「孕んでしまったって事は・・・!!」
旧帝国の恐らくランクが高い人間の子供がいるという事。
つまりその子が新王国の王になるという事だ。
ルクスは冷や汗をかいてこう思った。
「(もしそれが旧帝国の残党が気づいたら革命は頓挫して最悪前以上に酷い政治が
出来上がってしまう。)」
ルクスは嘗て革命によって死んだ人間を思い出しながらもそれが無駄だったという
恐怖感があったのだ。
それでこそ自分のやったことは無駄だったと言う空虚な物になるという事だ。
するとリーズシャルテはルクスにこう言った。
「それが分かった時叔母は隠れて生むようにと言われたんだ。そして私にこう
言ったんだ。」
『どんな事情があったとしてもそれはあなたの分身ですよリーシャ。
生まれてくる命を大事にしてそしてその子をこの新王国を・・・兄が作ったこの国を誇りをもって守れるような人間に育てなさい。』
「(ラフィ女王陛下、自分の代わりに新王国の未来をリーシャ様に
託そうとしてたんだ。)」
子供が出来ない自分の代わりに新王国の未来を紡いでほしかったのだと思った。
するとルクスはあっちの世界で桜ばっちゃんが言っていたことを思い出した。
「(あんたにどんなことがあったかは分からないけどそれはその人の罪であって
あんたやその子供の罪じゃあないよ。)」
あの時どれだけ救われたのかわからなかった。
然しそうなると新王国が奪ったのはその子供じゃあないかと思うが一体どういうことだと思っているとリーズシャルテはこう続けた。
「どこからか漏れたかわからなかったが私が子供を身ごもっていると聞いた
臣下の誰かが私がいつも飲んでいる飲み物の中に・・・毒が混入していたんだ。」
「ど、毒!!」
ルクスは大声でそう言った後すぐさますみませんと謝罪してリーズシャルテの言葉を聞いた。
「それを飲んだ後お腹がすごく痛みだしてな、直ぐに叔母が手配した・・・私の体の事を知っている主治医が診察すると・・・子供は流産していたことが分かったんだ。」
「流産・・・!!!」
12,3歳の少女が受け入れるにはあまりにも過酷で・・・あまりにも残酷な言葉であった。
「流産したその子を手に乗せて私はこう言ったんだ。・・・『ごめんなさい・・・ごめんなさい』・・・あの時程自分を責めた時はなかったよ。」
リーズシャルテの言葉は正に地獄と言う言葉そのものだと思った。
更にリーズシャルテはこう続けた。
「その毒の影響によるものかわからなかったが・・・どうやら私は叔母と同じで
子供が出来なくなってしまったらしいんだ。」
「そんな!!」
旧帝国によって慰み者にされ、子供を作らされ、そして新王国によって子供が
出来なくなってしまったという彼女の中にある現実は最早誰も体験できない物で
あった。
そしてリーズシャルテはこう言った。
「なああルクス教えてくれ?・・・私は一体何なんだ?」
その時僅かに見えたリーズシャルテの顔は悲壮感でいっぱいであった。
貴方がアナタと言う証拠は何処にあるんですか?