直後淡い光を発したその時、・・・少し離れたルクスの部屋でそれは起きた。
ルクスが使っているデュエル・ディスクから一枚のカードが光り輝いた。
そして淡い光が一帯を包んだ。
ールクス君・・・・ルクス君。
「・・・誰」
ー全くまた無茶をするって言うより結構荒療治をしたのね。
「まあ・・・アアしなけりゃセリスティア先輩自殺しそうだしね。」
ハハハとルクスが笑うとこう聞いた。
「力を貸してくれるのかい?」
ルクスはそう聞くと何処からか声が聞こえた。
-当り前よ。言ったじゃない?今度は一緒にって
それを聞いたルクスは笑顔でこう言った。
「ああ・・・今度は一緒に戦おう。」
そして光が消えていく中ある人間が見えた。
その人間は・・・。
「『璃緒』」
-ええ、・・・・一緒に。
そして二人の手が重なり合ったその時、光が一気にまた輝き始めた。
「-顕現せよ、神々を奉る令嬢を守護する暴竜。黒雲を断ち、天を突け、
《ラグナ・バハムート》!」
淡い光から現れた黒いドラグナイトは姿が変わり始めた。
赤いラインは青白い色となり、大剣は日本のブレードに。
腰の部分には赤い排熱版のようなフィンが8基装備された。
そしてその周りには何故だか分からないが氷が張り巡らされていた。
セリスティアの周りにはその氷があったが自身は凍り付いていなかった。
そしてそれを纏ったルクスはセリスティアを見てこう言った。
「僕さ、まあ確かに色んなことがあったけどアンタを恨んでないし、
アンタが不器用で弱虫でそれで・・・強くて、優しくて、ウェイドお祖父さんを
心の底から尊敬しているって分かったしさ。ここで見ていてくれ。
ウェイドお祖父さんを心の底から尊敬しているサニア先輩の心の闇を
斬り捨てて、・・・今度は皆で作ろう!ウェイドお祖父さんの作りたかった
世界をさ!!!」
そう言ってルクスは『ラグナレク』に向かうとこう思っていた。
「(ウェイドお祖父さん!見ててくれ!!アンタの孫の
『かっとビング』を!!)」
黒の竜は今・・・新たな姿で戦場に舞い戻った。
黒い暴竜は新たな力で空を舞う。