最弱無敗の決闘機竜   作:caose

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 それを聞いたら後戻りできないよ。


アイリの聞きし悪意。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・どうにか・・・倒せたな。」

 「取敢えず・・・この場は・・・収まったようね。」

 リーズシャルテとクルルシファーは息切れしながらそう言っていた。

 原因はこの『オルトロス』である。

 何せ力があるだけではなく早く、知恵も働くことから厄介であった。

 セリスティアはラ・クルシュと一緒に10階に向けて準備していた。

 如何やら直通通路が敷けるとのラ・クルシュの情報があり現在その作業を

していた。

 最大の難所でもあるアビスの生産エリアを跳び越すという利点があるからだ。

 これで時間も節約できるし危険も少なるなると考えていた。

 「それにしても・・・ドバル候もそうだがレリィ学園長の計画を聞いて

どう思う?」

 「・・・どうって?」

 リーズシャルテの言葉にクルルシファーが反応するとリーズシャルテは

こう続けた。

 「先ずは遺跡の出現は・・・・予想通りだとしてアイリとレリィの同行に

フィルフィまでいるあたり・・・何かあると思わないか?」

 「確かにね・・・目的は何なのか?ってところね」

 リーズシャルテとクルルシファーはレリィの目的について話し合っていると竜声でノクトから通信が来た。

 [リーシャ様、クルルシファーさん。応答お願いします。ご無事でしょうか?]

 「ノクトか、皆は無事か?」

 リーズシャルテがそう聞くとノクトはこう答えた。

 [YES、無事辿り着いて甲板へと直通通路が開かれましたが・・・、

途中でアビス数体が出現し戦闘のさなかで崩落。アイリが逸れてしまいました。]

 「はああ!!未だアビスがいるようなこの状況でか!?」

 [ですのでご無事でしたら捜索の御協力をと・・・思いまして。]

 「分かった!今お前たちは9階にいるから・・・10階・・・管理室のあるフロアじゃないか!?」

 [YES、それと透流さんも逸れてしまって。]

 「ああもう、セットで迷うとは!!クルルシファーと探すからお前たちは今すぐ迎え!!」

 [了解です。]

 「・・・如何やら・・・大変なことになったわね。」

 了解とノクトとの通信を聞いたクルルシファーはとんでもないことが起きたなと思っていた。

 「クルルシファー!直ぐに向かうぞ!!」

 「ええ!!」

 二人はそのまま回廊を突っ切った。

 

 

 

 

 

 

 「う・・・・ん」

 アビスとの遭遇戦により9階の一部が崩壊し、アイリは一人で『アーク』の中を歩いていた。

 現在位置は恐らく10階のどこか。

 管理室のあるフロアがあるはずなのだがおそらくここは違うのであろう。

 然もこの騒動で幾つかの灯火が消えていることから数十メートル先が

真っ暗で何も見えなかった。

 怪我していないことだけが不幸中の幸いであるがこの暗さと寒さからある考えが過った。

 「兄さんは・・・無事でしょうか?」

 アイリは不安になると病弱だった時の状況になってしまうのだ。

 病弱だったころアイリは誰かに依存することでその恐怖を中和していた。

 無論今はそれはないが偶にそうなってしまう時がある。

 嘗てルクスが遊馬達のいる世界に飛ばされた時は精神的に厄介な状況であり、

レリィとラフィ女王がバックアップで対応してくれて心が落ち着いた後

二人の恩返しも兼ねて『アカデミー』では誰よりも勉学に勤しみ、

文官としてあらゆる知識を得たことから今では遺跡調査において文学関連なら

アイリ以上の存在となると新王国において何人もいないほどにまでになった。

 「はあ・・・兄さんも随分薄情ですね。体は寒いし暗くて分からないし・・・

早く迎えに・・・・何言ってるんでしょうね、私は」

 そうぶつくさと独り言を言っていた自分に恥ずかしさを感じたアイリは

冷静になろうと考えていた。

 大きな声を上げれば確かに誰かが来ると思うがその前にアビスがやってくる。

 そうなれば自分はおしまいだと思っていた。

 お守り代わりとして角笛は持っていたがこれは使いたくないと思っている。

 しばらく歩いている中小さな物音が聞こえた。

 「!」

 アイリは万が一を考えて角笛を吹く準備をした。

 クランリーゼから使い方を教わったため使えるようになったのだ。

 「・・・から、こんな事に」

 「(人の声?)」

 アイリは声を聴いて耳を澄ました。

 「まずい事になりました。これではアビスが外に出て、リエス島にまで被害が

出てしまいます。もし我あれが生産エリアの扉を破壊したことが原因であれば

新王国から国際協定違反として我々は」

 「分かっておらんなあ、何年儂の下で剣を振るっておるのだ?」

 如何やら『海竜騎士団』の騎士団長とドバル候が何やら話していた。

 「儂があそこを破壊するように指示したのはなあ。『シヴァレス』の雌どもを『アーク』から追い払い、旧時代の情報と秘宝を全て儂が手に入れられる

絶好の機会ではないか?それに・・・。」

 「あの連中は目障りだからな。あの女どもが後々軍に入り地位を手に入れれば益々男のドラグナイトの肩身が狭くなるからな。連中が死ぬか、

怪我の一つでもして大人しくなっていれば望むところであろう?」

 「それではリエス島にいる民間人は!?」

 「致し方ないであろう?それに民などそこら辺からまた来る。」

 「!!・・・・了解しました。」

 ドバル候の言葉に部隊長は口を真一文字にして黙った。

 彼自身も納得していないであろう。

 だが命令なら仕方がないと・・・諦めてしまった。

 「酷い話です。」

 アイリは小声でそう呟いた。

 単なる功を得ようとするのではなく『シヴァレス』の妨害するだけの

行為であったこと。

 その為なら民間人すら見捨てるという蛮行に糾弾したいところであるが

そんなことをすれば自分の身が危ないと悟ったのだ。

 「(ここは一度退いて皆さんと合流しなければ。)」

 アイリはそう思いながらそこから離れようとするが・・・

神様は酷いものであった。

 瓦礫に足が引っかかったのだ。

 「あ!」

 『!』

 全員はアイリの声を聴いてその場所に目を向けた後にドバル候は《ドレイク》を纏っているドラグナイトに指示を出した。

 「あそこに誰か居るぞ!確認せよ!!」

 そう言って確認して一人がこう言った。

 「出てこい!いるのは分かってる!」

 そう言ってアイリは仕方なく出てくるとドバル候はこう聞いた。

 「ほう。これはこれは・・・『アカデミー』の皆さんに同行していた、咎人の元皇女様ではありませんか?どうなされましたかな?ここで」

 「『シヴァレス』がアビスとの交戦に入り、危険を避けるために距離を

取りましたがもうじき戦闘が終わり、こちらに来る予定です。」

 アイリは平常心を保ちつつ嘘の情報を言った。

 正直に話せば自分は口封じで消されると考えたからだ。

 それを聞いたドバル候はさっきの人間に探索させた後にこう言った。

 「近くにはいませんが少し遠くに来てます。」

 「そうか、では消せ。」

 「え・・・?」

 アイリはドバル候の言葉に頭が真っ白になった。

 「待って下さい!未だ子供ですよ!!それに彼女の兄がどのような存在か

ドバル候はお知りのはずだ!?」

 部隊長はドバル候にそう意見した。

 ルクスの実力の高さは彼らにも届いておりもし何かすれば自分たちの命が

危険だと言うがドバル候はこう続けた。

 「ふん、あんなのでたらめであろうが。第一に障壁すらする抜けるほどの

攻撃などあるはずもなかろうが?おぬしが嫌というならお前たちがやれ。」

 そう言ってドバル候は他の部隊に命令した。

 全員一度は迷うがアイリの方を向くと・・・悲しむようにこう言った。

 「・・・すまない、悪く思わないでくれ」

 そう言って3機で囲んだ。

 最早逃げるどころか命乞いすらできないと思いアイリは・・・薄っすらと

涙を流しながら絞るような声でこう言った。

 「兄さん!・・・・」

 そう言って目をつぶったその時に・・・・上空から声が聞こえた。

 「止めろおおおおおおおお!!」

 『!!』

 「!兄さ」

 アイリはまさかかと思って上を見上げたその時に自身の目の前に何かが

降りてきた。

 そして砂煙が上がったと同時にそれはその3機に攻撃した。

 「「「どわあ!!」」」

 そして振り返った瞬間にそれはアイリを抱きしめてそこから脱出した。

 「大丈夫か!?」

 その声を聴いたアイリはある人間を思い出した。

 頑張り屋で・・・頼りないように見えて・・・実は仲間思い出努力家な彼を・

 「透流・・・さん?」

 「ああ」

 透流がそこにいた。




 そうだ・・・・あの時に私は・・・・心を開けたんだ。
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