午後の訓練を終えた二日目の夜は殆どの人間が自由時間中に寝室に向かって
行ったがルクスと透流、クランリーゼは残って合宿所の後片付けをしていた。
「それで、フィルフィさんは大丈夫だったんですか?」
「うん、まあ軽い症状で済んでたから今は僕が用意した経口補水液を飲んで
休ましたよ。」
透流の言葉に対してルクスがそう答えるとクランリーゼがこう聞いた。
「でしたら、アイリさんが不機嫌だったのは何だったんでしょうか?」
そう聞くとルクスは・・・。
「フフフフフフ・・・」
「何かあったんですね。」
ルクスのハイライトが消えた目を見て察した。
「それじゃあ、また明日。」
「「おやすみなさい。ルクスさん。」」
透流とクランリーゼが出ていくルクスにそう言った後ルクスはフィルフィのいる
部屋にへと向かった。
「・・・レリィさんがいないか確認確認っと。」
ルクスは辺りを見回しながらそう言った後慎重にノックしてから部屋に入った。
「フィーちゃん。体は大丈夫?」
そう聞くとフィルフィは本を読みながらこう言った。
「うん。平気」
そう言ってもう一度本を読んでいる中ルクスは蜂蜜入りの紅茶をフィルフィの
ベッドのすぐ近くにある机に置いた。
「あ、ありがとう。」
フィルフィがそう言うとルクスはこう聞いた。
「フィーちゃん。さっきから何読んでんの?」
そう聞くとフィルフィはこう答えた。
「商業の本。取引の法律とか、お金の使い方とか投資とか商品についてとか色々。」
「へえ・・・そうなんだ・・・・ウイェイ!?」
フィルフィの言葉にルクスは驚いていた。
だがまあフィルフィの実家の事を考えたら呼んで当然だろう。
彼女の家は旧帝国時代から続く巨大な財閥で、幾つもの商家を束ね、
指揮している。
無論その中にはルクスが作っていた物を販売する事業所(新規事業)の
展開により新王国内ではトップランクの財閥となっている。
アイングラム財閥における潤沢な資金の運用法と商品の仕入れと原材料の把握、そして売買と言った事からそれらに関する法律の把握などは現在は
アイングラム公とレリィが中心になって行っているが次女でもある
フィルフィも行く行くは重要な役職に納まるだろう。
ともなれば学生のうちにこのように覚えておくことも大切であり当たり前の事であろうと思うのだがルクスは心の中でこう思っていた。
「(御免、フィーちゃん。・・・イメージすら出来ないよ。)」
どちらかと言えばお菓子屋さんでお菓子をつまみ食いしながら子供たちに
配るようなそういう印象だなあと思っていたのだ。
だが人は変わるものだ。
ルクスがフギルによって現実を理解し、璃緒に初めて恋したように時間の流れは子供を大人にするように変わっていくものだ。
ルクスは少し寂しいような感じでもあるが何かを言おうとしたその時に、
フィルフィがこう言った。
「・・・だっけ?この本」
「どしゃああああ!!」
あまりの言葉にズッコケてしまった。
「ルーちゃん。夜は静かにしないとだめ、だよ?」
「誰のせいだと思ってんの!?って言うか何で僕に聞くの!!?
君がよく読むんでしょ、その本!!」
ルクスはそうツッコミ入れながらフィルフィに聞くがフィルフィが言った
答えは・・・こうであった。
「うん。これ読んでると、よく眠れるから」
「先ず使い方が違エエエエエエ!!」
子供が読む絵本かよという位の勢いでそう言うがルクスはこう思っていた。
「(やっぱフィーちゃんは昔のままだ。)」
だがフィルフィはこう続けた。
「でも、もうすぐこう言う事も、決めないといけないから」
「ああ、進路のことかってけどその前に本読んで眠くならないことから
始めよう。」
ルクスはそう注意するがフィルフィは聞いていないのかこう言った。
「私ね・・・一応考えてるんだ。」
「フィーちゃん。人の話聞いてる?」
ルクスはそう言うがフィルフィはこう言った。
「お姉ちゃんからは、『私の護衛兼秘書になって欲しいの~~。』って
言ってた。」
「・・・秘書はさておいてだけど護衛なら確かに向いてそうだね。」
フィルフィの格闘技のセンスは前にレリィが催した企画ではっきり分かってるし神装機竜も持っているため正式な武官としての免許を取れば大丈夫であろう。
「ルーちゃんはさ、なにかやりたいこと、あるの?」
「僕・・・僕は」
そう言われてルクスはある事を思い出していた。
嘗てフィルフィと別れる際に発したあの言葉。
『必ず作るから!女の子のフィーちゃん達も安心していられる国を、
僕が作るから!この帝国を僕が絶対に変えて見せるから!!だから・・・』
だが結局果たすことが出来ずに国ごと滅ぼす道を選んだがそれすらも
フギルによって理想すら打ち砕かれたのだ。
ならルクスは何がしたいのか・・・何をどうしたいのか・・・何を・・・
『ルクス兄!!俺何時になるかわからないけど・・・いつか会いに行くから!!
その時またデュエルしようぜ!!』
その時ルクスが思い出したのはあの言葉。
遊馬が自分に言ったあの言葉。
何時か会えると信じて刻まれたあの言葉。
そしてルクスが発した言葉は・・・。
「僕は遊馬達とまた出会って皆と・・・この世界の皆と一緒に笑いあう事
かな。」
「遊馬ってルーちゃんが向こうでであった」
「うん。ちょっと無鉄砲な所はあるけど優しくて強くて・・・仲間思いな
僕の大切な弟分。皆にも紹介して、アイリにも逢わせて、また皆で楽しみたいって所かな。」
ルクスは笑いながらそう言っているとフィルフィは本を閉じてこう言った。
「そっか・・・それなら私はもう安心かな?」
「え・・・?」
フィルフィがそう言って微笑んでるのを見て何でだと思ってる中・・・・。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォオオォォォォン・・・・!
地鳴りが鳴り響いた。
次回は遺跡編です。