10階から最深層までの道のりは・・・それほどでもなかった。
クリーム色の滑らかな階段を下りて行った先には厳重に閉ざされていた灰色の門が聳え立っていた。
「ここがそうなのね・・・。」
レリィは扉に触れながらそう呟くと奇妙な宝玉を見つけた。
「これかしら・・・。」
レリィはそう言いながら近づこうとすると・・・。
『・・・あ、そこの部屋には衝撃を加えないで欲しいのです。』
「「ウワア!!」」
突如ラ・クルシュの声が聞こえたのでルクスとリーズシャルテが驚くが
クルルシファーは落ち着きながらこう聞いた。
「ラ・クルシュ。これは貴方なの?」
するとラ・クルシュがこう答えた。
『はいマスター。今私は『アーク』に備えられている通信機器と監視装置を通じて連絡しているのです。そこを開けるには・・・・先ほど開けたと同じように貴方様がやってくれると入ることが出来るのです』
ラ・クルシュがそう言うとクルルシファーがこう聞いた。
「じゃあ・・・貴方はその方法を知っているのね。」
『はい、そうなのです。』
「・・・教えてくれないかしら?」
クルルシファーがそう言うと全員がごくりと息を呑んだ。
場所が分かればすぐにでも実行できる。
そう全員が思っていると・・・
「待って下さい!」
アイリが大声でそう言うと震える声で話し出した。
「今朝解読した古代文書・・・『ガーデン』ですがここには触れてはいけない
兵器の機動装置が眠っていると思われる記述がありました。詳しくはもう少し
解読しなければいけませんがもしこれが本当なら・・・。」
「それが起動して俺たち全員・・・・。」
「死にますね。」
『『!!』』
アイリの言葉に続いて透流とクランリーゼがそう言うと全員が驚いていた。
遺跡を作るほどの技術を持った旧時代の崩壊。
それがその兵器だとしたら自分たちだけでは対処できないと
分かっているからだ。
「・・・分かったわ。」
クルルシファーはアイリの言葉を聞いてこう答えた。
「態々『ラグナレク』なんて化け物を番人とするくらいだからそれだけ
厄介な物が存在してるって事よね。ここは王都に使者を出して、上層部に指示を
仰ぎましょ。管理室エリアにいるラ・クルシュから聞き出してそれを基に
各国と話し合わなければならないわ。」
「・・・・分かったわ。」
レリィはそう言って穏やかな表情でこう告げた。
「今の私たちだけではこのまま最深層に入るのは自殺行為だわ。」
そう言っているレリィの拳をルクスは見ていた。
ぎゅっと握りしめ・・・・血が滴り落ちていることが分かったのだ。
本当ならすぐにでも入りたいのだ。
あの中にもしかしたらと思って仕方がないのだ。
それはルクスも同じだ。
ヘイズが言っていた期間迄あと1日。
もし開けなければフィルフィは・・・・死ぬと言う事を。
然し今ここで明かしても全員に混乱を招くだけ。
然も何処かで監視しているであろうあの人間の存在も気がかりで仕方ないのだ。
もし打ち明けたとしてその監視者がヘイズに報告すれば元の木阿弥である。
そしてレリィはこう続けた。
「ラ・クルシュの記憶の補完が終わる明日にまた再開しましょ。」
『はい!』
全員がそう言って返事したとに外にへと向かった。
するとルクスは懐から包帯を取り出すとレリィの手に誰も見つからない様に
巻いていた。
「・・・自分一人だけで何もかも背負おうと何て思わないで下さいね。」
「・・・ゴメンナサイ。」
するとレリィはそう言ってすすり泣き始めた。
もうこのままじゃと思っているのであろう。
心が折れ始めていた。
レリィの泣き顔を見ながらルクスは落ち着かせようと思っていた。
全員が戻った時にはもうへとへとであった。
夕食を摂った後、軽く汗を流してから寝室にへと向かって行った。
ルクスとクランリーゼは片づけを終えた後に寝室に戻って見ると・・・・。
「・・・・・・何だコレ」
そこに映っていたのは・・・・。
「くー。」
「むにゃあ。」
透流のベッドで一緒に寝ているアイリがそこにいた。
「大胆ですね。もしかしたら既に合体済みかと」
「・・・・・・・」ゴゴゴゴゴォォォォ
クランリーゼの言葉を聞いてルクスは頭に雷が落ちるような感じをした後に
透流を見て・・・拳骨を落とした。
「いだああ!」
透流を何事だと思っていると目の前にいたのは・・・・。
「やあ、おはようトオル。」
ハイライトの無い瞳でそう言うルクスであった。
「・・・・おはよう・・・・ございます。」
「ん・・・何事ですか?」
すると透流の隣で寝ていたアイリも起きると・・・少しして現状をはっきりと
理解した。
「!!!!!!!////////////」
突如アイリの顔が真っ赤に染まって慌ててこう言った。
「ちちちちち、違いますよ兄さん!別に色々と怖かったから今日は一緒に
何か話しませんかと言ってそのまま寝落ちしただけで別に厭らしい事なんて何もやってませんから!!!!!」
早口でそういうアイリを見てルクスは透流の方を見ると・・・・。
「!!!!!!」コクコクコクコク
そして暫くして・・・。
「うん信じるよ。」
ルクスは満面の笑みを浮かべて透流に謝りながらも・・・耳元でこう囁いた。
「もしアイリに手を出したら・・・・コロスヨ。」
「ハイイイイイイイ!!」
透流はマジだと分かり恐怖した。
ルクスは何だかなあと思いながらベッドに入ろうとすると・・・・。
「!!!!!!」
怖気が走った。
「兄さん?」
「ルクスさん?」
「どうしましたルクスさん?」
アイリ、透流、クランリーゼがそう聞くとルクスは全員に向けてこう言った。
「ちょっと外見てくるけど絶対に出ないでよ!!」
そう言ってルクスは裏口から出て草藪を突っ切り、開けた場所にへと出ると
そこに誰かがいた。
豪奢なマントを身に纏い、銀髪とぎらついた灰色の目。
正しくその男こそ・・・ルクスが探していた男であった。
自分の理解者にして・・・・父親を殺した男。
すると男はルクスを見てこう言った。
「久しぶりだな賢弟。理想の戦いに殉じて敗れ・・・・這い上がった最弱にして最速の英雄よ。」
「・・・久しぶりだなあ・・・『フギル・アーカディア』!!」
フギルであった。
果たして彼は何を語るのか?