そしてルクスは風呂から出てクロスフィードの一番街区に
クランリーゼと共に向かって行った。
本来ならば門限時間外なのだが仕方なしと思いながらある程度の広さがある
空き地に着くと背後に何かを感じて後ろを向くとそこにいたのは・・・
夜架であった。
「夜架いたの?」
「ご安心くださいません主様、私は常におそばにおりますわ。」
建物の影から夜架が微笑みながら現れるとルクスに向けてこう言った。
「然し御付きがおられますのに一人だけとは不用心ですわ主様、
クロスフィードの中は比較的安全ですが主様の立場を考えれば」
「その前に聞きたいことが山ほどあるからそれ聞いてからね。」
ルクスがそう言うと先ずはと言ってこう続けた。
「第一に精霊について聞きたいんだ、君は精霊についての知識があるから
それを聞きたいんだ。」
ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。
「それではまずそちらですわね、元来精霊と言うのは自然の中に存在し
人々の信仰の対象と崇めておりますわ。」
「・・・つまる話精霊って言うのは自然現象に対する感謝とかかな?」
「そう思って構いませんわ、そして女性だけですが精霊に対して大なり小なり
精霊と交信出来る者達がおりますわ。その名は『精霊使い』。」
「『精霊使い』ねえ?」
「そうですわ、そして『精霊使い』は力を使う際にこの様に・・・
精霊と契約した証でもある契約印が見えますわ。」
そう言って夜架は自身の右手を差し出すと・・・
白い光と魔法陣らしきものが見えた。
魔法陣には太陽みたいな象形が描かれていた。
「これが『契約印』ですわ、主様は既に契約・・・仮契約されてますわね。」
「仮契約って・・・まさかこれ?」
ルクスはそう言いながら右手の手袋を取って契約印を見せると夜架はにこりと
微笑んでこう答えた。
「はいそうですわ、そしてそれは水の精霊との契約印ですわね。」
「水・・・種類があるの?」
ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。
「はい、火、水、風、土、光、鋼、闇等の精霊で特に最初に言った5つは
基本骨子とされておりましてそれらを束ねるのが五大精霊王と
呼ばれておりますわ。」
「精霊王ねえ・・・。」
ルクスはそれを聞いて内心半信半疑であるが校舎で見たあの鏡を見たので
真実だろうなと思いながらもあれ?と思ってこう聞いた。
「ちょっと待ってよ、精霊使いは女性でしか交信出来ないはずだけどさ・・・じゃあ何で僕にこれが付いてんの!?納得いかないんですけど!!」
ルクスがそう聞くと夜架はこう答えた。
「其れなんですが何事も例外はありますわ・・・千年前にも
一度ありましたし。」
それを言うと夜架はこう続けた。
「今より千年前、72体の精霊を使いこなし世界に混沌を与えた者が
おりましたわ。その名は魔王『スライマン』、男でありながらも
精霊使いでしたわ。」
「魔王『スライマン』って・・・確か僕に向けてそう言ったよね君?」
「ええ、魔王はその力で幾つもの国を滅ぼし支配下にして数多なる少女達を
手籠めにして勢力を拡げた物ですわ。」
「・・・最低な奴と僕って同格扱い!!」
最低だおいとルクスは大声でそう言うが夜架はこう続けた。
「そして精霊は契約した時に名前を明かされておりますが主様が契約した者は
何と言っておられましたか?」
そう聞くとルクスは・・・こう答えた。
「イセリア・シーウオード。」
「!!!」
それを聞いて夜架が初めて目を大きく見開くとルクスは夜架に向けて
大丈夫かと聞くと夜架は暫くしてこう答えた。
「主様・・・貴方が契約した精霊がもし本物の・・・
イセリア・シーウオードだとするのならば主様はとんでもない精霊と
契約したことなりますわ・・・。」
「え、何ソレちょっと怖いんだけど!?」
ルクスがそう言うが夜架はまあ良いでしょと言ってこう続けた。
「それで・・・聞きたいことはそれだけでしょうか主様?」
そう聞くとルクスは暫くして・・・こう答えた。
「それじゃあもう一つ・・・何で僕に尽くそうとするんだい?確かに
古都国にいた腕の立つドラグナイトが旧帝国時代に旗下に加わったって
話だったけど・・・もう滅びた帝国に何時まで尽くすのか疑問だらけなんだ。」
そう聞くと夜架は暫くして・・・こう答えた。
「私の名前・・・『切姫』は後に古都国の剣術指南役が私に付けてくれた
名前ですわ、本当の名前は・・・『羽々斬』。一国の姫でありながらも幼少期に
王国の失格者として捨てられましたわ、暗殺者から身を守らんがために殺してきただけなんですがまあ私には弟がおりましたのでそちらの王位を継承させ私はその後剣とドラグナイトとしての才能を買われて弟の近衛としていましたが国が
乗っ取られた際に皇帝との密約で弟の命を保障として暗殺者として帝国に
仕えましたわ・・・そしてその血筋を持つ貴方とその妹様がこの国を帝国として
復活するのを期待しておりますが貴方はいつまで・・・彼女達を騙すのですか?」
「騙す・・・だって・・・!!」
ルクスはそれを聞いてふざけるなと思っているが夜架はこう続けた。
「主様の実力でしたらすぐにでもこの偽り新王国を滅ぼす事位
楽勝じゃないでしょうか?」
「お前・・・冗談言ってるんじゃないのか?」
ルクスは半ば怒っているが当たり前だ、自分がこの国の革命に手を貸したのだ。最後まで見守る責務があるんだと思っている中でルクスはこう思っていた。
「(この子には自己の制約がない・・・まるで何かに
縛られているみたいに。)」
そう思っているルクスは夜架に向けて・・・こう答えた。
「残念だけど君のそれには答えられないよ。」
そして・・・戦闘へと。