「ディスト公。少々宜しいでしょうか?」
「うん?」
ナルフ宰相はラフィ女王の言う通りにディストを呼び止めた後にある部屋にへと
向かわせた。
その部屋は質素であるがそれなりに良い部屋であった。
「申し訳ありませんディスト公。いきなりの呼び出しに」
「一体何事でありましょうか」
ディストはラフィ女王に早急に理由を聞こうとしていた。
するとラフィ女王はディストにある紙と用紙を出した。
「・・・それは?」
「これは現在の『ルクス・アーカディア』の立場が分かる書類であり、
特1級の機密書類として私自らが第0に保管しています。」
「!!特1級・・・然も第0となれば・・・」
ディストはその用紙の重要度に驚愕していた。
特1級は女王自らが国民どころかあらゆる人間にすら機密とする物であり、
第0はその中でも旧帝国時代から続く特務指令関係の書類しか
置いていない所であるのだが場所は分からず都市伝説として語り継がれている。
「一体これには何が」
「それは恐らく・・・この国だけではなく世界すら変える『パンドラの箱』」
ラフィ女王は後半独り言のようにそう言った。
侍女が予め出していた紅茶は既に冷めるころディストは用紙を置くが
その顔色は酷いものであった。
それはリーズシャルテが書き写した『パソコン』の中に記されている
機竜の設計図の一部であるが途中から口を手で覆い隠すほどであった。
「・・・どうです?」
ラフィ女王はディストにそう聞くがディストは慌ててこう言った。
「これは・・・・確かに明かせば世界がひっくり返るでは済まない物です。」
「そう、然もこれはほんの序の口。未だ『ルクス・アーカディア』は
これをも上回る情報を保有しています。」
「!!・・・何ですと。」
ディストはそれを聞いて驚いていた。
何故それを公表しないのかと思ったがそれはこの資料を見るにまさかと思った。
「今だ存在する旧帝国派に感じ取られないために・・・ですか?」
「・・・そうです。これを明らかにするとき・・・それは旧帝国派を完全に沈黙させた時です。」
「・・・・・」
これまでディストラフィ女王の事はリーズシャルテが女王になるまでの
繋ぎとしか見ていなかったがここ迄考えていることを見るに対応を変えようと
思っていた。
「これを私に見せたということは私が『ルクス・アーカディア』の安全が
確かだという保険でしょうか。」
「ええ、然しもしこれを第3者に明かせば・・・・貴方も無事では済まないかもしれません。」
「!!」
それは女王権限で自分を消すという意味だと分かった。
恐らくそれは他の貴族たちも同じであろうと思っていた。
それと同時にディストはルクスに対して幾ばくかの興味を持った。
「それでは今後もお互いに。」
「はい。」
そう言ってお互い別れた。
そして次の朝。
いつも通りの訓練メニューを仕上げた後に再び遺跡調査を行った。
「それじゃあ、今日もお願いねえ。」
レリィはそう言って自身を含んだメンバー編成を発表した。
ルクスはレリィとフィルフィ、ティルファー、クランリーゼの五人で
対応することとなった。
するとアイリが全員に向けてこう言った。
「皆さん。これは『ラ・クルシュ』から聞いた管理室エリアまでの
簡単な地図ですのでちゃんと覚えてくださいね。」
そう言って全員は8階に向かう途中で6階の居住ブロックにおいて
ラ・クルシュと出会った。
「皆さん!初めてのお方たちがいるようですがお久しぶりですよー。」
そう言ってラ・クルシュはそう言うとこう忠告した。
それではですが管理室の10階手前のフロアには生産エリアが存在していますが絶対に!!何もしないで下さいね。」
そう言うとラ・クルシュは道案内を始めた。
そして9階について辺りを見回すも何もなかったのでそのまま進むと
5つのルートがあった。
頑強な扉で塞がれたメインの中央ルートと細い回廊で構成されている
4つのルート。
ルクス達はどうしようかと思っているとノクトが警告を出してこう言った。
[皆様気を付けて下さい!この先に『アビス』らしき反応があります!!
それも・・・かなり大量」
「「「!!!」」」
全員はそれを聞いて驚いた。
アビスが計測不可能なほど存在する。
それだけで最早恐怖でしかないからだ。
するとノクトはこう続けた。
「ですが動いていませんし生命反応も微弱なんですけど。」
「( ,,`・ω・´)ンンン?・・・つまりそれって・・・大丈夫って事?」
ティルファーは国を傾げてそう言うがルクスはこう続けた。
「それでも万が一って事があるから・・・皆気を付けて。」
そう言って進むとノクトが竜声でこう言った。
[皆さん。そろそろ中央大通りの側を通りますのでアビスが目覚めた時に備えて準備してください。」
ノクトの忠告を聞いて全員機竜を纏った。
そしてそのまま進んで見えた光景は・・・・。
「何・・・これ」
ティルファーは口を( ゚д゚)ポカーンと開けてそう言うとルクスは
ここが何なのかすぐに分かった。
「ここってまるで・・・生物の研究所みたいだな。」
そう言うが強ちそうであろうと思う。
白で統一された廊下
右側には強化ガラスのようなもので中央ルートが見下ろせるようになっていた。
するとティルファーは顔を真っ青にして指さした。
「・・・ねえ、ルクッチ・・・あれってもしかして」
「!!・・・多分そうだと思うよ。」
その向こうに広がっているのは巨大なカプセルの中で未だ鼓動を鳴らして
眠っている・・・数百をも超えるアビスが確認された。
もしこれが一斉に目覚めればと考えると・・・。
「最悪・・・リエス島は崩壊。王都も只じゃ済まないだろうね。」
そう言うしかない程の戦力であった。
「生産エリアって機竜じゃなくて・・・アビスって事?」
ティルファーが引き攣りながらそう言うとレリィは頷いてこう言った。
「そうね。これは推測の領域だったんだけど、元々アビスは遺跡のどこから
現れるのか分かってなかったのよ。1説によれば遺跡の内部か周辺の何処かで
生息してるって言う噂があったんだけどまさか・・・
こんな所で生産されていたなんて。」
「じゃあ、あれ全部生きてるって事じゃないですか!!止めてくださいよ
理事長!!」
ティルファーはレリィの言葉を聞いて震えあがるとレリィは前を向いて
こう言った。
「それだったら猶更急いでここから抜けましょう。」
そう言って全員は知ろうとすると・・・フィルフィがこう言った。
「待って」
「?・・・フィーちゃん」
するとフィルフィは天井に顔を向けるとこう言った。
「何か・・・来る」
その瞬間・・・。
ガシィイイイイイン!!と言う金属音が聞こえた。
それと同時に青白く回廊を照らしていた灯火が瞬時に赤色に点滅した。
「ふぇええ!何々!!??」
「これってまさか!!」
ティルファーは何事だと驚いているとルクスはこれが何なのかが分かった。
すると今度は・・・大きな音が鳴り響いた。
ウーーン!!ウーーン!!
「この音は一体!!」
「間違いない!これは緊急警戒の状況だ!!」
ノクトはこの音が何なのかと思っている中ルクスはこれなんだと思っていた。
然し・・・それだけでは終わらなかった。
「グオオォォォォオオォォォォン!!」
突如重低音が回廊に鳴り響いた。
この漢字は恐らくアビスで大型タイプ。
回廊の向こうから発する殺気にフィルフィは『テュポーン』の拳を前にして
構えるとこう言った。
「気を付けて・・・来るよ。」
「グルガアアアアアアア!!」
「!!つう・・・・」
突如高速で現れたそれはティルファーの《ワイアーム》のハルバード毎
突進した後にもう一度向かおうとすると・・・。
「やらせるかよ!!」
ルクスはそれをブレードで受け止めてその姿を確認した。
そこにいたのは・・・一軒家を軽く超える巨体。
黒に近い紫の毛色。
尖った目と鋭く殺気を纏った瞳。
口内にびっしりと生えたナイフの如き牙
そして・・・二つの犬の顔をした背中に七匹の毒蛇が生えた・・・
アビスであった。
次回は新種のアビスとの戦闘です。