「う・・・・ああああああああああ!」
大聖堂の近くにある高位の修道士や神殿騎士団が使う宿舎の1室にて・・・
メルはベッドから飛び上がって悲鳴をあげたのだ。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・!・・・儘ならないわね・・・まだ7年前の夢
見るとか最悪しかないわ。」
メルはそう呟いてあの時の事を思い出していた、父親はアビス討伐の為に出撃して母親と家に仕えていた人たちと共に避難していたが・・・途中で逸れてしまい戦った後に・・・
両親と仕えていた人たちが一遍に死んだことが分かったのだ。
あの時自身は母親の手を握っていたのにも関わらず手を放したことで見失ってしまった。
『パパ~~!ママ~~!パパ~~!ママ~~!』
子供の時に見失って以降・・・両親を全て失った事から見る夢。
そして当時の・・・力が無くて何も出来なかったあの頃。
「今なら絶対に負けない・・・コロシテヤル・・・コロシテヤルコロシテヤル
コロシテヤル!アビスだけは絶対にこの世から駆逐してやる・・・!!」
メルはそう言ってドライグ・グウィバーのソードデバイスを抜いて眺めていた、
濡れたように美しい紅白の刀身を眺めていた、この機体はクルルシファーとの武芸大会で敗れた時に司教オルフェルが大司教に進言して送られた宝物だ。
判定では敗北だったが数か月の間で鍛え上げられた実力と将来性を考慮して
授与されたがメルにとっては違うだろうなと思っていた。
教皇猊下直属の騎士団にて貢献されていたギザルド家に対する
賞恤金の様な物ではないかと思った事も屡々ある。
だが折角与えられたこの武器を有効利用しないと言う手段は無いと考えたメルは
目つきを鋭くしていると・・・扉の外から声が聞こえた。
「メル、又夢を見たの??」
「・・・平気ヨ、何時もの事だから。」
メルはそう言ってオルフェルに向けてそう答えるがオルフェルは自身の
肌着の上から慌てて上着を掛けてやるとオルフェルはこう続けた。
「女の子が体を冷やしては駄目ですよ?貴方は強くて頭の良い子だけれどそう言う所はまだ抜けてるわね、そんなんじゃあ気になる男の人を見つけた時に苦労するわよ。」
「相変わらず心配性な司教様ね、補佐する教皇猊下の事は良いのかしら?」
「あっちには神殿騎士団の方々がいるから大丈夫よ、今この瞬間貴方に対して
やっているのは只の自己満足よ。」
オルフェルはメルに向けてそう言うのを聞いて本当に大丈夫なのかしらと思いながら
メルは更にこう思っていた。
「(ユミル教国にとって司教は騎士団と関わっちゃいけない・・・
政治や儀式に騎士団の横やりが入っちゃいけないように軍に政治的、儀式要素を
入れてはいけなくなったことからこの規律が生まれてるのに何でだろうなあ・・・
あの事件の後からよく来てくれたわ。)」
メルが七竜騎聖になってから・・・いや、ギザルド家の当主になってから
色々と悪い噂が絶えなかった。
ギザルド家の隠し財産狙いで近寄る人間
孤独な少女の弱みに付け込んで取り込もうとしているだとかそう言う人間を見て来た
メルは誰がどういう奴なのかを知れるようになったがために観察眼を磨いたのだが・・・オルフェルはそう言う人間の誰にも該当されなかったのだ。
何故か悪感情を抱く事もなく安っぽい慰めもしなかったのだ。
今迄色んな人間からこう言われたのだ。
『くじけてはいけないよ、神様は君の頑張りをずっと見て下さるはずだから。』
『負けないでね、これも貴方に与えられた試練なのよ。』
『祈りを捧げましょう、そうすれば貴方もきっと救われる時が来るはずよ。』
・・・ふざけんな。
表では笑みを浮かべていたメルは内心そう思っていた、悪意のない言葉が
どれだけ自身の心に傷を・・・怒りがこみ上げたのか分からない。
お前らには分かるか?目の前で両親を化け物に食い殺されて・・・理不尽に全てを
奪われて何故未だ神を信仰できる?
何故だとおっもう中オルフェルは普段から色々と声をかけてくれた。
『メル?お腹すいてないかしら??サンドイッチがあるから一緒にどうぞ?』
『寒くないメル?服があるから少し着なさい。』
『調子はどうかしらメル?体の不調があるんならちょっとは寝なさい。』
それからも他愛もない会話をするがそれでもメルの心が落ち着いて行った。
毎朝宿舎に来てはメルが悪夢に魘されている時にも介抱してくれた。
怪我や病気の時には夜通し看病をしてくれた。
メルに対してオルフェルに対する印象は親愛であると同時に・・・本当に彼女が
母親であったらどれだけ良かったのだろうと思っていた。
メルは未だ未成年である事からオルフェルが後見人となって面倒を見てくれている、
そこには目的も何もなく唯々面倒を自発的に見てくれている事から自分は甘いなあと
思っているとオルフェルはメルに向けてこう言った。
「メル、貴方には才能が有ります。今回の事で殊勲を得て証明すれば皆が貴方を
認めてくれるわ、そうすれば貴方はもう独りぼっちじゃないわ。」
「大丈夫よ、今回だって功績を上げてやるんだから。クルルシファーには二度も
負ける気はしないわ。」
そう言ってメルはじゃあねえと部屋から出るのをオルフェルは見守っていた。
外には霙が降り注いでいた。
ルクス「僕一回も出なかったよネ?」
作者「まあこういうときは時々あるかもって・・・すみません夜架さんサニアさん止めて止めてころz」
後に残ったのは血だまりだらけの首なしの遺体しかなかった。