最弱無敗の決闘機竜   作:caose

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 それはいびつな兄弟関係である。


兄との関係

 今から七年前

 ルクスの母親が死に早数日が経った。

 宮廷を追放されたことにより皇族の誰もが葬儀に参列しなかった。

 然しルクスはそれが粗末な物だろうがどうでもよかった。

 この世の中が嫌になり全て消えてしまえばいいと思っているほどルクスの闇は

深かった。

 病に伏した妹のアイリの事すらもどうでも良いと思えるほどであった。

 すると後ろから声が聞こえた。

 「ルーちゃん。」

 ルクスはその声を聴いて振り返った。

 「・・・フィーちゃん。」

 未だ幼い時のフィルフィ・アイングラムであった。

 「大丈夫?」

 フィルフィはルクスに近寄ってそう聞くもルクスは目も合わせずにこう言った。

 「・・・さあね。どうでも良いよ。」

 ルクスは虚ろな目でそう返すがそれだけではなかった。

 母親が死んでからは毎晩同じ夢を見るのだ。

 夕焼けのように赤い空

 天に届くほどもある長い赤い柱のような崖

 周りに漂う紅い光

 すべてが赤で覆われていたのだ。

 そしてあの場所に着くのだ。

 その周りには鎖で封じられた何かが存在した。

 巨大な白亜の船

 頭に翼が生えた人のようなナニカ

 氷のドレスを身に纏った女性

 金色の仮面を付けた男性

 背中に十字のような物を背負った人間

 巨大な岩石の腕

 所々角ばった竜

 そしてその奥にはあの竜がそこにいた。

 赤い体

 青白い炎が翼から微弱だがでていた。

 手足はまるで鎧のような物で纏っておりその下には西洋剣が突き刺さっていた。

 そしてその竜がルクスを見続けていた。

 そしてルクスがその鎖に触ろうとした瞬間目が覚める。

 そんなのが続きルクスは寝るに寝れない日が何回か続いたのだ。

 ルクスは墓の前でじっとしている中フィルフィがルクスの前に来て・・・

抱きしめた。

 「・・・フィーちゃん。」

 「もういいんだよルーちゃん。」

 「へ?」

 「もういいんだよ・・・ルーちゃん。」

 泣いても良いんだよ。

 フィルフィの言葉にルクスはの目から涙が溢れてきた。

 「うああああ・・・。」

 今迄我慢してきた。

 「ウアアアア・・・。」

 最早誰もいないことが分かりルクスは涙を流した。

 「ウワアアアアア・・・・アアアアアア。」

 此れ迄我慢していたモノが出てくるように泣きまくった。

 

 

 

 暫くして泣き止むとまた誰かが来た。

 「お母上の事は残念であったな。ルクスよ。」

 「・・・フギル兄さん。」

 その男は腹違いの兄であるが他の兄とは違い今の情勢に悲観的な立場であったのだ。

 「弟よ、お前がもし皇族として何かをしたいと思うなら俺を頼れ。険しく苦しく

遠い道程だがお前は帝国を変えたいと思うか?」

 それを聞いた後ルクスはフィルフィの方を向いた後こう言った。

 「はい。」

 そしてフギルはルクスにこう言った。

 「俺が出来ることは機竜についての基礎知識と戦術や執政等の学問だがお前の一念を叶えることぐらい訳ないさ。」

 その時からルクスはフギルに頼み王立図書館の入館権限とドラグナイトの

指導が始まった。

 

 

 

 それから七か月後

 「これは一体何をすればこうなるんだルクス?」

 帝都の中にある機竜演習場にて積み重なった≪ワイバーン≫を見てそう言った。

 全て右腕から背翼にかけての装甲が異常な形で曲がりくねっていたが

その代わりに鋼鉄の板で覆われた壁の一部が粉みじんに吹き飛んでいたのだ。

 因みにフギルがここにいる理由は度重なる機竜の破損の事を従者から

聞きつけたからである。(因みに機竜の運用資金はフギル持ち)

 「天才と誉れ高いお前が操作ミスなどしないしあの機竜の破損状況から見ると・・・また新しい技を思いついたのかルクス?」

 ルクスはこの時「クイック・ドロウ」を習得して未だそんなに日が

経っていないのである。

 「『普通』じゃなにも守れないんです。もう後悔しない為に力が欲しいんです。僕の大切なものを守るために。」

 ルクスはフギルに面と向かってそう言った。

 それを聞いたフギルはルクスの頭に手を置いて撫でていた。

 その時のフギルの顔は最後に見た時とは違い・・・優しい顔であった。




 次回はクルルシファー対バルゼリット
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