「お前は何を隠して何からミーシャを守っているのだ?」
アノスの問いにサーシャはぎゅっと唇を引き結んでこう言った。
「・・・貴方も其処のお人形さんと一緒のようね、あんたの話は聞いているわ。
あんた入学試験の時に生徒の一人を半殺しにしてそんで在校生のそいつのお兄さんも
同じように半殺しにして自主退学させたらしいけど私は貴方みたいに平和ボケした
世間知らずのバカでちょっとぐらい力があって何も知らない癖に良い人ぶって
好き勝手に口を出さないでよ!」
「生憎だが其れは断る、俺は言いたいときには言い。訊きたいときには必ず訊きそして
何者にも従わず当然礼節は弁えるが俺は己が思った疑問を解消したいだけなのだ。」
正に天上天下唯我独尊を地で言うアノスだがその言葉ですら彼の言葉は筋を通していた。
そしてアノスはサーシャに対してこう続けた。
「サーシャ、お前は俺の配下でありながら友でありお前にとっては妹であるミーシャに
手を上げておき・・・只で済むと思ってはいないだろうな。」
そう言ってアノスはサーシャに向かってそう言って歩き出すとサーシャはびくりとして
王笏を持っている方の手が強く握りしめているがサーシャはアノスに対して
余裕な笑みを浮かべてこう言った。
「良いのかしら?私に対してちょっとでも危害を加えれば・・・あの子は死ぬわよ。」
その言葉を聞いて成程なとアノスはその意味を知った。
「(成程な、連動魔法『条件(レント)』か。もし俺がサーシャに対して
何かしらをすればミーシャの周りの魔法障壁が狭まってミーシャは押し潰されあるか
あの体に突き刺してあるナイフが更に深く食い込んで死に至ると言う事か・・・
まあ、『蘇生(インガル)』を使えば問題ないがあいつは其れを見た事無かったのか?」
そう言うがまあ当たり前だ、この作品って途中から始まってるから試験については
全面カットしているから皆見た事無いもんね。
「(成程な、其れならばあいつが知らんことも納得がいくな。)」
地の文読むなよ魔王様!アンタ何世界の壁を余裕に超えてんだよ!!
「(当たり前であろう、俺様は魔王だ。この程度の事が出来なくて民を導けんさ。)」
何此の人本当に規格外だよ!
作者と世界の壁を超えた会話が終わると其れを知らないサーシャはアノスに対して
こう言った。
「先にあっちから何とかする事ね、幾らあなたでも魔法障壁を破壊してサーシャを
助けるのに必要な時間はそうねえ・・・10秒あれば十分でしょ?其れだけあれば
ここから脱出する事位楽勝よ。」
そう言ってサーシャは『飛行(フレス)』と呼ばれる飛行魔法でサーシャは自身の体を浮かして低空でダンジョンから出ようとしているようだがアノスは其れよりも早く
地面を蹴ってサーシャの手を掴んだのだ。
それを見たサーシャはあんた馬鹿なのと言うと同時に連動魔法『条件(レント)』が
発動するも何故か魔法障壁が・・・発動しなかったのだ。
「どういう事よ・・・『条件(レント)』は確かに発動しているはずよ!アンタが
私に触れるだけで発動するようにしているのに何で!」
サーシャがそう言うとまさかと言って自身の邪眼である破邪の邪眼を使うと
其れが分かったのだ。
ミーシャがいた場所にミーシャはおらず既に回復魔法『治癒(エント)』で
胸の傷が無くなっていたのだ。
「まさかこれ・・・『幻影擬態(ライネル)』・・・何時の間に!」
「最初からだ、この部屋に入った時にミーシャを見た瞬間に発動してお前を
騙していたのだ。」
「さっきまでのあの会話は・・・囮!?」
「そうだ、友が傷ついているのに助けない奴が何処にいる?まあ0.1秒で全てを
終わらせたがまだ続けるか?ここから出るのに最低でもそうだなあ・・・10秒は
間違い無いだろうが残りは9.9秒。一体その間に何を仕掛ける気だサーシャ?」
その言葉にサーシャは畜生と呟いて苦し紛れに破邪の邪眼を使おうとするも
アノスも同じように破邪の邪眼を使って互いに相殺したのだ。
そしてその儘アノスはサーシャの腕を潰すかのように強く
握りしめようとした瞬間に・・・ミーシャはアノスに対してこう言った。
「・・・待って。」
ミーシャがそう言うとアノスに対してこう続けた。
「・・・許してあげて。」
ふむ・・・まあ許す許さないは被害を受けたミーシャの自由だが先ずは何を考えて
この様な蛮行に至ったのかを洗いざらい話させた方が良いだろうな、こんな手ぬるく
欠伸が出る程三流喜劇作家が描いた様な猿芝居を行った事を聞くべきでは?」
そう言うとミーシャは首を横に振って・・・こう言った。
「無理やりは良くない・・・駄目。」
其れを聞いてふむとアノスは考えるしぐさをして・・・こう言った。
「ミーシャに感謝すると良い。」
そう言うとサーシャはミーシャに対してこう言った。
「ミーシャ、貴方って人は本当にバカね!其れで私がお礼を言うとでも思ってたの?
お生憎様、貴方の人生はこれ迄も・・・今迄も・・・これからも私に
利用されるためだけにあるのよ!精々最後の一瞬迄後悔すると」
良いわと言いかけてアノスが手を離すとサーシャは・・・其の儘落ちてしまったのだ。
「ああすまん、面倒だったもんでな。魔力場を乱して飛べなくしたが本当に哀れだな、敗者は敗者らしく地べたを張って帰る事だ。でなければ・・・・俺は今回の
裏切りに対して相応の報いを受けさせるから覚悟すると良い。」
アノスの言葉を聞いてサーシャは振り返りもせずに歩き去って行った。
次回はその後。